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日本帝国海軍聴音魚雷列伝

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日本帝国海軍聴音魚雷列伝

林 譲治「覇龍の戦録」/グレッグ・パスカル・ザカリー「闘うプログラマー」ほか

3年式1型聴音魚雷


 通称31式。日本初の聴音(音響追尾型)魚雷。海軍では独自開発と言い張ったが、英国ヴィッカース社系列の「姫りんご」をマークとしている某社製魚雷を購入し、その複製をおこなったことが情報公開で明らかとなっている。某社は日本海軍を相手に訴訟を起こしたものの、英国本土陥落の混乱により有耶無耶となった。
 一応、成功作と位置づけられ、以後に続く95式と98式聴音魚雷の技術の中核となっている。


95式聴音魚雷


 日本海軍第2の聴音魚雷。開発側では画期的な魚雷との触れ込みであったが、運用側の都合を考えずに作られており、くだらない箇所で凝っている割には扱い魚雷であった。なにより機械的信頼性に乏しく、酸化剤に液体酸素を用いたことから内部機器が凍ることが希でなかった。さらに予告なしに仕様変更を行うため、機械の増設や調整をおこなおうにもドライバーが入らないことすらあった。しかも予備浮力の計算を間違えていたため、頻繁に海底に沈む事例が相次いだ。
 それでも調子が良い時には、従来の魚雷を上回る性能を発揮したことから潜水艦隊で多く使われ、後の聴音魚雷全盛の基礎となった。


98式聴音魚雷


 第3の聴音魚雷。95式の改良版である。95式の機構的不都合を取り除いて高性能化を図ったという触れ込みであったが、結果としては成功とは言い難いものとなった。相変わらず凍ることが頻発し、そのうえ余計な機構を装備したため95式よりも確実に重くなっていた。しかし同時期に発動機の大馬力化が成功したため、表向きは性能向上型と捉えられている。


零式聴音魚雷


 皇紀2600年のミレニアムに公式採用された98式の改良型魚雷ではあるが、海底に沈む事故が頻発するという、動作のあまりの不安定さによって早々に採用中止となった。
 今では海軍のカタログから完全に抹消されている。


2式聴音魚雷


 英国海軍御用達ホワイトヘッド社のVAX魚雷(マーク11)の技術を導入して開発された。
 新たな技術(NT)が「中核(カーネル)」に採用され、それまでの聴音魚雷に比して信頼性は高く、いきなり凍ったり、落ちていったりすることは激減した。しかし1万6千カ所もの不具合が報告されており、完全な信頼を確保することはできなかった。海軍上層部のごり押しによる開発と普及に現場では反発を見せることもあったが、調子の良いときは酸素魚雷特有の高性能を発揮したため艦艇攻撃用に愛用された。


5式聴音魚雷(XP)


 2式に続く新型聴音魚雷。秘匿呼称「回路」。取り扱いの難しい液体酸素を用いた内燃機関による動力をやめ、より簡便に扱えるよう電池式動力へと変更された。
 さらに聴音機構は、これまでのマイクロフォン2本の感度差を利用する方式から1本のマイクフォンを回転させて目標の方向を感知する方式へと改められ、高い信頼性を確保した。第3次世界大戦における日本潜水艦隊の主武器として多く使われている。
 しかし最大速度40ノットで5000メートルの走行距離と、2式に比べて大幅に射程が短いために、5式XPは船団攻撃用、2式を艦艇攻撃用にと分けて用いられた。
 改良型として、改1型(SP1)、改2型(SP2)、改3型(SP3)のシリーズがある。
 試験段階で立ち会った合衆国海軍士官に「体験(エクスペリメント)!」と叫ばせた程の性能を発揮した為に「XP」と名付けられた、という噂話があるが信憑性に乏しい。


10式聴音魚雷(VISTA)


 5式XPの後継魚雷。秘匿呼称「長角」。高性能電池を用いて、2式の大速度大射程と5式の信頼性とを併せ持つ究極の聴音魚雷となる予定であった。高性能電池の開発に手間取ったために少々(どころでなく)開発が遅れた。
 海軍期待の魚雷ではあったが、整備用インターフェースが大きく変更されたことが大不評を招き、部品配置がどこやらわからなくなる者が続出したという。また、自重が5式に倍するまでになったことから、発動機の出力比の低下を招いた。結局、発動機を二重化して搭載することによって出力比を大幅に向上させ、まずまずの性能となった。
 しかしながら現場の人気は薄く、短期間に改1型(SP1)、改2型(SP2)と改良を重ねたものの、10式を使わずに5式の保有・使用を継続する艦艇が多数であり、軽量化改良版の12式聴音魚雷(SEVEN)が早期開発されたことから、聴音魚雷としては短命に終わった。海軍のカタログからも早々に削除されている。
 広い行動範囲を有するため、イタリア語での「眺望」を意味する愛称を付けられたという。