八八(cm)艦隊備砲総覧
第2部 戦艦副砲/巡洋艦主砲編(14cm砲〜20.3cm砲)
 

■三年式50口径20cm砲(1型/2型/3型)
 〈橋本〉級に搭載され、その後日本重巡洋艦の標準となった8インチ砲。当初、20cm(7.9インチ)砲となる予定であったが、合衆国海軍が隆山条約における空母の備砲口径の上限、8インチ砲を搭載した航空巡洋艦の建造を開始したことから、急遽砲身をボーリングし、正8インチ砲として完成した。
 その後、射程延伸と威力の増大を狙い、薬装を強化した2型、3式20cm砲用砲弾の使用を可能とした3型が開発、それぞれ改良されている。
【搭載艦】(代表的なものののみ)
橋本〉型重巡洋艦
大庭〉型重巡洋艦
〈鳥海〉型重巡洋艦
高瀬〉型重巡洋艦(竣工時)

■三式50口径20cm砲
 合衆国の条約型/ポスト条約型重巡洋艦に対抗する形で開発された、日本製20cm砲の決定版。三年式と同様、50口径砲であるものの、薬装および砲弾重量は格段の向上をみている。
 砲の性能そのものは優れていたものの、この種の砲の存在価値が薄れていたこと、砲身命数が三年式の6割程度まで落ち込んだことから装備艦は〈江藤〉および〈高瀬〉級のみ(ただし〈高瀬〉級は48年の第二次大改装時)となっている。
【搭載艦】
高瀬
〈江藤〉

■毘式15cm砲
 〈篠塚“金剛”弥生〉型、〈扶桑〉型に搭載された副砲。実測口径は15.2cm。また、〈魔神“阿賀野”勇一〉級軽巡洋艦の主砲へ転用も予定されていた(その後三年式15.5cm砲に変更)。
 第二次大戦時にはすでに旧式化しており、〈篠塚“金剛”弥生〉型、〈扶桑〉型が副砲を撤去して以後は主に、沿岸防衛用の重砲として陸軍に譲渡された(ただし、陸軍も太平洋戦争後、合衆国製155ミリ加濃砲のコピー版の配備が進んだ段階で本砲を廃棄している)。
【装備艦】
篠塚“金剛”弥生〉型
〈扶桑〉型

■三年式14cm砲
 〈伊勢〉型および、八八艦隊計画における戦艦副砲と、同計画で建造された軽巡洋艦(当時の名称は二等巡洋艦)主砲として開発、搭載された中口径砲。列強で主流となっていた6インチ砲に比べて一回り小口径となっているのは、日本人の体格を考慮したためである。
 その後、戦艦群の副砲撤去、5500トン級および〈天龍〉級の防空対潜軽巡への改装に伴い大半の砲が陸揚げされているが、一部は陸軍の15cm加濃砲の砲架に搭載され、海軍陸戦隊が重砲として装備している。
【装備艦】(代表的なもののみ)
〈来栖川“長門”芹香〉型戦艦(副砲)
〈天龍〉級
5500トン級
美汐〉級

■三年式15.5cm砲
 〈相田“最上”響子〉型軽巡洋艦および、〈長谷部“高千穂”彩〉用の副砲として開発。当時の同種砲では最優秀の砲であり、一時は20cm砲不要論さえ議論の俎上に上ったほどであった。
 なお、連装砲架に搭載した型が〈魔神“阿賀野”勇一〉型軽巡洋艦に搭載されたほか、高仰角時を含む発射速度の増大を狙った2型も開発され、既存の装備艦の他、〈弥生〉型駆逐艦にも装備されている。
【装備艦】(代表的なもののみ)
長谷部“高千穂”彩〉型戦艦
相田“最上”響子〉型軽巡洋艦
吉川〉型軽巡洋艦
魔神“阿賀野”勇一〉型軽巡洋艦
保科〉型軽巡洋艦
弥生〉型駆逐艦