インターチヤネル株式会社                            (NECインターチャネル)

 東京に本拠を置く大手造船会社。某電機会社の子会社として造船部門を担当している。その仕上げの良さでは定評があるが、市場における評価は決して高いものとは云えない。

 設立当初の同社では奇童船渠と同じく、ドイツのフォッケ・ウント・クラフト社やフランスのELF社のライセンスを買って日本向けに仕上げることで技術の蓄積を図っていた。代表作としてフォッケ・ウント・クラフト「PiCa2」、ELF「D−IF」などがあり、オリジナルとしては限定生産された「BM船」がある。ここまでの同社は堅実な実績を残していた。
 そして同社は或る計画を発表して造船業界に一大旋風を巻き起こす。それが12パターンもの大型商船を同時建造するという「SG」計画であった。設計を公表し、大資本にものを言わせて多大な広告を展開した「SG」計画は大きな期待を寄せられ、建造が完了しない内から受注が相次いだ。しかし相次ぐ竣工延期の末に発表されたものは期待に応えられたとは言い難い代物であり、オープニング・セレモニーでの「暗黒舞踊」ばかりが話題となった。ここに造船バブルは弾けた。

 けれども「SG」計画を推進した工廠長は強気で新たな計画を推進する。「SG船」を改設計した「SG2」である。今度も延期が相次ぎ、工廠長は頭を丸める羽目に陥った。竣工した「SG2」はまずまずの評価を獲得した。しかし市場の話題は北崎エンジニアリング横須賀の「KN船」をインターチヤネルがライセンス生産することに移っていたのである。北崎では次期主力の「ジ・ワン・サウザンズ・サマー」の開発と海軍の受注をこなすことで精一杯だったのだ。先行発表会における人気でも「KN」シリーズが「SG」シリーズに取って代わっており、「SG2」関係のブースは閑古鳥が鳴くような有様だったという。
 インターチヤネルでの「KN」シリーズのライセンス生産は市場において高い評価を得た。オリジナルが高い完成度を誇るだけに、奇童船渠がするような余計な要素の追加をおこなわなかったのは好判断といえよう。ただ「名雪丸」系の解釈を間違えたらしく、その点ではオリジナルのファンから辛い点数をつけられている。
 なお、同社では「SG」シリーズの後継として「SP船」が予定されており、フォッケ・ウント・クラフト系では「PiCa2.2」も予定されている。