〈氷川丸〉
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特設病院船〈氷川丸〉
(元ネタ With You〜見つめていたい〜(カクテルソフト)より氷川 菜織)
日本郵船の主力豪華客船であり、「太平洋の女王」と呼ばれた船として、年配の方には記憶されているであろう。現在は横浜の山下公園で永久係留による保存を受けており、訪れた方も多いと思われる。
戦前は同型船〈平安丸〉とともに日本海運界を代表する豪華客船であった。戦争勃発と共に海軍に徴用された〈氷川丸〉は特設潜水母艦とされた僚船とは異なり、病院船となった。
もともと「太平洋の女王」と呼ばれた優美な船影は病院船を表す純白に塗装され、喫水線下の赤色塗装と合わせてまるで巫女のような清楚さを漂わせる外見となった。
海軍では彼女をただの病院船ではなく、後方支援一般を受け持つ艦を研究するための実験台として考えており、船室のかなりは病室とされたが、宿泊施設の機能を残した部屋も多く、食堂や豪華な内装もそのままで、兵士達のレクリエーション施設を多数盛り込んだ存在となった。 殊に食事の質は特設先頭支援艦〈乃絵美〉に匹敵するものがあり、食事が不味い事で有名な防空巡洋艦〈鳴瀬〉から密かに主計課員が研修に来ていたとの噂もある。
太平洋戦争後、一時客船籍に復帰していた彼女は第三次世界大戦勃発と同時に再徴用され、海戦当初の激戦地であるインド洋へと向かうこととなった。配属された遣印艦隊の後方支援を担当するミャンマー支隊である。
〈氷川丸〉の存在は激戦の続くインド洋戦線で兵士達の心の支えとなり、帰還した艦の乗員たちは彼女で傷を癒し、食事をしたり、映画を見たり、故郷からの手紙を受け取ったりするのを何よりの楽しみとした。ある兵士の証言に
「彼女は良いよ、気のおけない幼馴染の女の子の所にいるような安らぎが得られるからな」
と言う事になるらしい。
そんな〈氷川丸〉のマスコット的存在だったのが、衛生課のN少尉だった。病院船と言う立場から、同船には従軍看護婦をはじめとして後方支援任務に就く女性将兵が多数乗船していたが、N少尉はその中でも一、二を争うシャン(美人)として知られていた。彼女はなかなかにユニークな人物で、実家が神社であり彼女も正式の巫女の資格を持っていた。彼女は船内に実家の分社たる神社を開き、なおかつ実家から持ち込んできた巫女装束で出撃前の部隊の安全を祈願するという行為に出て、支隊中を驚かせたが、やがてこの祈祷は出撃前の恒例行事となったのであった。
さらに、N少尉は〈乃絵美〉で見つけてきたメイド服調の女性給仕服で食堂に出没したりした。これはさすがに堅物の警務課などから抗議が来たが、〈氷川丸〉船長は平然としたもので
「ん?あれで兵士の士気が上がるならいいんじゃないか?」
と抗議を黙殺した。
こうして前線兵士の心をの支えでありつづけた〈氷川丸〉はミャンマー支隊解体後も他の戦線で後方支援任務を続け、第二次大戦から第三次大戦終結まで述べ十万人を超える傷病兵の救出、治療に活躍。終戦後は客船に復帰。多くの乗客に安らぎと快適さを提供しつづけた。
要目
総トン数 11,622トン
全 長 156メートル
全 幅 20メートル
速 力 18ノット
武装 なし
会議室を出る