株式会社中崎造船                               (Tactics/メイファーソフト)
 

 大阪に本拠を置く、中堅造船会社。数々の個性的な商船を発表し、数多い固定ファンを持つ。

 前身を梅花造船合資会社といい、「はるの丸」、「ふぁんとむ丸」、「まあぶる丸」といった商船を建造して発表したものの船主たちの反応は悪く、鳴かず飛ばずの弱小会社であった。
 社名を変更して再出発を図ったが、第一弾の「DS船」を発表しても市場の反応は今一つ二つ三つだった。かえって今後の進路を懸念される有様だった。
 しかし、後に北崎エンジニアリング横須賀に移籍する技師たちが入社するや躍進を開始した。彼らの企画による「MN船」は意欲作として市場に衝撃を与えた。続いて発表された「BS船」は初動こそ鈍かったが船主たちの間に口コミで優秀作であることが広まったのである。最終的に同社始まって以来のベスト・セラーとなり、大手の発表した「WA船」、「WY船」といった優秀作を押さえて某年度の大賞を獲得するに至った。他のメーカーは「BS船」を解析して大っぴらに模倣を始める始末だった。それ程までに「BS船」は市場に巨大な衝撃を与えたのだ。中崎造船はこのまま大躍進をとげて業界大手に仲間入りするかに思われた。

 けれども此処にきて経営陣(営業担当を含む)と技術陣の対立が発生してしまい、仲裁に奔走した吉崎船渠長の努力もむなしく、同社の躍進を支えた技師たちは北崎エンジニアリング横須賀へ移籍してしまったのだ。移籍した彼らは一大ベスト・セラーとなった「KN船」(月宮丸、名雪丸、栞丸、沢渡丸、川澄丸、祐一丸ほか)、さらに巨大客船「ジ・ワン・サウザンズ・サマー」シリーズを発表し、業界のトップ・ブランドへとのし上がることになる。
 一方、中崎造船では吉崎船渠長を中心に技師陣を再編成した。「正栄丸」に代表される「SZ船」、それに「NOV船」を発表し、標準以上の評価を獲得する堅実さを発揮している。近日には「SW船」(常磐丸、有馬丸ほか)、「チェリオ船」(日向丸、杉浦丸、古雅丸、天ヶ瀬丸ほか)の発表を予定している。

 巨大な財産というべき「BS船」の設計図を準大手の奇童船渠に売り払うという行動をとった経営陣の迷走ぶりが不安材料ではあるが、2ラインを有するまでになった工場と技師陣の士気は高く、さらなるシェアの獲得を目指して奮戦中である。同社が大手にのし上がるのは案外と間近いのかもしれない。