日本未成戦艦――幻の浮城たち

・<高瀬“大和”瑞希>級戦艦2番艦<高倉“武蔵”みどり>
 「海軍甲事件」(訓練中に航空機からの実弾誤爆を受けて<幽霊“陸奥”部長>が轟沈)により、日本海軍は従来の大艦巨砲主義から航空主兵主義への転換を図ったが、その煽りを受けて建造が中止された。この後<高倉“武蔵”みどり>建造再開を図ろうとした海軍一部勢力の引き起こした一大不正事件「海軍骨董品事件」が発覚、<高倉“武蔵”みどり>は完全に建造中止となり、即時解体された。なおこの事件により大艦巨砲主義派の発言権は低下し、結果的に海軍が比較的スムーズに航空主兵主義への転換ができたのは皮肉なことである。
 艦名は後に統合航宙軍初の宇宙戦艦に継承される。

・改<高瀬“大和”瑞希>級戦艦 2隻
 <高瀬“大和”瑞希>級の第2・第3砲塔、50口径46センチ連装砲塔を3連装砲塔に換装し、主砲を12門にした砲力強化型(<高瀬“大和”瑞希>級の第2・第3砲塔のバーベット径、構造は3連装に換装するための冗長性を持たされていた)。この砲塔換装により基準排水量は約2000トン増加の73500トンになる。
 しかし排水量の増加に対し、機関は<高瀬“大和”瑞希>級と全く同じであるため、速力は32ノットと、1ノットの低下を招く予定であった。
 改<高瀬“大和”瑞希>級の1番艦<澤田“信濃”真紀子>は前述した「海軍甲事件」と「海軍骨董品事件」の影響で建造が中止されたが、アメリカの<ケンタッキー>級、ドイツの<Z計画>に対抗するため後に建造が再開された。しかし建造期間の短縮と予算節約のため、第2・第3砲塔は<高倉“武蔵”みどり>用に製造された連装砲塔がそのまま流用され、結局<高瀬“大和”瑞希>の同型艦として完成した。
 2番艦は工事が30パーセントまで進捗した時点で建造中止、そのまま解体された。予定艦名は<甲斐>。

・超<高瀬“大和”瑞希>級戦艦 2隻
 主砲は50口径51センチ連装砲塔が4基の計8門と、主砲口径が前2級よりも大幅に上回る戦艦。艦型は基本的に<高瀬“大和”瑞希>と同等であるが、装甲を対51センチ砲防御としたため、基準排水量は85000トンを越えていただろうと予測される。
 速力は30ノットを下回る中速戦艦になることも予想されていたが、当時研究中であったガスタービン機関が実用化すればそれに換装して速力の問題を解決するつもりであったらしい。
 もし完成していればドイツの<皆瀬“フォン・ヒンデンブルグ”葵>(50,8センチ砲搭載型)と互角に戦えたであろう。予定艦名は2隻とも不明である。

・仮称<7号艦>級戦艦 3隻?
 世界中の戦艦ファンの想像を描き立ててやまない艦である。計画も設計段階に入る前に中止になったので、その姿は想像の範疇から抜け出すことはできない。
 だが、現在言われている中で最も壮大かつ実現の可能性が高かった案は、基準排水量210000トン以上、主砲は55口径56センチ3連装4基の計12門というものである。この案の根拠としては、大神工廠で最大級のドックが全長400メートル以上もあり、<7号艦>級を建造するために造られたと思われること、1940年に竣工した<牧村>級砲塔運搬艦2隻が55口径56センチ3連装砲塔及び砲身の運搬を想定していたことなどがあげられる。
 そして機関はCOGLAG(ディーセル電気推進/ガスタービン複合推進)形式、速力も34ノットという凄まじいものである。
 この<7号艦>がもし完成していたら正統派戦艦の頂点に位置しただろうが、ドイツは第3次世界大戦中に要塞戦艦<ミズセ“シュトロハイム”アークデーモン>(600000トン)を実用化しているので、世界最大最強という言葉が当てはまらないのは残念である。しかし戦い方によっては、<7号艦>は<ミズセ“シュトロハイム”アークデーモン>に対抗できる可能性もある(速力において遥かに優越している)。
 予定艦名は未定だが、世間ではなぜか1番艦の艦名は<播磨>という定説がある。