〈広場《バンカーヒル》まひる〉

提供: 隆山鎮守府第三会議室
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定期整備を終えてサンディエゴ沖を試験航行中の〈広場《バンカーヒル》まひる〉(1991年)
元ネタ
メーカー・ブランド Active
作品 ねがぽじ~お兄ちゃんと呼ばないでっ!!~
キャラクター 広場まひる
艦歴
発注 1933年
起工 1934年
進水 1937年
就役 1938年
退役 1995年
除籍 1997年
その後 記念艦として公開
性能諸元
基準排水量 建造時:37,800 t 支援空母改装後:38,500 t 超大型空母改装後:48,500 t 退役時:60,000 t
満載排水量 建造時:48,800 t 支援空母改装後:45,500 t 超大型空母改装後:58,000 t 退役時:72,000 t
全長 建造時:240 m 支援空母改装後:240 m 超大型空母改装後:295 m 退役時:295 m
全幅 建造時:32.3 m 支援空母改装後:33 m 超大型空母改装後:57 m 退役時:70 m
吃水 10.5 m
機関 建造時:蒸気タービン 4軸, 105,000hp 支援空母改装後:蒸気タービン 4軸, 105,000hp 超大型空母改装後:蒸気タービン 4軸, 212,000hp 退役時:蒸気タービン 4軸, 212,000hp
速力 建造時:23ノット 支援空母改装後:25ノット 超大型空母改装後:33ノット 退役時:30ノット
航続距離 11.520海里
乗員 士官、兵員 4,104名
搭載機 支援空母改装後:最大110機(固有20機) 超大型空母改装後:最大120機 退役時:74機

 その艦は、戦艦として起工され、工作艦として生を享け、空母として戦った。  その間、彼女を産み出した国は日本と戦い、自らの半身と戦い、ドイツと戦った。  彼女の辿った数奇な運命を語る事は、彼女が生まれた1938年から、第三次世界大戦終結の1952年まで、約15年の間に、歴史の悪戯から世界最強国家の座を滑り落ちたアメリカ合衆国と言う国の、苦難の歴史を語る事に繋がるであろう。

第一章 起工[編集]

 1937年、アメリカ合衆国の海軍政策は大きな転機を迎えた。前年に当選を果たしたヒューイ・ロング大統領が公約通り隆山海軍軍縮条約体制からの脱退を宣言。即日でポスト隆山条約級戦艦の建造計画が承認されたのである。ここに長きに渡った「ネイヴァル・ホリディ」は終わりを告げ、新たな無条約時代が到来した。

 第二次海軍増強三カ年計画、発案者の名を取り「ヴィンソン・トランメル計画」と呼ばれるこの計画において、合衆国海軍が建造しようとしていた戦艦は次の16隻であった。

〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉級…45口径16インチ砲3連装3基9門 45.000t 28ノット 4隻

〈桜庭《ミズーリ》香澄〉級…50口径16インチ砲3連装3基9門 48.000t 33ノット 6隻

〈川上《ケンタッキー》由里己〉級 47口径18インチ砲3連装3基9門 75.000t 28ノット 6隻

〈広場《ヘパイストス》まひる〉はこのうちの一隻、〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉級4番艦として、ニューヨーク海軍工廠で起工された。予定艦名は〈広場《コネチカット》まひる〉。 これに付随して建造される無数の補助艦艇や輸送艦艇を考えれば、まさにアメリカ合衆国は世界最大・最強の大艦隊を持ち、二つの大洋を支配する最強の国家として君臨できる事ができたかもしれない。

 しかし、結局この計画は完遂される事はなかった。理由は、資金の問題と仮想敵国である日本の動向である。当時、未だ南に南部連合と言う大敵を抱えていた合衆国にとって、膨大な対南部陸軍兵力を抱えたままこうした大艦隊を整備する事はさすがに手に余った。

 そして、仮想敵国である日本はポスト隆山条約戦艦として強力な〈高瀬《大和》瑞希〉を建造したものの、資金不足と汚職事件から2番艦の建造は中止。もう一つのシリーズである〈長谷部《高千穂》彩〉級も、空母建造が優先された事から配備が遅れており、これらの情報からヴィンソン・トランメル計画級戦艦群の建造ペースは大幅に落される事になる。  その余波を真っ先に被ったのが、〈広場《コネチカット》まひる〉であった。戦艦建造予算・資材はより強力な〈桜庭《ミズーリ》香澄〉級及び〈川上《ケンタッキー》由里己〉級に優先的に回される事になり、1938年3月、彼女は建造中止と決定したのである。

 しかし、建造中止決定時で、彼女の船体はほぼ完成しており、機関も取り付けが完了していた。解体するには手間がかかり過ぎるため、完成すれば小柄ながら強力な主砲を持つ「ばいんばいん」な戦艦になるはずだった彼女は、その理想とは程遠い「つるぺた」な肢体を所在無げにドックの隅に横たえる事になる。

第二章 誕生[編集]

 それを救ったのが、当時技術少佐だったロバート・A・ハインラインだった。彼は、今後予想される対日戦において、西海岸では艦船の修理拠点が真珠湾・サンディエゴなど、数が少ない事から、その能力を強化するための調査委員会に属していた。

 そうした中で、建造中止となった〈広場《コネチカット》まひる〉の船体の処遇が決まっていない事を聞いた彼の脳裏に、一つのアイデアが閃いたのである。それは、〈広場《コネチカット》まひる〉の船体上に多数の工作機械を設置し、超大型の工作艦にすると言うものであった。

 一見馬鹿げたアイデアであったが、すぐにオフィスに帰ったハインライン少佐は必要な機械や資材を計算し、比較的短い時間でこれらの改装が可能であり、しかも十分な能力を持つ事を確認すると、一晩で書類を書き上げて上層部へ提出した。

 このハインライン・レポートは海軍上層部で大きな反響を呼んだ。何しろ、艦艇造修施設の新設には膨大な資金が必要となる。そこへ、満面の笑みを浮かべたハインライン少佐が〈広場《コネチカット》まひる〉の改装ならば新しいドックの建造に比べて遥かに安価、かつ短期間に艦の修理が可能な施設を持てる上、いざ戦時ともなれば工作艦自体が前線基地へ出向く事で、損傷艦を苦労して本国へ持っていくより楽に修理が可能であると力説したのである。最後に少佐は一本指を立てて

「この艦の能力を持ってすれば、沈没以外のあらゆる損傷を修理する事が可能です!」

と力強く断言する。上層部がその一言に萌えたのも無理は無い話であった。

 しかし、予算を審議する議会の方は、当初良い顔をしなかった。「戦艦の船体を流用した超大型工作艦」、その「戦艦」の部分にこだわる人間は多かったのである。改装計画に付いて

「そのような艦を作るのは勿体無い。納税者が納得しないのではないか?」

と言う意見から、

「それでは、女性だと思っていたのが実は男だったと言う悪質な詐欺のようではないか」

と言うやや品を欠くものまで、何種類かの反対意見が出た。しかし、ユーザーである海軍では円滑な作戦活動を支援するための後方サービス艦隊の整備を考えており、その旗艦としても彼女の登場を熱望していた。推進派が熱心な宣伝工作を行った事もあって、次第に反対派は減少。ついに、改装予算が承認される運びとなった。

 こうして、建造中止から2ヶ月後、〈広場《コネチカット》まひる〉の超大型工作艦への改装工事が開始された。主砲の砲身すら交換可能な100トン・ガントリークレーンをはじめとして、無数の工作機械が甲板上に据え付けられ、弾火薬庫は拡張して資材倉庫にあてられた。また、これらの工作機械を駆動するために、4組あった機関のうち1組は専用の動力源にすることになり、速力は28ノットから22ノットに低下したが、それでも支援艦艇としてはかなりの高速であった。

 さらに、多くの機材を搭載してもスペースと動力にまだ余裕があった事から、艦内に情報通信施設が設置された。これは〈広場《コネチカット》まひる〉が工作艦であり、戦時にはハワイの司令部と最前線の中間基地に位置する事から、情報を中継するための移動通信基地としての役割も期待されたためである。

 これらの改装を施し、1938年12月、彼女は合衆国海軍工作艦として竣工した。艦名もギリシア神話に登場する鍛冶の神から取った〈広場《ヘパイストス》まひる〉と改名されている。同艦は慣熟訓練の後、太平洋艦隊への配属が決定。パナマ運河を越えてサンディエゴに移動した。


第三章 4人の艦長の肖像[編集]

〈広場《ヘパイストス》まひる〉の艦長は、アナポリスでは劣等生の烙印を押された人物であった。砲術、水雷術、航海術。どれを取っても落第スレスレの成績でアナポリスを卒業していた。しかし、いつも明るい微笑みをたたえた彼は部下の掌握術には不思議と長けており、指揮下の人員の力を引き出すのが非常に上手かった。こうした事から、乗員の半分は技官、工員である〈広場《ヘパイストス》まひる〉の統率に適任と見られていたのである。

 さて、彼の同期としては合衆国が誇る最速戦艦〈《ミズーリ》〉級の艦長が2人いた。〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長と、〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長である。さらに、〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長も同期であった。同期が戦艦艦長となり、末は艦隊司令が確実視される出世を遂げていても、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長は決して焦らず、悠然とした態度であった。

 こうした態度を、3人の同期は複雑な目で見ていた。〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長の資質が多くの部下を束ねる提督になった時に、自分達より優れていると感じていたからである。

〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長は〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長に対する対抗心を隠そうともせず、何かと意見を対立させていた。と言うよりは、一方的に突っかかっていたと表現する方が正しいかもしれない。自分が認めた人物に、どうにかそれらしくなって欲しいと言う彼の思いは、空回りする一方で、それがまた苛立ちの元であった。

〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は、〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長のように〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長に突っかかったりはしなかったが、本来彼が砲術志望であり、今でも砲術に関してはコンプレックスを抱いている事を知っていたため、何とも複雑な気分で付き合っていた。

〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長は有能である事は違いないが、何を考えているのかいまいち不明な人物であったため、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長に対してもどういう感情で友人付き合いをしているのか、明確ではなかった。それが明らかになるのは少し先の話である。


第四章 お昼のティータイム[編集]

 配備された〈広場《ヘパイストス》まひる〉は、その海軍工廠に匹敵する能力をもって、すぐにサンディエゴでも知らぬものの無い名物艦となった。ドックに入れるほどでもなく行える修理・改装の多くは彼女の手で進められたのである。

 そして、彼女にはもう一つの仕事があった。その優秀な通信施設を活かし、艦隊内ラジオ放送局が開設されたのである。本来彼女に装備されたのはあくまでも指揮・通信中継施設であり、必ずしもラジオ放送に必要な設備とは言えなかったのだが、有り合わせの機材を使って放送局を作るくらいの技術者は〈広場《ヘパイストス》まひる〉にはいくらでも乗艦していた。そうした有志が集まって放送局を作ったのである。その中には艦長の姿もあった。

 MCには声が可愛い事で有名な通信オペレーターの女性兵士が選ばれ、朝・昼・夜とヒットナンバーに合わせて流れる彼女の軽快なおしゃべりは全艦隊の心のオアシスだった。特に昼食時間に行われていた一時間番組「お昼のティータイム」が人気で、この番組のスタイルは日本が〈辛島〉を使って行った対米宣伝放送「Heart To Heart」も参考にしたと言われている。

 ただ、工作艦と言う環境上仕方のない事であったが、各種工作機械から発生する騒音や電磁的ノイズが放送に悪影響を与えており、新たに別の艦を通信中継艦として改装する事となった。それが、リバティ型輸送船から改装された〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉である。その改装工事はもちろん〈広場《ヘパイストス》まひる〉が担当した。

 この〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉艦長は〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長の一期後輩に当たり、やはり彼の不思議な魅力を認めていた人物の一人だった。〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長も〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉艦長をかわいがっており、わざわざ艦隊内放送局運営のアドヴァイスを送ったほどである。番組も〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉で続けられることになった。

 この頃が、あるいは〈広場《ヘパイストス》まひる〉にとっての最も幸福な時代であったと言えるのかもしれない。しかし、戦争の影は容赦なく彼女の上にも近づいており、彼女自身が戦場へ赴く日も遠くない未来へと近づいていた。  

第五章 戦場へ[編集]

 1942年、3月に起きた合衆国海軍の挑発と、それに激発した日本海軍の間に起きた偶発戦闘により日米関係の亀裂は一挙に拡大。4月8日、遂に両国は開戦に至った。

 開戦当初から、米軍は有利に戦いを進めていった。ミッドウェイ海戦では〈鳴瀬《ヨークタウン》真奈美〉の喪失と引き換えに日本海軍空母機動部隊に大損害を与え、5月にマーシャルの占領に成功。7月にはトラックへと駒を進め、日本への圧力を掛け続けていた。

 この間、米海軍は北太平洋方面で陽動作戦を行い、日本の戦力を北方に誘引しつづけていたが、それを支えたのは〈広場《ヘパイストス》まひる〉であった。彼女の持つ強力な修理能力は、造修施設が少ない北太平洋方面で繰り返された激しい水上戦闘において、合衆国軍戦力の消耗を最低限に抑えたのである。下手な操艦をすればたちまち沈没しそうなくらいに傷付いた艦でさえ、「大丈夫だよ」の一言で本当に大丈夫なように修理してしまう〈広場《ヘパイストス》まひる〉は、まさに史上最強の工作艦であり、艦隊の守護天使と言うべき存在であった。

 8月、北太平洋方面での一連の陽動作戦を終了した米海軍は、いよいよ全兵力を中部太平洋へ集結させた。もちろん、〈広場《ヘパイストス》まひる〉も後方サービス艦隊の旗艦として参加。トラックへ入港した。

 既に同地では、マリアナに展開する日本軍との間に激しい渡洋航空戦が展開されていた。空襲で損傷した艦も多く、〈広場《ヘパイストス》まひる〉は直ちにそうした艦の修理にかかった。最初に修理されたのは、爆弾の直撃で大破し、沈没寸前になっていた軽空母〈広場《プリンストン》ひなた〉であった。また、至近弾で吹き飛ばされた〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉のアンテナをサルベージする作業も行っている。

 そうしたある日、来襲した日本軍攻撃隊は、〈広場《ヘパイストス》まひる〉が修理中の戦艦〈桜庭《ミズーリ》香澄〉に攻撃を加えようとした。が、次の瞬間隣の見慣れない艦が激しく打ち上げる対空砲火に曝される。

「〈桜庭《ミズーリ》香澄〉に何をするぅ~!!」

 そう叫びながら防空戦の指揮を執る〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長。船体が大きい分、他の支援艦艇よりも多めに積まれた5インチ高角砲とボフォース40ミリ機関砲が火を噴き、数機に火を噴かせる。激昂した日本機では〈広場《ヘパイストス》まひる〉に目標を変更し、爆弾を投下した。その一発がマストを直撃し、飛び散った破片が艦長の頭に当たって負傷させたが、彼は決して退かずに指揮を執りつづけた。その気迫の前に日本軍機は〈広場《ヘパイストス》まひる〉にも〈桜庭《ミズーリ》香澄〉にもそれ以上手が出せずに撤退している。

 戦闘終了後、失血で倒れた〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長を〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長が見舞い、「何て馬鹿な事を」と叱責したが、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長は微笑んでその叱責に対してこう言うだけだった。   「私は馬鹿だから…後先考えずについ行動してしまうんだ」

 この言葉に〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は呆れたが、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長らしいと一面では感心し、またこの時の事を深く心に刻む事になる。

 また、空襲を邪魔された日本側ではこのけたたましい艦が工作艦であった事を知って驚き、「戦艦よりもあっちの方が魅力的な獲物だ」と主張するものが増えていた。  

第六章 襲撃[編集]

〈広場《ヘパイストス》まひる〉に訪れた二度目の転機、それは、合衆国の優勢下で進められていた太平洋戦争が、転機を迎えた戦いに起因していた。10月にパラオを占領し、着々と中部太平洋を勢力下に組み込んで行く合衆国に対し、その年の12月、日本は「藤堂プラン」の名で知られる対米決戦計画を発動。ハワイに侵攻したのである。

 この時、真珠湾とその近海にはマリアナ侵攻作戦向けに集結していた陸軍および海兵隊の兵員と、その補給物資を載せた100隻以上の輸送船団と、その護衛艦隊が在泊していた。この最悪のタイミングの中で行われた日本軍の電撃的な侵攻は、真珠湾内に停泊した護衛艦隊旗艦の空母〈バンカーヒル〉を撃沈し、船団はなす術無く拿捕された。上陸軍はわずか二週間足らずでオアフ島主要部を占領。守備隊残存は山岳部に篭ってのゲリラ的抵抗を余儀なくされた。

 これに対し、合衆国軍は在満米空軍による日本本土への大規模な空爆作戦〈フォールアウト〉を発動すると共に、中部太平洋方面に展開していた兵力を結集、ハワイを占領する日本軍への決戦を挑んだ。これが1943年1月30日の東太平洋海戦である。

 この史上最大級の艦隊決戦により、合衆国海軍太平洋艦隊、日本帝国海軍連合艦隊は相打ちに近いかたちで双方ともに壊滅。双方合わせて11隻の戦艦と8隻の空母が沈み、母艦航空隊の損耗は7割以上に達した。そして、その他の艦も大中破以上の損害を受けた。この損傷艦の中には、当然の事ながら〈桜庭《ミズーリ》香澄〉、〈遠場《ニュージャージー》透〉、〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉が含まれている。

 この報告を受けた〈広場《ヘパイストス》まひる〉は直ちにトラックを出航、残存艦隊が集結しているクリスマス島へ向かった。

 ところが、日本側ではこれを予期し、〈広場《ヘパイストス》まひる〉の予定航路上にジョンストン守備部隊の駆逐艦3隻を配置して待ち伏せていたのである。旧式艦とは言え、気が急く余り、護衛も付けずに航行していた〈広場《ヘパイストス》まひる〉にとっては十分以上の脅威だった。水平線上にたばこの煙のようなものがたなびいたと思った次の瞬間、最大戦速で突撃してくる駆逐隊の攻撃が始まり、〈広場《ヘパイストス》まひる〉は何をしたら良いのか分からないパニックに陥った。

 必死の思いで回避行動をとるものの、22ノットしか出ない〈広場《ヘパイストス》まひる〉と、旧式とはいえ35ノット出せる襲撃部隊の差は明らかだった。動きを抑えられた〈広場《ヘパイストス》まひる〉に、襲撃隊はいたぶるように砲撃を加えた。無数の小口径砲弾が、服を剥ぎ取るように〈広場《ヘパイストス》まひる〉の上部構造物や工作機械を破壊していく。

 そして、襲撃隊が止めの雷撃を加えようとした時、それは起こった。突如として降ってきた巨弾が、襲撃隊駆逐艦の一隻を一撃で吹き飛ばしたのである。

 〈遠場《ニュージャージー》透〉だった。残存艦艇の中で比較的損傷の軽微だった同艦は、護衛も付けずに出てきた〈広場《ヘパイストス》まひる〉を迎えに来たのである。襲われている〈広場《ヘパイストス》まひる〉の姿を見て激怒した〈遠場《ニュージャージー》透〉は情け容赦のない砲撃を放ち、瞬時に襲撃隊の全駆逐艦を葬り去った。

第七章 秘められていた想い[編集]

〈遠場《ニュージャージー》透〉の今までに見た事もない様な凄まじい戦い振りに驚いた〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長であったが、みずから内火艇で乗り込んできた〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長の言葉に、更に驚く事になる。

「俺の一番大事な上官予定者を傷つけた奴を許す訳には行かないからな」

〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長はいつもの間の抜けたような顔に微かな照れを浮かべて言った。

彼の本心、それは、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長の下でなら戦っても良いと言うものだった。アナポリスでは〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長よりも遥かに上位の成績を取り続け、合衆国最強の戦艦を預けられるまでに将来を嘱望されていた自分も、将に将たる器としては〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長には及ばないとの思いがあったのである。

 今はかつての成績だけで冷遇されている〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長を提督にしたい。そして、その下で働いてみたい。そのために〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長を守る。それが、〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長が自らに課した誓いであった。  


第八章 座礁[編集]

 そのままジョンストン島へ向かおうとした二隻の前に、後を追ってきた〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉が現れた。   「すまん、許してくれ。私は弱い人間なんだ」

 と言う〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長の送ってきた謎の通信に首を傾げる〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長と〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長。だが、続く事情を知って血相を変える。〈桜庭《ミズーリ》香澄〉がジョンストンに殴り込みを掛けたと言うのだ。

 通信施設以外はほとんど損傷を受けていなかった〈桜庭《ミズーリ》香澄〉は、殿部隊としてクリスマス島に戻ってきたところで、〈広場《ヘパイストス》まひる〉が襲撃され撃沈されたと言う誤情報を受け取ったのである。〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は激怒した。〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長にはとてもではないが止められたものではない。見境を無くした〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は、輸送船から燃料弾薬を強奪するように補給、全速力でジョンストンに向かった。

 実は、東太平洋海戦の直前、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長と〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は激しい喧嘩をしていた。〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長の器を信じる〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は、今からでも良いからまじめにやれば、能力本意の戦時である今、出世コースに戻れると説いた。しかし、自分の艦を愛している〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長は、今更そんな道には戻れないと答えた。

 だが、言い方が悪かったのだろう。それがふざけているように感じられた〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長に詰め寄った。若い頃の、砲術を志し、前線の指揮官となる志はどうしてしまったのかと。

 それこそ、〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長にとっては一番触れて欲しくない、コンプレックスであった。激昂した彼は〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長に掴み掛かり、結局2人はそこで喧嘩別れとなったのである。

 その〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長が、自分の仇を取るためにジョンストンに殴り込むと言う。嬉しいが、余りに無謀な行為であり、止めなくてはならなかった。だが、連絡手段は直接会う事しかない。〈広場《ヘパイストス》まひる〉と〈遠場《ニュージャージー》透〉は全力で〈桜庭《ミズーリ》香澄〉の後を追った。

 はたして、ジョンストン近海では〈桜庭《ミズーリ》香澄〉が荒れ狂っていた。目に付いた日本軍艦艇には大小を問わず砲撃が叩き込まれ、多数の艦船が炎上し、あるいは沈没していく。既に〈広場《ヘパイストス》まひる〉を襲った三隻は〈遠場《ニュージャージー》透〉に始末されていたのだが、そんな事はもう関係なかった。彼女はジョンストンの全てを焼き払うつもりであった。

 しかし、ジョンストン守備隊も数で必死の反撃を試みる。一瞬の隙を突き、水雷艇が〈桜庭《ミズーリ》香澄〉に魚雷を放とうとしたその瞬間、それは起こった。ロケットのように戦場に飛び込んできた影が、その水雷艇を轢き潰したのである。

〈広場《ヘパイストス》まひる〉であった。

「あんたらぁ~!!〈桜庭《ミズーリ》香澄〉に何をするぅ~!!」

 艦長があの時の台詞を叫ぶ。〈桜庭《ミズーリ》香澄〉にまとわりつく無数の影を見た瞬間、理性が飛んでしまったのは〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長も同様であった。既に艦上の火器の大半は破壊されていたが、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉を守るべく、自らの船体を武器に、周辺の小艦艇をなぎ倒す。パニックを起こした日本軍は逃げ散り、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長はあまりの情景に呆然とそれを見守るだけだった。

 しかし、その異様な光景は突然終わった。駆潜艇に体当たりをかわされた〈広場《ヘパイストス》まひる〉が、鈍い音と共に動きを止める。座礁したのだ。一瞬の間を置いて、燃料がどくどくと流出する。

 「わっ!?うわああぁぁ!工作艦を呼べ~っ!!」

完全に沈黙した〈広場《ヘパイストス》まひる〉に代わり、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長が叫んだこの一言が、この奇妙な小海戦の終わりを告げていた。  

第九章 終戦[編集]

 それから半月後、ロング大統領が弾劾を受け、史上初めて任期中に辞職させられた大統領になると共に、太平洋戦争は終結した。どうにか離礁させられた〈広場《ヘパイストス》まひる〉が二隻の僚艦に曳航されてジョンストンを離れていくのを、日本軍は制止しなかった。   〈広場《ヘパイストス》まひる〉は本土へ回航され、サンディエゴ軍港でその身を休めていた。上部構造物はあらかた破壊され、艦底には亀裂が入った痛々しい姿で。その横には寄り添うようにして〈桜庭《ミズーリ》香澄〉が投錨していた。

 艦長もまた、座礁時の衝撃で投げ出され、壁にひびが入るほど叩き付けられ、重傷を負って入院していた。付添人は〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長だった。   「お前は昔と変わらないな。そういう所が…私達がお前を将として仰いでみたい…そう思わせるところなんだがな」

〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は呟いた。これだけの大騒ぎを起こしたからには査問会確実、下手すれば予備役編入も覚悟していた彼であったが、意外にも何のお咎めもなかった。

 なぜなら、東太平洋海戦の直後、南部連合の北進が開始され、第二次南北戦争が勃発していたからである。この危急時に査問会などを開いている暇は無く、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉もこの後直ちにパナマ戦に出向かねばならなかった。慌しさを縫って見舞いに来ていた〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は眠っている〈広場《ヘパイストス》まひる〉艦長に一瞥を投げ、病室を後にした。   〈広場《ヘパイストス》まひる〉の復活を信じて。


第十章 改装[編集]

 大破した〈広場《ヘパイストス》まひる〉は、既に工作艦としての能力を失っていた。しかし、船体の受けた損害は座礁時の亀裂を除けば少なく、廃艦と言うほどのダメージは受けていなかった。

〈広場《ヘパイストス》まひる〉を修復するに当たり、海軍当局の下した決定。それは、空母への改装だった。太平洋戦争で空母を大量に喪失し、空母機動部隊戦力の再建を急ぐ海軍にとって、必要なのは工作艦ではなく空母だったのである。

 しかし、〈広場《ヘパイストス》まひる〉は空母としては若干低速であり、カタパルトが航空機運用能力を補うとはいえ、他の空母と一緒の艦隊行動はできなかった。そこで、海軍が考えた案が、一種の補給空母化である。艦隊後方に位置し、前面の味方空母に搭載機を補充、または損傷機を引き取って修理する役目を負うものだった。普段は航空機輸送任務も行う。相手が艦艇から航空機に変わっただけで、後方支援と言う役目に変わりはない。〈広場《ヘパイストス》まひる〉はけっして表には出られない艦となっていたのであった。

 こうして、サンディエゴの工廠に入った〈広場《ヘパイストス》まひる〉は上部構造物の残骸を撤去し、格納庫と飛行甲板を設置。もともと幅の広い〈《ミネソタ》〉級戦艦だけあって搭載機数だけは意外に多く、85機に及んでいた。さらに、元の資材倉庫には40機分以上の部品が詰め込まれ、戦闘で損傷した機体の迅速な修理・補充が行える艦となった。ただし、固有の艦載機は防空戦闘機隊のみ20機程度である。

 この他、工作艦時代に一旦廃止された通信中継施設が復活した。工作機械が減少したため、ノイズの心配がなくなったからである。

 こうして修理・改装を終えた〈広場《ヘパイストス》まひる〉は艦名を〈広場《バンカーヒル》まひる〉に改名し、直ちに南部連合との激戦が展開されている大西洋へ配備された。歴代のこの艦名の船が不名誉な沈み方をした〈バンカーヒル〉の名が襲名されたところに、合衆国海軍が同艦に対してどの程度の期待をしていたか分かる。かつて、海軍が熱望した超大型工作艦だった彼女は、戦時中の度重なる不祥事の結果、ここまで冷遇されるようになっていたのであった。

 艦長は、工作艦時代からそのまま留任となった。ようやく退院してみれば、何時の間にか自艦が羽根の生えた艦(空母)になっていたのだから、彼としては一体何が起きたのか訳が分からないと言った心情であっただろう。補給空母として、以前と変わらず多数の技官を載せた艦の艦長となった彼は、それでも以前と変わらない悠然たる態度で勤務を続ける。だが、固有の艦載機を戦闘機しか持たない空母――まるで羽根が半分しかないようなものだ――と言う状態に満足していた訳ではないらしい。前線で多くの空母が死闘を繰り広げている中、部屋に隔離されたように安全な海域を遊弋して、後方から飛んでくる機体を中継するだけの任務は、無為以外の何物でもなかった。

「羽根が両方揃えば…戦える艦になるのかな」

 と言う艦長の呟きが、ある記録に残されている。しかし、結局第二次南北戦争では戦闘らしい戦闘は何一つ経験することなく、彼女の任務は終わった。

第十一章 束の間の平和の中で[編集]

〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長の悩みはそれだけではなかった。訓練をやろうと思っても、模擬空戦の相手をしてくれる艦がいなかったのである。

 そんな時に、良く相手を引き受けてくれたのが、かつて工作艦時代に沈みかけていたところを救った軽空母〈広場《プリンストン》ひなた〉であった。

〈広場《プリンストン》ひなた〉は〈広場《バンカーヒル》まひる〉と同じ工廠で起工され、当初軽巡洋艦の予定だったのを建造中に軽空母へ改めた艦である。良く似た事情を抱えたこの二隻は、クラスが違うにもかかわらず人々から「姉妹艦」と呼ばれていた。もっとも、〈広場《プリンストン》ひなた〉艦長は砲術出身者であったため、今の地位に満足している訳ではなく、「姉妹艦」との評価に「あんなの兄でも姉でもない」と憮然とした表情で言うのが常であった。この一言を聞いた〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長は「うわ、ひど」の一言を言うのが精一杯だった。しかし、艦長間の個人的関係はそれほど悪い訳ではなく、良く2人で夕食を食べに行ったり、〈広場《プリンストン》ひなた〉艦長がにこやかに話しているのを見たと言う報告もある。

 しかし、訓練以上の悩みの種だったのが、配属された航空技官達であった。彼らは仕事がない事を良い事に、怪しげな技術開発を艦内で行っていたのである。その一つが夜間戦闘用赤外線暗視スコープ〈エンジェルズ・アイ〉であった。

「これからは目も電子回路を使う時代です」とばかりに気合いを入れて開発されたこの装置であったが、熱源の輪郭が「青い霧のように」見えると言う、その独特の視界表示に慣れるまでに相当の熟練を要するもので、試しに夜間飛行訓練で使ってみたパイロットが余りに異様な視界にパニックを起こし、機体を捨てて脱出してしまった。ところが、落下した機体が送水パイプを破壊してしまい、周囲の家屋が浸水。激怒した地区住民や自治体の長が怒鳴り込んでくる大問題になった事があった。この時にはさすがの〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長も

「私が何かそんなに悪い事をしたとでも言うのか」

 とぼやいていたと言う。

 他には、無線のマイクの取り付け角度が悪かったのか、艦載機の発艦時に通信施設がハウリングを起こし、「は~うでぃ~」と言う妙な音が交信に混ざる事があった。たまたま交信中にこの異音が入ったために、〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉の通信オペレーターが驚いて全世界に悲鳴を発信してしまったと言う微笑ましい事件も起きている。

 逆に、冗談では済まされない政治的な大問題を引き起こしたのは、「午後のティータイム」事件である。「午後のティータイム」は、工作艦時代に艦内放送局で行われていた人気番組「お昼のティータイム」が通信中継艦〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉内の放送局に移管されたあとに始まった番組で、音楽に乗せてちょっとしたトークを流す形式だった。一時はかなりの人気が出た番組である。

 ところが、〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長をゲストに招いた艦長対談を行った際に、トークが白熱し、放送禁止用語まで交えたかなり激烈な上層部批判にまで話が発展してしまったのである。当然ながら海軍上層部は激怒し、同番組は放送中止に追い込まれた。WW3開戦までの5年間、〈広場《バンカーヒル》まひる〉はこうした問題行動を引き起こし、上層部ににらまれながらも、束の間の平和の中を健気に生きていた。

 しかし、ついに彼女が戦陣に立つ日が訪れることとなる。それも、祖国にとって最悪の形で。  

第十二章 米独開戦[編集]

 1948年5月、欧州連合側の先制攻撃により、遂に第三次世界大戦が勃発した。この時、合衆国海軍大西洋艦隊は幸運と不運をそれぞれ持ち合わせていた。幸運は観艦式のため、太平洋から〈桜庭《ミズーリ》香澄〉と〈遠場《ニュージャージー》透〉の2戦艦が回航されていた事。そして、不運は開戦第一撃の反応弾道弾攻撃により、首都ワシントンが壊滅。指揮系統が崩壊してしまった事である。

 ここで、大西洋艦隊が自重し、その戦力を欧州―北米間の交通破壊に振り向けていれば、あるいは北米戦線の推移は大きな変化を見せていたかもしれない。事実、戦いの現実を知る〈桜庭《ミズーリ》香澄〉〈遠場《ニュージャージー》透〉の両艦長はそれを主張した。しかし、大西洋艦隊司令部は欧州連合艦隊との安易な艦隊決戦を選択してしまったのである。〈桜庭《ミズーリ》香澄〉〈遠場《ニュージャージー》透〉の両艦長も、こうなったら腹を括って戦うしかないと諦めていた。

 この時、〈広場《バンカーヒル》まひる〉はフロリダ沖で演習中であった。「問題児」の彼女には観艦式への参加は許可されなかったのである。しかし、大西洋艦隊主力が欧州連合艦隊との決戦を企図している事を知った彼女は、直ちにフロリダから大西洋沿岸にかけての海軍航空基地へ連絡。定数を越える100機近い機体を集め、全力で北上を開始した。  

第十三章 逃避行[編集]

 米独開戦より5日後、合衆国大西洋艦隊は敗残の身を南へ向けていた。5月17日深夜から翌日早朝にかけてファンディ湾で戦われた合衆国海軍と欧州連合海軍の決戦は、戦艦級11隻を数え、しかも18インチ砲戦艦すら有する欧州連合の猛攻の前に、合衆国艦隊の大敗に終わっていた。

 合衆国艦隊の危機を救ったのは、上層部全員が存在を忘れていたかのような〈広場《バンカーヒル》まひる〉の航空隊だった。改良を重ね、クリアな視界を確保した夜間暗視装置〈エンジェルズ・アイ〉を装備し、夜間戦闘に長けた〈広場《バンカーヒル》まひる〉航空隊の突撃により、追撃する欧州連合艦隊は大混乱に陥った。特に威力を発揮したのが、〈広場《バンカーヒル》まひる〉技術陣特製の対艦ロケットランチャー〈アイアン・クロー〉である。丸太から尖った弾体が突き出したような形状の、お世辞にも洗練されているとは言い難い兵器であったが、轟音と高速を持って上部構造物に突き刺さっては炸裂するその破壊力に、追撃部隊は大きな損害を受けた。特に雷撃まで受けた〈佐伯《クレマンソー》玲奈〉は沈没寸前の打撃を被り、これがきっかけで欧州連合は追撃を中止している。

 広場《バンカーヒル》まひる〉の後詰めにより、辛うじて壊滅の危地を脱した大西洋艦隊残存だったが、東海岸は猛烈な勢いで南下し続けるドイツ北米総軍とルフトヴァッフェの草刈り場と化しており、主要な軍港は征圧されるか、空襲圏内に入りつつあった。やむなく、艦隊はキューバのグアンタナモへ入港し、指示を待つ事となった。

 しかし、壊滅した大西洋艦隊の指揮系統の中で、辛うじて生き残っていたうちの最上級者であるウィロウ・リヴァー中将は欧州連合の圧倒的な攻勢に、完全な恐慌状態に陥っており、ひたすら保身を考えるだけの人物だった。彼は艦の引き渡しを命じる欧州連合と、戦闘継続を訴える艦隊の間に挟まれた挙げ句、銃口を突き付ける欧州連合に従う道を選び、欧州連合の差し出す艦艇引き渡し命令書に唯々諾々とサインする。中将にはこれで我が身の保身が図れると言う安堵感しかなかった。

 この上層部の不甲斐なさに、グアンタナモの大西洋艦隊は憤激した。しかし、現実に引き渡し命令にサインが為された以上、接収のために欧州艦隊が来寇する事は必至である。今の整備・補給とも不十分な大西洋艦隊にはそれを撃退する力はなかった。  

第十四章 別離[編集]

 そして、大西洋艦隊を巡る状況は悪化の一途を辿っていた。既に武装解除・接収を前提として欧州艦隊が動き出しており、その来襲までわずか22時間の猶予しかなかったのである。ここに至り、艦隊司令代行のカノー・レイノルズ少将はパナマを経由して全艦艇を太平洋へ脱出させる事を決定する。しかし、時間は不足していた。このままでは、全艦が脱出する前に敵艦隊が追いついてくるのは確実だった。    その時、〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長が手を挙げた。   「自分が囮になりましょう」

と。

 この会議の前夜、〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長は〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長と話し合いをしていた。   「私はみんなで助かりたいと思う…それは、私のわがままかな?」

「そうだ。お前のわがままだ」

〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長は答えた。傷付き、全力を出せない艦隊が逃れる道は誰かが囮になって注意を引きつけるしかない。それは、2人にはもちろん他の誰もが心の中では理解していた事だった。その上で、〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長の背中を押してくれる人間は〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長しかいなかった。

 この時点で〈広場《バンカーヒル》まひる〉は艦自体は無傷であり、また航空隊も8割以上の充足率を保っており、大西洋艦隊残存で最も高い戦闘力を残していた。囮を引き受けられるのは〈広場《バンカーヒル》まひる〉しかいない。それでも、圧倒的に優勢な敵の中に残ると言う事は、まず無事で済まない事を意味していた。おそらく、生き残れる可能性は0に近いだろう。言い出しても、全員が反対するのは目に見えていた。    そして、事実反対する一同に向かい、彼は微笑みながら言った。   「ごめん…私は馬鹿だから…きっと、やってしまってから後悔するんだと思う。それでも、やらないで後悔するよりは良い」

 この一言に誰も反論できなかった。数時間後、パナマへ向かう僚艦達を見送り、〈広場《バンカーヒル》まひる〉は抜錨した。巨大な敵の方向へ向けて。  


第十五章 再会[編集]

 大西洋艦隊残存は脱出に成功した。殿を務めた〈桜庭《ミズーリ》香澄〉が運河を通過してからわずか18時間後、欧州連合軍の大部隊がパナマへ強襲上陸。同地を占領した。〈広場《バンカーヒル》まひる〉は、遂に運河を越える事はなかった。

 脱出劇の間には、様々なドラマがあった。魚雷を受け、艦隊から落伍しかけていた〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長は敵に捕捉される直前に、けたたましい放送が全周波数帯で流れたのを聞いて仰天した。それは、詩作を趣味とする彼の作った詩の朗読だったからだ。読み上げていたのは〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長その人だった。

〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長は全てを理解した。自分を逃がすために、彼はあえて犠牲になろうとしているのだと。事実、敵は反転して〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉から離れていった。助けに行ってやりたかった。しかし、そうする事は〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長の思いを無駄にする事になる。〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉艦長は涙をのみ、艦に離脱を命じた。

 逆に、見捨てられなかった艦もいた。〈広場《プリンストン》ひなた〉である。〈広場《バンカーヒル》まひる〉から艦載機の半分を預けられ、パナマ脱出組の上空を守った〈広場《プリンストン》ひなた〉はこう打電した。

「こんな小さな艦なんて、すぐ忘れられてしまうのかもしれないけど…100年くらいは覚えていて欲しい」

 そう決別の無電を打ち、〈広場《プリンストン》ひなた〉はただ一人戦いつづける「姉」の後を追って反転し、カリブの彼方へ消えていった。

 そして、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉は敵の通信を傍受した。

「いたぞ、あの艦だ」「傷付いているぞ」「油断はするな」「撃て!」

 そして、無数の砲声…〈広場《バンカーヒル》まひる〉を襲った運命は明らかだった。

 それから2週間。ハワイで応急修理を受けただけの〈桜庭《ミズーリ》香澄〉は、Uボートの危険を承知で、パナマ沖を訪れていた。だが、その時、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉のレーダー手は近づいてくる反応をキャッチした。たった一機の航空機。その機体は低空に降りると、バンクしながら〈桜庭《ミズーリ》香澄〉の周りを旋回した。

 その時、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は見た。機首に描かれた、片翼の天使のノーズアートを。

 「…帰って、来た…!」

 幻覚などではなかった。〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長の目は、水平線の向こうを進んでくる〈広場《バンカーヒル》まひる〉と、それに寄り添う〈広場《プリンストン》ひなた〉の姿を捉えていた。

 片翼の天使達は、今大事な人達の元へと帰還を果たしたのだ。  

第十六章 日記[編集]

「〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長に怒られて、しっかりと航海日誌を付ける事にした。今日は〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉、〈蛍坂《ブルーリッジ》小鈴〉両艦の艦長と共に次の艦隊内放送に付いて…」

 後に公表された〈広場《バンカーヒル》まひる〉の航海日誌の書き出しである。

 囮としてカリブ海に残った〈広場《バンカーヒル》まひる〉は、その艦載機を持って欧州連合艦隊を徹底的に引っ掻き回し、彼らの進撃を遅らせた。ために、欧州連合側のパナマ侵攻作戦のスケジュールは遅延し、大西洋艦隊残存の太平洋脱出も阻止できなかった。

 怒り狂った欧州連合艦隊は逃げ回る〈広場《バンカーヒル》まひる〉の撃沈に総力を挙げ、そして遂に水雷戦隊による〈広場《バンカーヒル》まひる〉の包囲に成功したのである。熾烈な砲雷撃を受け、〈広場《バンカーヒル》まひる〉の船体は四分五裂と言う有様になった。

 だが、反転して追ってきた〈広場《プリンストン》ひなた〉の航空攻撃が包囲網を粉砕し、二隻は南米周りで太平洋への脱出を敢行。遂に、これを成功させた。その過程で、予備部品も合わせて140機近かった搭載機は消耗し尽くし、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉の上空にやってきたのは使える部品を組み合わせて造りあげた最後の一機である。両艦とも無線が修理不能なまでに破壊されたため、飛行機を連絡に使うしかなかったのだ。

 その過程で艦長室への直撃弾により、航海日誌が消失。この大脱出行の記録は公式の記録には記載されない幻の文書と化した。現存するのは、ハワイ到着後から書かれ始めたものである。

 その日誌は、艦長の個性を反映してか、彼の私的な日記に近いざっくばらんな内容である。しかし、そうであるが故に、合衆国にとって悲惨と言う他なかったあの第三次世界大戦を個人の目から見た時の貴重な記録として、この「日記」は価値を持ちつづけている。  

第十七章 大改装開始[編集]

 1948年7月にハワイへの生還を成し遂げた〈広場《バンカーヒル》まひる〉。その損傷は酷いものだった。魚雷の被弾こそ無かったが、爆弾と艦砲の命中によって上部構造物は穴だらけになり、飛行甲板の後ろ半分はめくれあがって着艦不能。格納庫は航空機の残骸が詰まっていた。人間に例えれば警官隊の一斉射撃を食らったようなもの。

 ハワイの工廠関係者は頭を痛めた。こんな状態でどんな修理をするのか。船体は無事だが、それ以外は全部バラして組み直すのに近い手間がかかるぞ…

 おまけに、国は大混乱に陥っており、これほど手酷く破壊された大型艦を修理する資材と予算の手当ても付きそうもない。なにしろ、要修理艦としてはやはり大破している戦艦〈桜庭《ミズーリ》香澄〉や〈夕凪《ミネソタ》美奈萌〉などがある。太平洋艦隊は当面簡単な修理で戦線再投入可能な〈遠場《ニュージャージー》透〉や〈七瀬《ハワイ》留美〉を優先修理する方針を固めており、〈広場《バンカーヒル》まひる〉には修理資材確保のための解体と言う案まで出るほどだった。

 しかし、大西洋艦隊司令代行、カノー・レイノルズ少将、〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長をはじめとする旧大西洋艦隊首脳部は〈広場《バンカーヒル》まひる〉の放棄案に断固として反対した。彼女は言わば大西洋艦隊の命の恩人(艦)である。彼女がいなければ、全ての艦が大西洋から脱出できなかったかもしれない。太平洋艦隊にだって、工作艦だった頃の彼女に癒してもらった艦はいるはずだ。その彼女をどうして解体などにできようか!

 こうした強硬な反対に、〈広場《バンカーヒル》まひる〉の解体案は撤回された。とは言え、今の合衆国に彼女を修理する余裕が無いのも事実。傷付いた〈広場《バンカーヒル》まひる〉は将兵の士気に与える影響を考慮し、真珠湾軍港の最奥部に隠されるように停泊していた。まるで、森の中に隠れ住む天使のように。このまま、時の流れからも取り残され、戦局すら忘れて…朽ち果てていくのか。乗組員たちの焦りは大きかった。

 その流れが変わったのは1948年秋、合衆国が日英枢軸への参加を決定した時の事である。同盟締結後、連絡武官として真珠湾を来訪した日本海軍代表団の中に、英空母〈リアン〉の巡洋戦艦からの改装に携わった人物がいたのである。

 彼は真珠湾で損傷したまま半分放置されている〈広場《バンカーヒル》まひる〉を発見し、完全な空母への改装を提案した。これに艦長以下の乗組員も賛成する。傷つき果てた祖国を救うため、再び戦場に立つ事を望んだのだ。その熱意を、新たに合衆国艦隊司令長官に就任したニミッツ大将も了承する。彼は数年前まで南部連合に身を置き、亡国の苦しみをその身で知っている人物だった。

 〈広場《バンカーヒル》まひる〉の改装は徹底的なものだった。船体を前後に分断し、ブロック化した機関部をはめ込んで再接合すると言う工法により、船体長は大幅に延長され、それまでの240メートルから一挙に295メートルへと延長。飛行甲板は前端部が艦首と一体化したエンクローズド・バウとなり、左舷に13.5度のアングルド・デッキも装備された。しかも、甲板には75ミリ、格納庫上部と合わせて135ミリの装甲も張られている。

 飛行機格納庫も拡大され、搭載機数は露天繋止含め110機。これらを効率的に運用するために、甲板前端に2基、アングルド・デッキに1基の合計3基の蒸気カタパルトが設置された。また、エレベーターも無事だった前部の一基を除く中央部、後部の二基がサイドエレベーターとされた。

 小柄な艦橋と4基の煙突は一体化され、〈ミッドウェイ〉級に準じた構造の大型艦橋を設置。武装も大幅に強化し、両舷にMk-41単装5インチ自動両用砲を5基ずつ装備。対空機関砲、機銃も可能な限り増設した。

 何よりも特筆すべきは、速力が従来の29ノットから33ノットと他の空母に比しても引けを取らない俊足を手にした事であろう。

 これらの改装は規模が大きかっただけに半年を要したが、パナマ運河奪還作戦で空母6隻を撃沈破され、壊滅状態に陥った合衆国海軍空母機動部隊を救うようにして登場した。

 その期待は大きく、合衆国海軍は東海岸で建造中に失われた〈ミッドウェイ〉級空母に与えるはずだったCVB(超大型空母)の艦種類別を彼女に与えた。いつも中途半端な存在だった彼女は、遂に両方の翼を持つ「真の天使」の姿を取り戻したのだった。  

第十八章 やり方を教えて[編集]

 USS〈広場《バンカーヒル》まひる〉CVB-01となった彼女だが、艦長は以前と変わっていなかった。彼が戸惑いを覚えたのは、新たに設置された54口径5インチ両用砲Mk-41、3インチ自動速射砲などの新装備、そして今までは戦闘艦艇ではなかったために装備されていなかったCIC(戦闘情報室)だった。使い慣れたMk-38やボフォースの40ミリはどこに行ってしまったのか。大型化した武装に戸惑い、昼夜兼行で行なわれた改造工事指揮の疲れから熱を出した〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長は〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長をはじめとする同艦のスタッフを招いて新装備の取り扱い講習会の開催を依頼した。

「なんでそんな事を私に頼むわけ?」と〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は困惑した。〈広場《バンカーヒル》まひる〉の新装備は別に〈桜庭《ミズーリ》香澄〉にだって装備されているわけではないのだ。

 とは言え、同期で親友の〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長が熱で火照った顔で頼み込んでくるのを断る事もできず、仕方なく彼は〈広場《バンカーヒル》まひる〉に乗り込み、各種装備取り扱いの講習会を開催した。しかし、実技ともなるとやはり扱った事のない兵器ばかりであるだけにミスが続出した。

 まだ本格的に使用されたことのない、デリケートさの抜けない自動砲を従来の感覚で扱って、見ていた〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長に「うわわっ、そんなに強くするの!?」と驚かれたり、極めつけは引き金を強く引きすぎて本当に発砲してしまい、あまつさえ〈桜庭《ミズーリ》香澄〉に対して直撃弾を出す始末。

 幸い、戦艦である〈桜庭《ミズーリ》香澄〉に5インチや3インチの砲弾が当たったところでどうということはなかったが、真珠湾港内には発射した信管の生きている砲弾が何発か残ってしまった。

「どうしようか?」と聞く〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長に、〈桜庭《ミズーリ》香澄〉艦長は迷わず〈桜庭《ミズーリ》香澄〉のスクリューを回し、海底の泥を巻き上げて砲弾を埋めるという荒業に打って出た。その力技の解決方法にはさすがの〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長も驚愕している。

 結局、双方の疲労が激しいという事で、その日は砲の取り扱いだけで講習会は終了した。CICに関しては手付かずであったが、少し離れたところで訓練の様子を見ていた〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長は「CICのほうは俺が…」と密かに呟いていた。

 彼がCICの使い方を〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長に教えたかどうか、それについては資料がないので不明である。   

第十九章 新部隊編成[編集]

 改装及び訓練を経て、〈広場《バンカーヒル》まひる〉は直ちに数少ない稼動空母としてカリブ海に進出。その脇には、誰よりも身近な小さな「妹」、〈広場《プリンストン》ひなた〉が付き添っていた。彼らの目的地は西インド諸島の一角、マルティニーク島。カリブ海戦線最大の激戦区である。

 10月の中部大西洋海戦では〈鳴瀬《ランドルフ》健一〉沈没をはじめとして、参加した枢軸軍空母全艦が損傷、後方に下がらざるを得なくなった後の参戦だけに、彼女の到着は大いに歓迎された。

 マルティニーク島に到着した〈広場《バンカーヒル》まひる〉は〈天都《イントレピッド》みちる〉を旗艦とする第37任務部隊に編入され、早速彼女の指導のもと航空支援任務に就き、欧州連合軍の地上部隊に攻撃を加え始めた。搭載機数の多い彼女は一度の出撃に50~60機を飛ばして欧州軍に手ひどい打撃を与えている。

 マルティニーク到着から数日後、陸上砲撃部隊に入っていたはずの〈遠場《ニュージャージー》透〉が何故か第37任務部隊の遊弋海域にやって来た。真面目にやっていればいいものを、砲撃基準座標の事前プロットを手抜きして味方の物資集積所を吹き飛ばしたらしい。他にもいろいろとポカミスや悪事を働いたせいで、激怒した指揮官のレイノルズ少将に追い出されたと言う。

「他に行く場所がないんだよ~泊めてくれよ~」

 と殊更弱々しく言う〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長。困る〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長。そして、大反対したのは〈広場《プリンストン》ひなた〉艦長。

「絶対ろくでもないことをしでかすに決まっている」

 というのがその理由。ハワイ沖、ファンディ湾などで武勲を上げているとは言え、邪道、奇道に属する戦術を駆使してそれを達成してきた〈遠場《ニュージャージー》透〉はトラブルメーカーとしても知られている。

 また、〈広場《プリンストン》ひなた〉艦長は〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長と折り合いが悪かった。彼はアメリカ人としては異例なまでに背の低い人物で、海軍兵学校時代に〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長に背の低さに付いてくだらない渾名をつけられた事を恨んでいたらしい。

 とは言え、その場の先任指揮官として決定権を持つ〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長はまぁ見過ごしにはできないだろうと言う事で、〈遠場《ニュージャージー》透〉を編入する事にした。

 ありがたい、とばかりに陣形を組む〈遠場《ニュージャージー》透〉に対し、〈広場《プリンストン》ひなた〉は

「変な事しないでよね…やったら、すり潰すわよ」

 と発光信号を送って釘を刺し、こうして部隊はややぎこちないながらも一つ海の上で行動を開始した。

第二十章 バスハウス作戦[編集]

 ところが、3隻が行動を開始してすぐ、今度は〈広場《バンカーヒル》まひる〉が誤爆をやらかした。吹き飛ばしたのは貯水池である。以前は事故で送水パイプを破壊した事のある彼女だが、水源と名のつくものに対して相性が悪いようだった。幸い下流に味方部隊や人家はなかったために人的被害は生じなかったが、大問題である事に変わりはない。

 こうなると、貴重な戦力とは言え誤爆・誤射コンビにはなかなか仕事が回されない。何故か人脈だけはある〈遠場《ニュージャージー》透〉が八方手を尽くした結果、再編成のため後方に下がる部隊があるので、一時的に味方の戦力が空白になるその戦域の敵を叩いてくれとの依頼が来た。

 3隻は早速出撃、〈バスハウス〉と名づけられているその海域へやって来た。密林にはそこそこの数の欧州連合軍部隊が潜んでいるらしい。早速、偵察機が出て主な攻撃目標の様子を確認する事になった。その結果、〈広場《バンカーヒル》まひる〉が車輌プールを発見。目標のコードは〈コーヒー牛乳〉である。一方〈広場《プリンストン》ひなた〉は燃料集積所を発見していた。こちらのコードは〈フルーツ牛乳〉である。

 早速攻撃を仕掛けようとした2隻の空母だったが、〈遠場《ニュージャージー》透〉がそれを引き止めた。

「まぁ待て。補給が先だろう?」

 その通りである。攻撃する先が決まった途端に出てきたので、肝心の弾薬の補給を忘れてきたのだ。さっそく補給艦が呼び出される。

「一緒に補給しよう」

 と言う〈広場《バンカーヒル》まひる〉に対し、〈広場《プリンストン》ひなた〉は「ええっ!?」と冷静なこの艦にしては珍しく驚いたような声を出した。と言うのも、軽空母の彼女と正規空母の〈広場《バンカーヒル》まひる〉では、この時期全く補給物資が違っていたからである。

 急速なジェット化の進行により、対地攻撃用の大型爆弾やロケット弾、対艦魚雷、ジェット燃料を積む正規空母に対し、軽空母は既にほとんどがレシプロ機搭載の対潜哨戒艦となり、物資も爆雷やガソリンがメインだったからである。同じ補給艦からは補給できないのだ。

 しばらくして、補給艦2隻が到着。〈遠場《ニュージャージー》透〉が補給に時間のかかる〈広場《バンカーヒル》まひる〉の護衛を務める事になった。途中、この部隊の存在を察知した欧州連合の航空機が攻撃を仕掛けてきたが、上空警戒機と対空砲火によって軽く撃退。もっとも、〈広場《バンカーヒル》まひる〉ではまだ扱いに慣れていないためか、間違って真上に打ち上げた3インチ砲弾がそのまま垂直に落下してきて飛行甲板を直撃するようなアクシデントも起きている。同じミスを〈広場《プリンストン》ひなた〉もやっており、幸い実害はなかったが〈遠場《ニュージャージー》透〉では「やっぱり姉妹だ」と微苦笑が起きていた。

 一騒動あって、〈広場《プリンストン》ひなた〉はもう一隻の補給艦に向かいながら〈遠場《ニュージャージー》透〉に通信を送った。

 「絶対に変な事すんじゃないわよ」

「はいはい」

「〈広場《バンカーヒル》まひる〉に指一本触れたり触れさせたりしたら殺す」

「はいはい」

 両者の険悪なムードにも気付かず、〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長は上機嫌だった。補給状況監視のために司令塔上部の露天艦橋に上がり、熱心に〈広場《バンカーヒル》まひる〉を見守る〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長に声をかける。

「あ、何熱心に見てんの。何でこんなところに立派な正規空母が?とか思ってるんでしょう~」

「まぁな」

「でしょ?でしょ?いやね、私も自分ではそうじゃないかなーってちょっとは思わないでもないんだけど、やっぱり人に言われるとなんというか」

 〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長はかなり浮かれているようだった。まぁ、久しぶりに完全な戦闘艦艇の指揮を取るのだから無理もない。〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長は苦笑しつつも、〈広場《バンカーヒル》まひる〉と補給艦の間に渡された補給ポストの間隔がヤバくないか?と思った。どうも浮かれている艦長が操艦指揮を忘れているらしい。

 と思っていたら、案の定燃料パイプが外れた。

「うひゃあああああぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 慌てて叫ぶ〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長。その時、後方から猛烈な速度で迫り来る艦影があった。〈広場《プリンストン》ひなた〉である。

「こらああああぁぁぁ!!何をしたぁぁぁぁ!!」

 額に青筋を立てて怒鳴る〈広場《プリンストン》ひなた〉艦長に対し、〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長は「いや、これは俺のせいじゃない。不可抗力だ」と弁明する羽目になった。

 ともあれ、無事に補給を済ませた部隊は攻撃を開始した。〈広場《バンカーヒル》まひる〉から飛び立った航空隊は〈コーヒー牛乳〉…車輌プールを空爆。戦車やトラックが配置されたそこを、しゃぶり尽くすように念入りに攻撃し、きれいさっぱり破壊した。一方、〈フルーツ牛乳〉…燃料集積所を攻撃した〈広場《プリンストン》ひなた〉は腰に手を当てて一気に飲み干すような豪快かつ男らしい一撃で燃料集積所を吹き飛ばした。島の二箇所から黒煙が立ち上る。

 戦果を上げ、帰ろうとする2隻の空母。その時、〈遠場《ニュージャージー》透〉が「まあ待て」とばかりに島に近づくと、海岸近くの丘に向かって主砲の3斉射を叩き込んだ。次の瞬間大爆発が起こり、丘の上部が勢いよく抜いた炭酸飲料の蓋のように吹き飛ばされた。

「な、何今の」

「いや…ラムネだ」

 唖然とする〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長に〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長はほくそ笑みながら答えた。〈ラムネ〉とは弾薬庫の意味。〈遠場《ニュージャージー》透〉の出した偵察ヘリは地下弾薬庫の位置にあたりをつけて通報してきていたのである。その予測が大正解だったわけだ。

「別に地上に出てるだけが目標じゃないんだぜ」

 そう言った〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長に対し、〈広場《バンカーヒル》まひる〉艦長は「うぅ~ずるい~」とこぼし、〈広場《プリンストン》ひなた〉艦長に「子供かあんたは」と突っ込まれる羽目になった。

 ともあれ、彼らが戦隊を組んでの初任務は大成功に終わったのである。  

第二十一章 カリブ後[編集]

 カリブ海戦線が枢軸軍の勝利に終わり、海軍主力が大西洋に進出した後は、連合軍海軍主力はそれぞれの根拠地に篭り、守りの体制に入った。ニューヨーク沖、カサブランカ沖などの海戦も起きたが、これらは主に戦艦同士の砲撃戦に終始し、空母機動部隊の出番は減少していた。

 〈広場《バンカーヒル》まひる〉も主に輸送船団の護衛に就いており、ニューヨーク沖では宿敵ドイツ北米艦隊を攻撃圏内に捕らえたものの、悪天候で艦載機が出せず、ルイジアナ上陸―〈剣〉号作戦では地上支援に回ったところ、作戦自体が大失敗に終わり、またしても逃げてくる味方の撤退援護に入る事になってしまった。

 この間に、〈広場《バンカーヒル》まひる〉は〈伊藤《エンタープライズ》乃絵美〉と戦隊を組む事が多くなっている。パナマ戦の後、空母の余裕がないために2隻が交代で前線に出る事が多くなかなか顔を合わせる機会がなかったのだが、補充の〈橋本《エセックス》まさし〉級が竣工して投入されるようになると、最も実戦経験の豊富な2隻が最精鋭部隊として組むようになったのである。正統派最強ヒロインと、異端派最強ヒロインの組み合わせと言う、なかなかユニークな取り合わせの2隻であった。

 2隻が最大の活躍を見せたのが1952年1月の第三次世界大戦最後の艦隊決戦―〈北の暴風〉であり、枢軸軍最大の戦力を持つ第二機動艦隊の指揮下で欧州連合第一航空艦隊と渡り合い、これを壊滅させる一翼を担った。この時欧州連合艦隊―第一航空艦隊に、巡洋戦艦〈桜塚《シュリーフェン》恋〉〈鷺ノ宮《ビューロー》藍〉の2隻がいる事を知るや、〈広場《バンカーヒル》まひる〉では艦長自ら訓示を発してこの2隻を最優先攻撃する事を命じた。なにしろ、この2隻は元大西洋艦隊所属艦艇にとってはファンディ湾以来の宿敵である。

「第一目標、〈桜塚《シュリーフェン》恋〉、〈鷺ノ宮《ビューロー》藍〉!第二、第三目標も同じっ!!」

 この訓示を受けた攻撃隊は一番目立つ〈橘《フォン・リヒトホーフェン》天音〉を無視して二隻の巡洋戦艦に猛攻を加えた。このために、〈桜塚《シュリーフェン》恋〉〈鷺ノ宮《ビューロー》藍〉は空母部隊のエスコートを果たせず、〈伊藤《エンタープライズ》乃絵美〉の航空隊が〈橘《フォン・リヒトホーフェン》天音〉に取り付くのを防ぐのに失敗している。

 この後、〈広場《バンカーヒル》まひる〉を含む第23任務群は欧州連合艦隊を捕捉殲滅すべく南下したが、途中で漂流中の〈鈴原《エムス》琴美〉とその救援部隊に遭遇して戦闘に巻き込まれ、本隊の捕捉に失敗してしまう。しかし、不完全とは言えファンディ湾の屈辱を濯ぎ、壊滅した旧大西洋艦隊の復仇を果たしたのだった。

第二十二章 too late[編集]

 第三次世界大戦終結後、予算の少ない海軍はSLEP工事を重ねて〈広場《バンカーヒル》まひる〉を運用しつづけた。第四次世界大戦にも投入され、太平洋の航路維持に活躍している。

 そして、彼女の最後の戦いの場となったのは、1998年のペルシャ湾。イラク・フセイン政権のクウェート侵攻によって勃発した湾岸戦争である。

 第四次世界大戦ではまたしても熾烈な地上戦の戦場となり、大きな被害を受けた合衆国だったが、枢軸同盟の一員として義務を果たすため、それなりの規模を持つ部隊をペルシャ湾岸へ派遣した。ペルシャ湾派遣艦隊の一員として展開した〈広場《バンカーヒル》まひる〉は、戦闘開始と共にイラクに対する航空撃滅戦と空爆の一翼を担った。戦闘は多国籍軍の圧倒的優位のうちに推移し、イラク空軍は72時間で組織的な戦闘力を失った。

 しかし、ここにわずかながら例外がある。かつてドイツおよび東部連合より派遣された軍事顧問団からなる三個飛行隊が、砂漠の地下深くに建設された退避壕で牙を研いでいたのである。

 彼らは多国籍軍によって為す術もなく粉砕されている両国の輸出兵器―当然イラク以外の国にも輸出されている―が、熟練した兵士の手にかかれば強大な威力を振るえることを証明すべく待機していた。さもなくば、今後の世界兵器市場で祖国が脱落しかねない。その待ち望んでいた機会は開戦より2週間後に訪れた。

 補給のために、ペルシャ湾上に展開していた3隻の空母のうち、日本の〈宮田《飛天》健太郎〉、フランスの〈シャルル・ド・ゴール〉の2隻が後退し、一時的にペルシャ湾奥部に存在する敵空母が〈広場《バンカーヒル》まひる〉一隻になったのである。この機を逃さず、両軍事顧問団は全力出撃。サウジ領への侵攻を開始したイラク陸軍を隠れ蓑にしてペルシャ湾上の〈広場《バンカーヒル》まひる〉に向かって突進した。

 この瞬間、多国籍軍が湾岸で味わった最大の悲劇は幕を開けた。〈広場《バンカーヒル》まひる〉を守れるのは、彼女自身の防空火力と5隻の護衛艦のみ。三方向から殺到する総計50機以上の攻撃隊に対し、爆装を投棄して立ち向かった艦載機隊と艦隊の発射する対空ミサイルが襲い掛かり、7機を撃墜、発射されたミサイルの7割を叩き落す決死の防空戦が展開された。しかし、間に合わずに突入してきた20発以上のミサイルに対し、〈広場《バンカーヒル》まひる〉の盾となったエスコート艦艇は次々に被弾炎上。最後に残った3発のミサイルが〈広場《バンカーヒル》まひる〉の艦尾に次々に命中した。

 次の瞬間、〈広場《バンカーヒル》まひる〉は洋上に浮かぶ火炎地獄と化した。格納庫内の艦載機が誘爆し、艦尾のデッキから猛烈な火焔が立ち上る。5隻のエスコート艦も自分自身を助けるので精一杯であり、艦尾が猛火に包まれた〈広場《バンカーヒル》まひる〉を救援するどころの騒ぎではなかった。

 この時、現場に急行したのは〈遠場《ニュージャージー》透〉を中核とする水上打撃戦闘群だった。〈広場《バンカーヒル》まひる〉空母戦闘群の窮状を知り、全速で駆けつけてきたのである。しかし、間に合わなかった。現場で目にしたのは、既に敵機は立ち去り、黒煙を噴きあげて沈み行くエスコート艦と、その中心で炎上する〈広場《バンカーヒル》まひる〉。

「直ちに救助活動にかかれ!!」

〈遠場《ニュージャージー》透〉艦長は命じると、艦を〈広場《バンカーヒル》まひる〉に横付けさせ、消火活動を開始した。自らも応急班員に混じってホースを握り、火焔地獄の中に飛び込んでいく。彼らの決死の消火活動により、〈広場《バンカーヒル》まひる〉の火災は間もなく鎮火した。

 しかし、〈広場《バンカーヒル》まひる〉の損害は甚大で、格納庫は完全に使用不能。飛行甲板も爆圧で波打ち、操舵機構が破壊された為に航行不能状態になっていた。

 多国籍海軍は〈広場《バンカーヒル》まひる〉の後方への回航を指示。彼女は〈遠場《ニュージャージー》透〉に曳航されてペルシャ湾を後にした。さすがにこれほどの損害ともなれば浮きドックでもどうにもならず、ハワイまでは曳いて帰る必要があった。二隻は8ノットと言うゆっくりとした速度でハワイへ向かって行った。

 一方、この損害に完全に激怒した合衆国軍は、翌日直ちに報復を開始した。空軍機、艦載機を問わず無数の航空機が軍事顧問団の秘密基地に対して出撃。一日で七波、述べ300機以上の航空機を動員した猛烈な空爆と、ペルシャ湾に展開した〈桜庭《ミズーリ》香澄〉以下の艦艇の艦対地ミサイルを浴びせかけた。滑走路他の地上施設は完全に粉砕されて周囲の砂漠と区別がつかない状態に変わり、さらに戦略爆撃機の投下するバンカーバスター爆弾と燃料気化爆弾のコンボが地下施設までも粉砕して焼き払った。

 辛うじて攻撃前に脱出した部隊はイラン領への逃走を図ったが、待ち受けていた制海艦〈広場《プリンストン》ひなた(Ⅱ)〉搭載機の攻撃を受け、全機が撃墜された。ここにイラクに巣食っていた不良分子―国家社会主義陣営の残党は残らず殲滅されたのであった。

〈広場《バンカーヒル》まひる〉と〈遠場《ニュージャージー》透〉がハワイへ帰り着いた日、湾岸戦争は日本空軍の爆撃によるフセインの死と、イラクに成立した民主政権が多国籍軍に対して講和を求めてきた事により事実上終結していた。多国籍軍の戦死者のうち、6割近くが壊滅した〈広場《バンカーヒル》まひる〉空母戦闘群のものだった。

 この戦いの最後において、ある意味では喜劇的な、しかし笑えない事態が発生している。ハワイへの入港直前、〈遠場《ニュージャージー》透〉の艦尾に曳航してきた〈広場《バンカーヒル》まひる〉が減速を失敗して追突。2隻揃って艦尾を損傷してドック入りする事になったのだった。

最終章 ひとつ屋根の下で[編集]

 一応の修理を受けた〈広場《バンカーヒル》まひる〉だったが、艦齢は既に60年。他の合衆国空母が竣工後3年以内で戦没したものが多かった事を考えれば、1000年生きたのにも等しい長寿である。もともと、この戦争を最後の花道として引退させる事が決定しており、〈広場《バンカーヒル》まひる〉は記念艦としてどこかの軍港に保存される事となった。この決定に関して、各地で激しい〈広場《バンカーヒル》まひる〉誘致合戦が展開されている。いろいろ問題はあったが、「熱血・楽観・献身」と称されたスタイルの元、退勢著しい合衆国海軍の名誉を背負って奮戦しつづけた彼女が、海軍を代表する人気艦である事は間違いないからだ。

 結局、彼女の落ち着き先はシアトルとされた。なぜここが選ばれたかと言えば、初代の軽空母〈広場《プリンストン》ひなた〉が保存されているからなのだった。同時に、モスボール化保存される事になった〈桜庭《ミズーリ》香澄〉〈遠場《ニュージャージー》透〉の二戦艦も回航されてきた。

 現在、西部開拓時代にその原型ができた古い街であり、接触戦争の戦災も免れたシアトルは街全体を覆う全天候ドームによって景観が保存されている。4隻の艦艇は、今は亡きアメリカ合衆国と言う国が、その歴史上経験した5回の大戦争を生き抜いた歴史の証人として、今もひとつ屋根の下そこに在り続けている。