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〈SNOW〉

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USAグラマン XF/A−27〈SNOW〉

元ネタ:Studio Mobius「SNOW」

    バンダイナムコゲームス「Ace Combat2」 XF/A-27

■概要

 アメリカ合衆国海軍と連合航空公社(USA)の共同開発による、ステルス艦上戦闘攻撃機。現時点では正式採用されておらず、米本土のサンディエゴ・ミラマー海軍航空基地で試作機・先行量産機による実験中隊が編成され、性能評価をはじめとする研究が行われている。なお、現在公式のペットネームは定められていないが、主開発担当のUSAグラマン設計局では計画名の〈SNOW〉にかけてユキヒョウを意味する「スノーレパード」を提唱している。


■動機

 第三次世界大戦後、合衆国海軍の主力艦載機を長年占めたのが北崎エンジニアリング・ヨーク(KEY)の開発した〈AIR2〉(合衆国名:F−14〈トムキャット〉)である。傑作機〈AIR〉の名を受け継いだ同機はコンパクトにまとめられた設計で、日本海軍と比べると主力空母がやや小振りな合衆国海軍にとっては搭載機数の面で有利な存在だった。
 一方、80年代過ぎにはその性能に不満が見えてきたのも事実である。特に合衆国海軍は陸軍との共同を強く念頭においており、その戦略上強力な対地攻撃能力が必要だった。艦載制空戦闘機の〈AIR2〉は一応のマルチロール機ではあったものの、その対地攻撃能力は当時の合衆国海軍の求める水準を満たすものではなかった。
 レーガン政権の成立と、程なくして発表された「六十隻艦隊計画」が始動すると、合衆国海軍は〈AIR2〉に見切りをつけ、スペインからノースロップ・ホルテンの〈ホーネット〉をF−18として採用。これを主力艦載戦闘攻撃機として運用する事になる。
 〈ホーネット〉の性能は海軍を十分満足させるものだったが、しかし、ある機体の登場が〈ホーネット〉にすら不満を抱かせることになる。その名はF−22〈彩坂《ラプター》愛美〉。空軍の次期主力戦闘機で、PACTO勢力では初の本格的な第五世代戦闘機である。
 ステルス性、超音速巡航、高機動性を兼ね備える同機は圧倒的な高性能を示し、DACT(異機種戦闘訓練)で〈AIR2〉を装備する海軍のアグレッサー部隊は相手を一機も落とすことができず全滅すると言う惨敗を喫した。この事実は海軍航空隊に深刻な危機感を抱かせる。F−22はまだ味方の機体だから良い。しかし、敵手たるGETTO勢力が第五世代戦闘機を投入してきたら、海軍航空隊は「良い的」に成り下がってしまうと考えられたのである。自前の第五世代戦闘機を手に入れることは必須だった。
 海軍はまず統合戦闘機計画(JSF)に参加したが、この機体を持ってしてもF−22やそれに匹敵するであろう欧州側第五世代戦闘機に勝つことは難しいと考えられた。そこで、海軍は次期主力艦上戦闘機の独自開発を決断。F−22のステルス技術を開発したUSAに接触。独自の第五世代戦闘機開発に向けて協力を依頼した。
 なお始動に当たって、計画名として採用されたのが〈Stelth Naval Omni Wing〉である。日本では「ステルス化海軍全領域機」と訳されており、F−22の「航空支配戦闘機」を意識したネーミング。これを略したものが〈SNOW〉である。


■設計

 この海軍の申し出に対し、USA側から名乗りをあげたのが、カリフォルニアに本拠を置くグラマン設計局である。
 グラマンと言えば東部連合最大の軍用機メーカーで、合衆国時代から艦載機のオーソリティとして知られる老舗。連合企業としては欧州諸国にも機体を供給しているが、第三次世界大戦時の東西分裂により、西側に取り残されたグラマン資本がUSAに参加したものが、このグラマン設計局である。実績としては〈AIR2〉の合衆国仕様をライセンス生産しており、東側の分身同様艦載機を得意としている。新型艦戦開発にはうってつけの集団だった。
 海軍の設計要求は過酷なものであった。
 ・全長20m、全幅15m以内
 ・最高速力マッハ2以上
 ・超音速巡航可能
 ・兵装搭載量最大8トン以上
 ・ステルス能力
 これらの要求に対し、当初グラマン設計局ではF−22をベースに主翼の折り畳み機構やアレスティング・フック等を追加する事で艦載機化するプランを立てたが、この計画は早々に挫折する。ベースとしてF−22の実機を手に入れようとしたものの、製造ラインに余裕がないとして拒絶された事。さらに、机上の計算でも重量の増大やそれによる機体バランスの変化への対応が難しく、性能の著しい低下をきたす可能性が高いと判断されたためである。
 グラマン設計局はF−22改装案を放棄し、思い切って完全新規設計でこの難題に挑むことを決断した。その設計思想のベースとして選ばれたのが、慣れ親しんだ〈AIR2〉である。同機の最大の特徴である可変翼を採用し、同機構の特徴である
・高速飛行時と着艦時を含め、全ての飛行中にそれぞれ最適な空力特性を持たせる
・主翼折り畳み機構を使うことなく、駐機時の占有面積を減らす
 と言った利点を〈SNOW〉にも持たせようとしたのだ。そのために、グラマン設計局ではかつて〈AIR2〉開発に関わった技術者を招聘する等して、万全の体制で設計に臨んでいる。
 反面、可変翼は計画が始まった90年代には既に廃れた技術と看做されていた。高コスト、整備の煩雑さ、可変機構の重量増による利点の相殺、CCV技術の発達により、固定翼でも可変翼と同等以上の空力特性の制御が可能になった事などが理由である。
 しかし、〈SNOW〉は海軍の母艦航空隊配備になるため、元々量産効果を期待できるほどの生産機数とはならない(二百機程度が想定されていた)事や、〈AIR2〉の運用経験から合衆国海軍が可変翼機の運用に自信を持っていた事、最新素材の採用により軽量な可変機構を開発できる目処が立った事等から、可変翼の採用は特に問題視されなかった。
 1994年、風洞実験や縮小模型による飛行試験等を経て纏められた設計案は、見るものを魅了する未来的な美に満ちていた。
 F−22等と比較しても細く優美な機首から、機体後部のテイルコーンに続くライン。鋭く尖った可変翼形式の主翼が醸し出すスピード感。ステルス性のために、傾斜して取り付けられることで垂直・水平を兼ねる全遊動式の尾翼。エンジンブロックに抱かれるようにして配置された、大容量の兵装搭載ステーション。これを実際に飛ばす事を想像し、計画メンバーの海軍将兵は陶酔にも似た感情を覚え、早くこれを我が手で飛ばす事を熱望した。
 こうして設計案を海軍から承認されたグラマン設計局は、早速開発をスタートさせる。


■蹉跌

 しかし、当初順調に見えた〈SNOW〉の開発は、様々な要因から著しく遅延する事になる。最大の原因は、1995年に勃発した第四次世界大戦である。これによって海軍の〈SNOW〉計画予算は大きく削減され、グラマン設計局自体、新型機設計よりも現用機の修理・整備に追われる事となってしまった。
 さらに、戦後の軍縮ムードの中で、一度削減された予算はなかなか再増額されなかった。既に導入済みのF−32が大戦で善戦を見せたことにより、さらに高性能な〈SNOW〉導入の必要性が疑問視された事も、大きな痛手である。
 しかし、開発推進派は「仮想敵機」であるF−22、ドイッチェ・エアロスペースDa631A〈鷺澤《ウーフー》頼子(美咲)〉 が見せた戦前の想定すら上回る高性能に注目しており、また北米では依然として冷戦体制が続いている事から、将来的に〈SNOW〉は絶対に必要だと言う姿勢を崩しておらず、少ない予算をやりくりして開発を続行した。
 開発でも幾つもの問題点が露呈した。
 最大の特徴である可変翼は〈AIR2〉などの油圧シリンダー式ではなく、軽量なモーター式を採用したが、このモーターの開発が難航し、試作段階では動作に必要な時間が目標を大幅にオーバーしたり、漏電や焼き付き等の事故が多発。飛行中に勝手に翼が閉じる等の問題も発生した。
 機体の飛行特性も安定せず、当初の予定に無かったベントラルフィンの追加が必要となり、これによるステルス性の低下や重量バランスの再計算、対応した再設計も開発遅延の大きな原因となった。
 こうした逆境の中完成は繰り返し延期され、当初1997年完成とされた予定はまず2001年に変更され、さらに2003年にまで延びる。遅れていく開発に、このまま計画中止という悪夢が関係者の頭を過ぎり、精神の健康を損なう者も続出。一時は「欝だ〈SNOW〉」が関係者の挨拶になる有様だった。


■完成

 しかし、こうした困難を乗り越え、2003年11月、ついに第一号機が完成、関係者に対するお披露目が行われた。その優美なスタイルは訪れた見学者たちを瞠目させた。
 試験飛行でもその見事な飛行性能を発揮し、日本の三七式戦闘機が得意とする〈シンカイ・ハブ〉に似た、機体を垂直状態で水平方向に飛行させる機動や、無段階に変化する主翼の制御による全速度領域での高機動性、超音速飛行等を披露。
 ステルス性も確保しており、レーダー断面積は「ゴルフボール程度」と言われるF−22よりは大きいものの、バスケットボール大程度に抑える事に成功していた。
 兵装としては左右のエンジンブロックの間に二つの大型兵装ステーションを持つ他、エンジンブロック外側のバルジ部分に〈サイドワインダー〉等の短距離AAM専用のウェポン・ベイを四基備え、制空戦闘任務では中距離AAM六発、短距離AAM四発を携行する。固定武装は合衆国伝統のM61バルカン砲(弾数980)。F−22などでは固定兵装の砲口をカバーで覆う事でステルス性を確保しているが、〈SNOW〉ではレーダー波を反射しにくい独特の形状を持ったスリットを機体に設け、その内部に砲口を配置している。
 また、ステルス性を犠牲にして外付け式のウェポンラックを増設する事も可能で、この時は中距離・短距離AAM共に四発ずつ増加することも可能となっている。これらの武装搭載量はF−22を上回る。
 目標とする艦上戦闘機としての運用も、空母〈シルフィ"ニミッツ"クラウド〉へのテスト着艦に成功する事で証明し、〈SNOW〉は第五世代戦闘機に相応しい機体である事を見せ付けたのである。
 この第一号機はPC(Personal Commuter)と呼ばれる単座型で、以後の〈SNOW〉の全バリエーションの基礎となった機体であるが、ただし、この時点では〈SNOW〉はまだ完全な完成形とは言えなかった。エンジンの推力が不足しており、アフターバーナーを使用した超音速飛行は可能だが、超音速巡航は不可能だったためである。
 また、低速飛行時の安定性と電子機器の性能にまだ難があり、制空戦闘はともかく、複雑な火器管制を必要とする対地・対艦ミッションにおける信頼性や、着艦時の安全性はまだ低いものだった。


■バリエーション

 PC型でまだ未完成だった部分は、以後の試作型において少しずつアップデートが計られていく事になった。まず、一年後に完成した第二号機はDC(Dual Commuter)と呼ばれる複座型で、後席に火器管制士官(FCO)が搭乗する、対地・対艦任務を重視した型となる。また、練習機任務も想定している。この機体は兵装ステーションの構造を変えて、大型の対艦ミサイルやSOD(スタンドオフディスペンサー)の搭載を可能としている。
 続いて、DCをベースとしてエンジンを換装し、超音速巡航を達成したPS2(Pursuit SuperSonic)型となる第三号機が就役した。この機体は機載電子機器の性能も向上しており、CCV制御のアップデートによって着艦時の安定性も向上している。
 一方、一号機のPC型も電子機器を換装し、インターフェイス部分に音声ガイダンスを実装したPC(フルボイス)版に改修されている。フルボイス仕様自体はDC、PS2でも採用されているが、PC版の改修はガイダンス音声が他の二機と異なるため、パイロットによってかなり好みが分かれたようである。
 これらのアップデートによっても、未だに完全に改善に至っていなかったのが、着艦時の安定性だった。開発チームは試作機による実機試験とコンピュータシミュレーションを繰り返し、これを補うために四番目のバリエーションを開発するに至った。
 これが〈SNOW〉の決定版、その原型となる〈SNOW+〉、あるいはPE(Plus Edition)と呼ばれる機体で、最大の特徴はカナードの追加を行ったことである。これは敵国ドイツでDa631やMe280〈白河《アドラー》ことり〉にカナードを採用して性能向上に繋がった事に倣ったもので、ステルス性は若干低下を見たものの、低空安定性は劇的に改善。空母艦載機として全く問題の無いレベルに到達した。
 この〈SNOW+〉は一号機PC型の再改造によるものだったため、開発チームは最初からカナードを装備した状態に最適化させた改設計を行った後、量産型となるSE(Standard Edition)型を四号機として製造した。
 カナードを猫の耳に例えるのは洋の東西を問わず良く見られる話だが、〈SNOW〉PEも例外ではなく、元々開発した機体のペットネームに猫類の動物名を付ける伝統のあるグラマン設計局が主担当と言う事情もあり、非公式に〈SNOW〉PEを〈シャムキャット〉と呼ぶ事もある。由来は開発チームのメンバーが飼っていた「シャモン」と言う名前のシャム猫だと言う。ただし、前述の通り公式なペットネーム候補は〈スノーレパード〉であるが、この外に〈ブリザードキャット〉、独特のバルカン砲口スリットを傷に例えた〈スカーフェイス〉なども提唱されている。


■進まぬ採用

 無事に要求性能を全て満たした量産型の開発までこぎつけた〈SNOW〉計画であったが、実戦部隊への配備どころか、正式採用すらまだ行われていない。理由はいくつかあるが、大きなものは二つある。
 一つはコストの高騰である。度重なる開発期間延長と改修のため、プロジェクトに投入された予算は当初の倍以上。1997年予定だった量産機完成も2005年までずれこんでおり、その間にF−32系列の生産・配備が進んだことで、議会、政府は極めてハイコストな〈SNOW〉の採用・量産配備に疑問符をつけている。
 次に、戦略環境の変化である。第四次世界大戦前後は東部連合が輸入・独自開発を問わず第五世代戦闘機を大量配備すると予測されていたが、それから十年以上たった今も東部連合の第五世代戦闘機配備計画は進んでいない。
 東部連合はドイツにDa631のライセンス生産または輸入を求めているが、ドイツは機密保持を理由にこの要請に応じていない。独自開発機としては、グラマンとヴォートが共同開発したF−35〈香坂《ホーリーキャット》ちより〉〈香坂《ホーリーキャット》チカ〉があるが、こちらはライバルのF−32と比較して新技術を大量に盛り込んだ設計のためか、〈SNOW〉計画に負けない遅延振りを発揮し、結果として生産機数はまだF−32の十分の一程度に留まっている。
 このため、既に第五世代機として実績のあるF−22、32両機を計百五十機以上擁する合衆国軍の東部連合に対する航空優勢は当面保たれると国防総省は判断しており、〈SNOW〉の正式採用にGOサインを出していない。


■現状

 しかし、海軍は依然として〈SNOW〉の将来必要性を確信しており、先行試作型三種(PC、DC、PS2)の他に六機のPE型を製造して実験中隊を編成し、新たに二つのバリエーションを設計・製造している。
 一つは性能を維持したままコストを下げ、調達しやすくするための試験機であるPSP(Pay Saved Plane)が開発されている。この機体は主に電子装備のコスト低減を目的としており、ディスプレイなどに市販品を使用している他、機体強度に影響のない範囲で既存の安価な素材がどこまで使えるかのテストも行っている。
 一方で、異色なのがステルス性を強化し、敵本拠地の夜間強襲をはじめとする特殊戦用の機体として設計された〈DARK SNOW〉である。ステルス性強化のためにカナードやベントラルフィンを廃し、初期設計案の細長い機首を再現した同機は、黒いレーダー波吸収塗装にアクセントで付け加えられた赤いラインと言う塗装パターンもあり、他の〈SNOW〉とは一線を隔した「邪悪そうな」デザインとなっている。しかし、ステルス性と引き換えに空戦機動性は若干低下しており、模擬空戦で他の機体に手も無く捻られる事もしばしであるという。
 こうした各型の総生産機数は
 PC:二機
 DC:二機
 PS2:二機
 PE:二機
 PE:六機
 PSP:二機
 DARK:四機
 の合計二十機。これら全てが実戦投入可能なレベルで性能を維持されている。また、「将来の主力戦闘機」を操るために実験中隊に配備されたパイロットは海軍でもトップクラスの技量を誇り、全員が教官資格を持つ「トップガン」の卒業生で構成されている。
 今のところ、〈SNOW〉が政治的課題を解決し、合衆国海軍の主力戦闘機として活躍する日が来るかどうかは不透明である。しかし、そのポテンシャルが名機〈AIR2〉の後継者に相応しいものであることは疑いがない。


■諸元(SE)

全長:20.5m
全幅:14.7m〜20.2m
全高:5.45m
自重:14.297kg
全備重量:26.884kg
エンジン:GEアヴィエーション F135−GE−300(17.980kg)×2
最大速度:マッハ2.3
武装
M-61 20ミリバルカン砲
AAM 最大14発
最大爆弾搭載量:11.800kg