映画「三大海軍 帝國最大の決戰」 (2000年 緑葉)

 2000年正月映画の決定版として鳴り物入りで上映されたこの映画だが、実のところ、同社の『「5.23」シリーズ』として名高い戦争映画のセルフパロディに近いものであり、威勢の良いタイトルとは裏腹に、「5.23シリーズ」と同じ上映された娯楽戦争映画(*1)と作品の基本構想は近い。
 ストーリーはあくまでも単純で、海大に落第した千堂大尉が悪の秘密組織と対決するというものであった。むしろ、見るべきなのはその「分かりきってやっている」セルフパロディであろう。特に、衒学趣味で実存主義を新兵に語る〈長谷部“高千穂“彩〉艦長の描写などは戦友会から苦情が来るほどの代物で(だが、意外にも長く乗り組んだ将兵ほどその比率が少なくなるのはある意味皮肉だ)、一部の「愛国的」な集団による、スクリーン切り裂き事件まで発生している……こういう映画に本気になるのも何かと思うが。
 実際駄作映画と言われているこの映画だが、意外にも海軍は積極的に協力しており、有名な〈高瀬“大和”瑞希〉や〈猪名〉だけでなく、保管艦だった伊号93潜水艦や、果ては鹵獲艦として横須賀の海軍戦捷公園に保存されているドイツの大型Uボート、U-3も撮影に加わっている。但し、製作者の意図的な悪ふざけの結果か、伊93は「悪の秘密組織」の旗艦、U-3は聯合艦隊所属の極秘潜水艦として劇中に登場。でも、だからって一部じゃ有名な「いくみん」に同じニックネームのアイドルを載せるのは反則だろう。
 ともあれ、現在、緑葉映像からビデオ及びLD、DVDが発売中。

 ちなみに、上映当時の同時上映は、こちらは近年まれに見る航空映画の傑作「ナイトライター」。こちらは第二次大戦中期、その防御力の弱さから夜間攻撃の中心に押し立てられた一式中攻部隊の苦闘を描いている。現在緑葉映像でソフト化が検討中だそうだが、個人的にはこちらの発売を心待ちにしたい。なにせ、国内に保存されている一式中攻の全てが撮影に参加したのだ。観たくないわけがない。三本購入は基本中の基本だろう。
 

(*1)実在した独立遊撃部隊を題材にした「征け! アストラルバスターズ」(「雫」と同時上映)や、実際に〈千鶴〉で起こった珍騒動を元ネタにした「隆山軍港の食堂」(「痕」と同時上映)などが有名。現在、「5.23シリーズ」のDVD化で、同時上映作とセットになって復刻されている。まさにこれは、一部マニアを対象にした悪辣極まりない「おまけ」といったところか。いや、筆者も買っているのだが。(笑)