スエズ攻防戦  (<遠野‘フォーミダウル”美凪>・<国崎‘デューク・オブ・ヨーク”住人>エピソード用)


 1950年,日本の仲介でナセルと話を付けた英国はスエズ奪回作戦を計画。
 主力は<遠野‘フォーミダウル”美凪>以下正規空母4隻(注1),これを前年の紅海での戦いでの航空機の損耗の補充を受けた<千鶴(U)>,<神岸‘昇龍”あかり>等を主力とする日本空母群が支援。
 中々スエズ閉塞許可が下りない(注2)独仏伊軍はようやく鹵獲後の改装が完了し,実戦参加の運びとなった<遠野‘グラーフ・ツェッペリン(U)”みちる>以下正規空母2乃至3隻が主力。ただし,カリブ海での大消耗の結果,護衛艦艇は極めて貧弱であった。
 航空戦の結果,後方の日本機動部隊は付近の航空基地の制圧に成功(注3),英軍も<遠野‘グラーフ・ツェッペリン(U)”みちる>を除く全艦艇を撃沈。英艦隊は旗艦<遠野‘ヴィクトリアス”(母)>大破により旗艦は<遠野‘フォーミダウル”美凪>に委譲。
 <遠野‘グラーフ・ツェッペリン(U)”みちる>はよろばうような速力でスエズを目指す。自らが沈むことで運河を閉塞しようというのだ。それに対し,英艦隊は……。
 なお,この直後,ヒトラーはあわててアレキサンドリアに停泊していたスエズ閉塞用の旧式鹵獲英戦艦を回航しようとしたが,<千鶴(U)><神岸‘昇龍”あかり>攻撃隊により,一瞬にして壊滅させられた。スエズの地に再びユニオン・ジャックが翻ったのはその次の日である。

注1:<神尾‘イラストリアス”観鈴>以下一部の艦艇は陽動作戦であるペルシャ湾攻撃に参加。このため,スエズ方面の独仏伊航空戦力はかなり弱体化した。
注2:独逸軍はペルシャ湾攻撃を本命,スエズを陽動と考えたため,閉塞指示が遅れた。
注3:ナセル指揮下のネオ・エジプト革命委員会の一斉蜂起の影響も見逃せない。
 

第2次マルタ島沖海戦  (<神尾‘イラストリアス”観鈴>・<国崎‘デューク・オブ・ヨーク”住人>エピソード用)

 1951年,伊本土攻撃作戦の帰路,伊空軍の攻撃により損傷した<神尾‘イラストリアス”観鈴>を守るために時間稼ぎを行う英艦隊と仏伊艦隊の夜間砲撃戦。最後の艦隊決戦(注1)として知られる。初期は戦力は仏伊合同艦隊の方が優勢ではあった。
 海戦は航空攻撃から始まった。全速力で緊急展開した<エンジェリック・ドール‘グローリアス”>が<Kanon改U>攻撃隊(注2)を夜間に強行発艦。低空で侵入したチャフ隊がレーダー妨害を行い,注意を引きつけている間に高空から重要施設破壊用大型誘導爆弾<エビル・スレイヤーズ・ソード>を搭載した一団が攻撃,大損害を受けながらも生き残りの「夜の鬼」部隊を壊滅させた。
 かつて「我々の遊び場」であった海に巣食う魔物を撃破するという,<Kanon改U>部隊に「奇跡」を起こしてもらった英艦隊は伊残存艦隊との艦隊決戦に入る。結果,英側は大改装の末速力を上げたばかりの<セント・ヴィンセント>,<国崎‘デューク・オブ・ヨーク”住人>を始めとする多数の艦艇を失い(注3)ながらも勝利を治めた。
 この海戦の結果,地中海には枢軸側の「作戦行動可能」な戦艦は<霧島‘ローマ”佳乃>1隻にまで激減。英側も<神尾‘レナウン”晴子>を除く全ての地中海方面の戦艦が沈没乃至大破したが,<遠野‘フォーミダウル”美凪>以下の空母群が健在な上,ジブラルタル大西洋側には日本機動部隊が展開し,独仏伊艦船を寄せ付けなくしたため,地中海での制海権を完全掌握することに成功した。伊本土爆撃の影響(注4)もあり,以後,伊艦隊は終戦までタラントに逼塞することになる。

注1:「北の暴風雨」作戦における戦艦は日英同盟の対艦誘導弾の標的と化したため,ここでは除外した。
注2:隊長は日系U世のY・相沢中佐。「奇跡を起こす男」として知られる。
注3:英地中海艦隊司令長官トーマス・フリップス提督も旗艦<国崎‘デューク・オブ・ヨーク”住人>艦上で戦死した。ただし,同艦艦長は奇跡的に助かっている。
注4:燃料タンク群は片っ端から日英同盟の攻撃対象となり,また海上交通網切断の結果,それを補充する手段も無くなったため,もはや出撃するだけの燃料も無かった。

 ついでに,主な艦のスペックです。ト空艦だと感じられる方がいらっしゃいましたら,修正致しますのでよろしくご指摘下さい。

<神尾‘イラストリアス”観鈴>
 隆山条約明け後の英装甲空母シリーズ一番艦。
 当初,重装甲と引き換えに36機搭載という少ない搭載機数の予定であった本艦であるが,合衆国の<アンティータム>級建造開始に刺激を受け,重装甲で搭載量をふやすために艦が大型化した。
 それでも<アンティータム>級に対抗するには能力が不足していると見られたため,2番艦以降は全く別の艦となった。
要目
 基準排水量:29000t
 全長:244m  全幅:31m
 速力:32ノット 搭載機数:57機

<遠野‘ヴィクトリアス”(母)>
 英装甲空母シリーズ二番艦。
 遂に排水量は三万六千tに達し,重装甲と70機を越える搭載機を誇る大型重装甲空母となった。
 後の3・4番艦建造の際には本艦の設計を母体として行われた。
要目
 基準排水量:36800t
 全長:245m  全幅:34m
 速力:32ノット 搭載機数:78機

<遠野‘フォーミダウル”美凪>
 英装甲空母シリーズ三番艦。
 当初,試験的にアングルドデッキ搭載空母として建造される予定であったが,1939年の英独開戦に伴い,時間のかかる新機構の搭載は中止,父なる英本土を守るため通常空母として就役。
 そのため,世界初のアングルドデッキ空母の座は<グローリアス>が占めることになる。
 1947年から1949年にかけて横須賀にてアングルドデッキ搭載空母への大改装を実施,その姿は完成寸前であった<遠野‘インドミダウル”みちる>にうりふたつとまで言われた。
 そのためか,スエズ奪回作戦における,旗艦<遠野‘ヴィクトリアス”(母)>の本艦に対する呼び出し符丁はまるで<遠野‘インドミダウル”みちる>への呼び出し符丁であるかのようであった。
要目(カッコ内大改装後)
 基準排水量:38000(45000)t
 全長:247m  全幅:34(44)m
 速力:32ノット 搭載機数:80(100・露天含む)機

<遠野‘インドミダウル”みちる>
 英装甲空母シリーズ四番艦。
 <遠野‘フォーミダウル”美凪>の完全な姉妹艦として建造されていた彼女は,姉である<遠野‘フォーミダウル”美凪>が通常の空母として建造されることが決まった後もアングルドデッキ搭載空母として建造が続けられた。
 しかしながら,1942年,独逸軍の英本土上陸作戦に伴い,アングルドデッキ部分未完成状態(航空機運用は限定的ながら可能)で脱出を試みるが,Uボートにより失敗,独逸軍に鹵獲される。
要目(独軍によって接収後,<遠野‘グラーフ・ツェッペリン(U)”みちる>と改称)
 基準排水量:45000t
 全長:247m  全幅:44m
 速力:32ノット 搭載機数:60機

<国崎‘デューク・オブ・ヨーク”住人>
 英国が完成させることが出来た最後の戦艦。
 <霧島‘ローマ”佳乃>との砲撃戦で後部主砲を破壊された本艦は空母を守るための防空戦艦となる。
 1951年,地中海にて大破した<神尾‘イラストリアス”観鈴>を守るために残存伊艦隊と砲撃戦となり,沈没。
要目(カッコ内大改装後)
 基準排水量:41000(42500)t
 主砲:50口径40cm砲9門(6門)
 全長:242(250)m  全幅:32m
 速力:30(31)ノット

<神尾‘レナウン”晴子>級
 第1次大戦におけるバルト海侵攻作戦用に建造された巡洋戦艦。
 1943年の第2次マタパン岬沖海戦で損傷を受けたことから,防御力と砲力の強化のための大改装を受ける。
 一番艦<神尾‘レナウン”晴子>は,無事に英本土まで戻ることの出来た数少ない戦艦の一つである。
要目(カッコ内大改装後)
 基準排水量:27650(33500)t
 主砲:42口径38cm砲6門(新型軽量50口径40cm砲6門)
 全長:242(248)m  全幅:27(29)m
 速力:30(31)ノット