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1995年における合衆国海兵隊

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1995年における合衆国海兵隊

世界設定

序列

・海兵隊司令部(カリフォルニア州サンディエゴ)
   ├─海兵訓練学校(カリフォルニア州カタリナ島)
   ├─海兵教導団(ハワイ州オアフ島)
   ├─長距離偵察隊(サンディエゴ)
   ├─第一海兵機甲旅団(同上)
   │ ├─第十一海兵機甲連隊
   │ └─第十九海兵機甲連隊
   │
   ├─第一海兵軍(テキサス州モービル)
   │ ├─第一海兵機甲師団
   │ │ ├─第十一海兵機甲連隊
   │ │ ├─第十二海兵機甲連隊
   │ │ ├─第十三海兵機甲連隊
   │ │ └─第十七海兵機動砲兵連隊
   │ ├─第一海兵師団
   │ │ ├─第十一海兵連隊
   │ │ ├─第十五海兵連隊
   │ │ └─第十七海兵連隊
   │ ├─第五海兵師団
   │ │ ├─第五十一海兵連隊
   │ │ ├─第五十三海兵連隊
   │ │ └─第五十六海兵連隊
   │ └─第一海兵航空団
   │ 
   ├─第二海兵軍(パナマ)
   │ ├─第二海兵師団
   │ │ ├─第二十二海兵連隊
   │ │ ├─第二十四海兵連隊
   │ │ └─第二十八海兵連隊
   │ ├─第四海兵師団
   │ │ ├─第四十海兵連隊
   │ │ ├─第四十二海兵連隊
   │ │ └─第四十六海兵連隊
   │ └─第二海兵航空団
   │ 
   └─第三海兵遠征軍(英領ヘブリティーズ諸島)
     ├─第三海兵師団
     │ ├─第三十一海兵連隊
     │ ├─第三十三海兵連隊
     │ └─第三十七海兵連隊
     ├─第三海兵機甲旅団
     │ ├─第三十一海兵機甲連隊
     │ └─第三十五海兵機甲連隊
     └─第三海兵航空団

 ここに挙げたのは、1995年1月、第四次世界大戦直前における合衆国海兵隊の編成である。

解説

司令部直属部隊

  • 海兵訓練学校

 海兵訓練学校は下士官以下の海兵隊員を養成する施設である。本拠はカリフォルニアの沖合にあるカタリナ島。本土から離れたこの土地で、海兵隊員は17ヶ月に及ぶ厳しい訓練を受け、一人前のレザーネックへと鍛え上げられる。なお、士官は海軍士官学校の海兵過程において育成される。
 また、上級訓練機関として、ハワイの海兵教導団が挙げられる。海兵教導団は全海兵隊の中でも特に技能優秀な士官・下士官を教官として訓練を行っている。

  • 長距離偵察隊

 海兵隊における特殊部隊。敵地への長距離浸透・偵察・特殊工作などを担当する部隊である。全員が士官・下士官のみで構成され、上陸はもちろん、潜水・空挺降下・山岳登攀などの技能を持ち、戦闘技術も極めつけに優秀な人材のみが選ばれる。

  • 第一海兵機甲旅団

 いわゆる「ストライカー旅団」。司令部直轄部隊でもある。海外紛争において第一波として派遣される機動性と火力に優れた部隊で、日本の三菱ふじょう〈《四五式装輪戦車》琥珀〉〈《四七式歩兵戦闘車》翡翠〉及びそのファミリー車輌を大量装備した一大機動戦力。98年の湾岸戦争にも参加している。

第一海兵軍……「第二の陸軍」

 この部隊は、ある意味海兵隊という枠を越えた何かであり、合衆国の置かれた戦略状況を反映する部隊である。
 元は1948年の第三次世界大戦において、大西洋からカリブ海の制海権を奪われた合衆国が、揚陸艦艇を喪失したために海上機動の出来なくなった海兵隊を陸戦に投入したのがきっかけである。
 戦車製造拠点を失った合衆国軍は、拠点に篭った歩兵の粘り強い防戦によって欧州連合軍と対決せねばならなくなったが、そうした戦場で海兵隊の奮戦には目覚しいものがあり、特に油田地帯を抱えるテキサスの防衛戦では、全軍から頼りにされる存在であった。
 こうした奮戦によって、戦後の再建期に海兵隊は大幅な予算減額を免れ、戦力の再建を順調に進める事が出来たが、問題は海上機動であった。海軍は大幅に予算を減らされたため、新型揚陸艦を建造できず、軽空母や旧式正規空母の改造艦を用いたが、その能力は決して満足できるものではなかった。
 そのため、海兵隊上層部はテキサスの海兵隊を完全に陸戦に特化した部隊として再建してしまった。第一海兵軍が「第二の陸軍」と呼ばれる所以である。
 この第一海兵軍は一瞬誰もが耳を疑う異形の部隊、第一海兵機甲師団を中核とし、二個の海兵師団も各連隊に戦車大隊を含む超重装備の陸戦部隊で、ぱっと見にはとても海兵隊とは思えない。その印象を強めているのは装備戦車の種類で、合衆国陸軍の〈アイリ〉ではなく、日本陸軍と同じ〈蒼崎《四八式中戦車》青子〉、それも最強の改2型を総計五百両以上保有する。
 また、第一海兵機甲師団は三個機甲連隊に加えて独自の自走砲連隊をも編成に加えており、戦闘実力は日本陸軍最強の第七機甲師団〈レイジング・ブル〉に匹敵するとも言われる。
 第一海兵航空団は基地航空隊であるため、主力機はノースロップ・ホルテンF/A-18E〈スーパーホーネット〉であり、海兵隊の直協任務だけでなく、制空戦闘をも担当する。
 ここまで読んで何かが間違っている、と思った貴方は正しい。


第二海兵軍……「正統派の海兵隊」

 第二海兵軍は第一海兵軍のような畸形の部隊ではなく、正統派の海兵隊である。1950年の英本土奪還作戦において編成された第二水陸両用軍を母体とし、戦後は第四次大戦勃発の際には主戦場となることが予測されているカリブ海を睨むべく、パナマに本拠を構えている。もちろん、運河防衛部隊としての性格も持つ。
 長年、ビーチング式の中型揚陸艦、〈ニューポート〉級を海上機動の主力としてきたが、さすがに機動力の低さは隠せず、80年代に「強いアメリカの復権」を唱えるレーガン政権が成立すると、即座に予算獲得運動を展開。それが実り、90年代になって日本が保有するような連隊規模の戦力を運用可能な大型の新鋭強襲揚陸艦、ワスプ級とドック型揚陸艦サン・アントニオ級を装備した。
 いざ有事となればカリブ海のGETTO軍拠点に対する攻撃を加えることがその目的であり、第一海兵軍とは異なり、強襲上陸戦の訓練も豊富に積んでいる。
 彼らが最大の標的として狙っているのがフロリダ半島である。上陸を阻止できる地形を持たず、極めて重要な戦略拠点として、GETTOの衛星打ち上げ基地の一つ、ケープ・カナベラルも存在するこの半島は、北米南半部を制圧するために重要不可欠の拠点となり得るとみなされている。
 第二海兵軍はこの半島へ強襲上陸を仕掛け、東進してくる第一海兵軍の到達までここを占領する能力を持つことを目指して編成と訓練を続けている。
 配下の第二海兵航空団は揚陸艦に搭載して運用されるVSTOL機と艦載ヘリの集団で、強力な攻撃ヘリも多数保有しており、陸戦部隊と連携しての航空支援能力は世界でも屈指の部隊である。


第三海兵遠征軍……「同盟国への義務」

 PACTOの中で唯一大西洋にあって、東西のGETTO勢力に挟撃されている英本土。第三海兵遠征軍はその英本土に対する防衛協力と共に、場合によっては欧州本土や東部連合に対する反攻の先鋒となる事も考慮されている部隊である。
 他の二個海兵軍と比べると、一個師団+一個機甲旅団(ストライカー編成)という小ぶりな編成だが、それだけに高い機動力が与えられており、配下の第三海兵航空団も多数の輸送ヘリを擁して、強力な戦術輸送能力を持っている。というより、第三海兵師団+第三海兵航空団の組み合わせは、事実上この部隊を強力な空中突撃師団と同等の存在としている、と言っても過言ではない。
 この強力な機動性が買われてか、アフリカや地中海沿岸で紛争が発生し、PACTOが介入する際には、第三海兵遠征軍から部隊が抽出され、第一波として投入される事も珍しくない。

海兵隊の兵器

 合衆国海兵隊は完全志願制で、かつ小所帯。それでいて常に激戦が予想される事から、国内兵器産業の保護・育成に拘る陸海空軍とは異なる独自の兵器採用基準を持っており、外国産兵器を多数装備している。70年代には「許されるなら〈アルクェイド《ティーゲルIII》ブリュンスタッド〉とMe-280〈白河《アドラー》ことり〉を装備したい」と発言して更迭された将官がいた、という逸話がある。
 陸戦兵器は日本製が主体だ。戦車は長年〈八車《七式中戦車》文乃〉とその改造型を使用していたが、日本が〈蒼崎《四八式中戦車》青子〉を開発すると、直ちにこれの採用に踏み切り、現在はその保有全車が改2型にアップデートされている。
 また、ストライカー編成の二個機甲旅団も日本製の装輪車輌とそのファミリーで構成され、甚だしくは偵察隊のバイクまで日本製である。合衆国製の軍用車輌はジープやハンヴィーくらいだろうが、これも全て日本製の軽機動装甲車に更新する計画がある。流石に小銃などは国産のM-16、M-14だ。
 航空機については、1995年時での主力はF/A-18E〈スーパーホーネット〉とAV-8〈シーハリアー〉の混成。その二機種を更新する目的でF-32〈藍澤《シュライクM》華穂〉の配備が始まったところである。被弾に弱いAV-8を使い続けてきた海兵隊にとって、F-32の採用は福音となると言われている。
 ヘリコプターの面では、最近になって川崎/三菱共同開発のティルト・ローター機が実用化後の採用が予定されているようだが、95年の段階ではまだ一部特殊部隊における実戦試験中である。第二海兵軍には多数の攻撃ヘリが配備されており、その主力は川崎/ベルの〈蛇竜〉を独自に改良し、エンジンを双発化して武装搭載量、航続距離、速度等を向上させたAH-1S〈スーパーコブラ〉である。
 海兵隊の主力兵器とも言うべき揚陸艦は、新型が空母船型を持つ〈伊藤《ワスプ》正樹〉級と、ドック型の〈サン・アントニオ〉級の二本建てで、この他に〈橋本《エセックス》まさし》級、〈《インディペンデンス》ナツコ〉級から改装されたヘリコプター搭載揚陸艦が3隻、ビーチング・スタイルの中型揚陸艦〈ニューポート〉級が10隻ある。〈ワスプ〉〈サン・アントニオ〉は大型で高価なため、まだ2隻ずつが竣工したのみだが、今後それぞれ4〜5隻の建造が予定されており、計画の完了は2010年の見込み。空母改造LHDはそれと交替して2005年度までにはすべて退役の予定である。
〈ニューポート〉級は小型で外洋航行能力も乏しいが、カリブ海や英本土近辺での行動には支障が無く、運用も手軽なため、今後もしばらく保有が続けられる予定。後継艦の計画もある。また、護衛と上陸支援のために独自にLCS(沿海域戦闘艦)を保有しようという計画も持ち上がっているが、流石に海軍が反対している。