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〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉

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アエルマッキMB337〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉

(元ネタ:「それは舞い散る桜のように」(BasiL)より 八重樫つばさ)

 イタリア空軍の戦闘攻撃機。大推力・単発エンジン特徴的なエンジン配置が特徴で、対空に対地に対艦に人もうらやむ万能ぶりを発揮する。
 フランスにも採用され、爆撃航空軍(G.B)を仕切って第四次大戦でも縦横無尽に活躍している。

■攻撃機

 一口に「攻撃機」といっても仕様を決定するのは非常に難しい。各国のおかれた事情、予算、任務などから実にさまざまな機体が生み出される。戦闘機のように「制空権を取る」ことを基本にして、アイドルやプリンセスのように見栄えの良いヒロインを設定すればOKという簡単なものではない。
 〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉は地中海を守り、一方ではGETTO軍の一翼を担って欧州から北米まで駆け巡る任務につく攻撃機として設計された。したがって超低空を高速で駆け抜け、ミサイルによる艦船攻撃から爆弾による近接支援、対空ミサイルによる対爆撃機戦、さらに必要ならば自前で空中戦までやってのける文字通り多様で万能、マニアックな能力が求められた。
 イタリアの旧式化しつつあった戦闘攻撃機を代替する機体は上記のような能力が前提とされ、当初はメッサーシュミットMe111の開発にアエルマッキ社が一枚加わり、〈トーネード〉として生産する計画だったが、空軍の要求が「92点でも不満」という一般人(ここでは独空軍をさす)から見れば呆れるほどの性能を要求したため離縁。またイタリアのトップエースの一人で「バナナ」とあだ名されたエンニオ・タラントラ空軍創刊が推薦したブローム・ウント・フォス〈天枷《Bv105》美春〉はあまりにも近接対地支援に特化しすぎたために対艦攻撃能力を追加するのは無理と判断され、結果的に独自の機体を開発することになった。{{br}} 半島国のイタリアはドイツやフランスと違って海上の脅威との戦闘能力が不可欠であり、第二次大戦で地中海を駆け巡ったSM79〈スパルヴィエロ〉をはじめとした陸上対艦攻撃機を常に配備し、運用してきた実績がある。相手が英国地中海艦隊から日本第六艦隊に換わろうがそれは変わらない。それを考えればMe111や〈天枷《Bv105》美春〉の成績ではイタリア空軍が不満に鳴ることは仕方ないだろう。空母機動部隊に対する攻撃がいかに難しいかは戦史を紐解けばいくらでも書いてある。
 そしてもう一つ。「深いところまで関わられたくない」というイタリアの本音が伺われた。第三次大戦終盤においてドイツの半占領状態になり、事実上生殺しにされたことはイタリアは忘れてはいない。
 理由は述べた。後は機体をどうするか。多目的なかつ相反する任務を両立させ、万能に近い機体を目指した上で開発・生産費を安く上げるという大変な要求にアエルマッキ社ではエンジンに旅客機(アラドAr767)用のエンジンであるユンカース068Cターボファン。これをフィアットが軍用機用に改良、直径を小さくしてバイパス比を(※注1)を低下、アフターバーナーを取り付けたRT2100F23を単発で装備するという思い切った手段をとった。元が商用機用のエンジンであるため燃費もよく、安価にまとまる。しかも単発のためにシステムは簡単で信頼性も高い。欠点は超音速時の燃費の悪さ(旅客機は超音速で飛ぶ気がないから当然だ)だが、クリーン装備で超音速で巡航するわけでもないためバイパス比を1.2にし、足りないパワーはアフターバーナーで何とか補うことにした。{{br}} こういう欠点を抱えた物の、このRT2100F23エンジンの最大推力23トンという軍用機としては破格の大推力と商用エンジンあがりからくる安さには万年予算不足のイタリア空軍にとっては非常に有り難く、このエンジンを生かした機体として〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉は誕生した。
 主翼は二段階に角度をつけたクリップド・デルタに上半角をつけたカナードを配置、両者から延びるひれのようなスとレーキの下部にはエアインテイクを置く構造で、スウェーデンノJAS39〈グリペン〉をほぼそのまま大きくしたような形状をとっている。この形状をとったのはSTOL性能と機動性を重視したためであり、〈グリペン〉とよく似たスラットと二重隙間式フラップからなる高揚力装置をもつ。もちろん、この翼は当然のごとくフライ・バイ・ワイヤ制御と油圧を組み合わせており、もしシステムが壊れても(壊れなくても)マニュアル操作できるよう配慮。そしてこの機体を23トンを超える大推力エンジンで引っ張る。このエンジンを支えるノズルは流行のベクタードタイプでカナード翼とともに機動性の強化と対艦攻撃に必需な超低空での性能を高め、スウェーデンから技術導入した着陸制動装置と前述の高揚力装置を活用することによって、フル装備でも900メートル程度の距離で離陸することが出来、500メートルもあれば着陸(当たり前だが着陸時には装備はほとんどない)できるという、〈水越《Me111AH》眞子〉に順ずる離着陸性能を有している。まあこれは前線の悪条件下で戦うことが多い戦術攻撃機の標準ともいえる能力であって、アウトバーンを始めとする高速道路からの離陸を考慮する欧州機の特長ともいえる。{{br}} 武装は当然対艦攻撃を重視。搭載量は大出力エンジンのおかげもあって著しく、翼下と機体下部にずらりと並ぶ実に18箇所ものハードポイントにはマルテ対艦ミサイルからコルモラン対地ミサイル、ロケット弾に誘導爆弾といった多種多様の装備が可能。このほかに世界屈指の発射速度を誇るマウザー/OTOブレダの27亠ヾ慄い鯑麑隋M稈爾烹腺腺誉賤僖薀鵐船磧爾鯀備。このAAM専用ランチャーは絶対制空権下での戦闘は考えられない欧州や北米での戦いの必需品。AAMの一つも持っていなければ防空戦闘機をかいくぐれないのはすでにWW3からの時代から証明されている。
 この多種多様な兵器を管轄する航法爆撃システムは監視レーダー。地形追従レーダー、測距レーダーと慣性航法装置を組み合わせたもので、地上50m以下(海上なら30m以下)の超低空を地形に沿って亜音速で駆け抜ける実力を有し、また対空/対地/対艦を自動的に切り替え、そのいずれのミッションでもソツなくこなせる統合攻撃システムを機種の電子機器室に収めている。
 これらの能力を貰った〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉は正に「成績優秀、スポーツ万能」を地で行き、しかも充実した電子装備によって付き合いやすいという、非常に恵まれた才を持つ有能な機体でありながらそれを当然のごとくこなせる実力と他機がやってしまうボケに対して冷静に突っ込める性格を備えた機体となった。
 元々旅客機のエンジンを転用、しかも「描き分けが出来ないのでは?」と日本から陰口を叩かれたミラージュシリーズの影響を受けたカナードデルタ系の機体だが「いわれなき流言飛語はやめてもらえません?」とばかり批判をさらりとかわしている。だいたいイタリアの機体だ。デルタ翼でミラージュという名前の機体ばかりうじゃうじゃと造って「誰が誰やら判らない」という陰口を叩かれるフランスとは違う。
 それはともかく、元々出来合いのエンジンを技術を使った機体。しかもシークレットの部分以外は民生品をできる限り使用する方針であったため、開発も生産も順調。91年から量産型の生産が開始されてイタリア空軍に配備、少し遅れて配備が始まった主力戦闘機G280〈桜井《ティフォネ》知絵〉が無理なエンジンを搭載した挙句に右側エンジンの欠陥を抱え、補助ブースター無しではまともに離陸すら出来ないありさまなのとは対照的に高い実用性を発揮。主力攻撃機となる傍ら、アルバイトとして対空ミサイルを抱えて戦闘機の補助としても使用され、その汎用性の高さを発揮している。
 また同じく地中海に面するフランスでも同様の理由から攻撃機を要望。ダッソー社が多忙のためライセンス生産をとることに決め、〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉と〈水越《Me111》眞子〉を比較した結果「炎の鉄拳」なしでもそつなく任務をこなし、空対空戦闘でも「や、この機は元来戦闘機だから」という言葉通りの能力を発揮した〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉を採用。地中海、ツーロンに基地を置くG.B2/Bシャルルマーニュに配備した。ここに配備された機体は白とグレーで構成された塗装が特徴で、〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉にもよく映え、本来の魅力が高まったと評判だった。
 派生型で管制機と戦闘機部隊の仲を取り持つ戦術偵察型のMB337ECR〈相良《クレイブ。山彦》(※注2)も配備され、ボンバディーアBDE707〈桜井《グローバルサーチ》舞人〉、さらにはアラド〈朝倉《Ar707E3》純一〉とも組んで電子妨害作戦を担当、見事なサブキャラぶりを発揮。前者はともかく後者からも「お前、いい奴だな」と高評価を貰っている。(※注3)

■妹というもの

 ところで〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉が配備された時、時に寄り添うように飛行する様が見られた。このコンパクト機の名前はダッソー/ドルニエ〈郁原《アルファジェット》郁奈〉。色々とライバル関係にある独仏では珍しい共同開発機である。
 50年代から70年代にかけて戦車主体の機甲軍を阻止する任務をこなすとき、小回りのきく小型機がよいか。それとも強大な武装を持つ大型機がよいか意見が分かれていた。
 分かれているのならいっそ両方の機体を製作してみよう。そういう訳でこのうち大型機の方は〈天枷《Bv105》美春〉として開発されたが、小型機の方がこの手の機体の常である身軽さと操縦性のよさから練習機を兼任することとなり、元々高等練習機として独仏が開発していたドルニエP375とブレゲー126の特徴をいわば結婚させて作った子供ともいえる機体が〈郁原《アルファジェット》郁奈〉である。
 このときに前述した〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉の原型ともいえるメッサーシュミット/アエルマッキ〈トーネード〉も開発されており。この両機、いわば攻撃機における姉妹のような関係だったのだ。
 しかしこの〈郁原《アルファジェット》郁奈〉、試作機が完成した頃には攻撃機は超音速機か重武装が機重視される時代に移り変わっており、小柄さから来る搭載量の少なさはともかくレーダー、航法設備の弱さは支援なしでは単純なルートですら道に迷ってしまう有様。それにそもそもの目的だった近接支援攻撃機にはいかにもドイツ人が造りそうな凝った機体である〈天枷《Bv105》美春〉が入っている状況ではせっかくの開発機である〈郁原《アルファジェット》郁奈〉はサブキャラに徹するしかなかった。
 この〈郁原《アルファジェット》郁奈〉をなんとか戦力化しようとしたのが万能の重武装機である〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉の部隊やアエルマッキ社というのがなんとも皮肉なものだが、元々〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉自体も独伊共通機が離婚して出てきた機体ゆえに通じるものがあったのだろう。何かと妹のように〈郁原《アルファジェット》郁奈〉を可愛がり、練習機兼任のCOIN機として一本立ちさせるところまで持っていっている。

  

■優等生という名の問題児

 話を戻して前述の経緯でフランス空軍・海軍航空隊にも配備された〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉だが、訓練時に〈桜井《グローバルサーチ。舞人》が誤誘導したミサイルに対し、「挑戦と受け取った」と返信。次の瞬間、イタリア軍オリジナル(なぜ装備していたかは不明)を含めてAAMからATM、ASMを次々に発射、周囲の機体を巻き込んであわや本当の空中戦になりかねない状況を起こすエピソードもあったが、かえって「三階の窓に植木鉢を放り込む」といわれた精密誘導性を証明するよい証拠となった。
 第四次世界大戦では〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉は爆撃航空軍の主力として参戦。ドイツ製だろうが東部連合製だろうが簡単に使いこなせる兵装運用能力、対艦ミサイルを抱えての艦船攻撃から爆撃、ロケット弾による対地支援から始まって爆撃機の迎撃まで文字通りの万能ぶりを発揮した。
 特にジェットコースターか「ホラー映画観賞並み」と〈水越《Me111AH》眞子〉に呼ばれた低空侵攻でも全く動じず、かえって楽しむかのように任務をこなし、充実した通信装備により「仕切り」も上手く編隊長機の「対地攻撃に、行くぞー!」の命令一下、PACTO軍地上部隊を多種多様の搭載兵器で一網打尽。戦局が一時的に悪化した夏には「者ども、元気力が足りーん!」とばかりフランスどころかドイツの同業者(※注4)まで引きずり出して場(戦場)を仕切る活躍を見せた。特にモントリオール攻防における「轢殺爆撃」の支援は有名である。
 だが「ぶっ殺すよ」と攻撃に駆けつけ、対艦ミサイルを叩き込んでも結局は止めを刺しきれなかった第二次NY沖海戦時を筆頭として何か性能の割りに〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉には冷めた戦いぶりが多かった。{{br}} そう、「深く関わらず、広く関わる」という戦いぶりだった。地上部隊からのラブコールに対しても「や、面倒なんで」と素っ気無く答える様はその万能ぶりからしてもおかしなことだった。
 その理由。〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉はイタリアの機体である。余り深く第四次世界大戦…イタリアは中立…関わると微妙な関係にあるイタリアと他の欧州諸国とがズレかねない。それを運用しているフランス空軍も理解していたし、そもそも運用部隊のパイロットにはイタリア人(非公式)も混ざっているのだ。もっとも〈桜井《グローバルサーチ》舞人〉のづけづけしたデータリンクに対しては「や、負けを認めるわ」とばかりきちっと答えていたが。
 「妹」である軽攻撃機〈郁原《アルファジェット》郁奈〉は練習機として戦いから外れた。戦いから背を向ける「妹」に対して「姉」は戦いを広く浅く加わることで共同開発のエゴを皮肉っていたのではなかろうか。

 第四次世界大戦後も〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉は南欧軍の主力として飛び続けている。制空戦闘任務こそ〈高月《ティグレ》未依〉や大改装によってようやく実用に達した〈桜井《ティフォネ》知絵〉が貰い受け、またハードポイントにずらりと並べた装備はステルスには全く向いていないが、これだけの搭載量と高性能を兼任できる機体は他になく、イタリア、フランスをはじめとして南欧諸国やエジプト、リビアといったアフリカ諸国で戦闘攻撃機として採用されている。
 一応、イタリアでも後継となるべき機体は開発されており、〈芙蓉《アルバ》楓。という名前がついてはいるが大戦後の平和ムードでは「果たして新型機は必要か?」という意見もあって延び延びになっており、〈八重樫《ヴルペス》つばさ〉と南欧軍との深い付き合いも長く続くことだろう。ドイツの圧力も弱くなった今、臆病ともいえる戦い方をする必要はない。この国を守りきっていけばもう心配は要らないのだから。

♯注1 エンジンに取り入れた空気のうち、燃焼させずにそのまま通り抜けさせる空気と燃焼させる空気の割合。これが高いほど亜音速時に燃料を食わずに経済的だが、超音速時の効率は悪くなる。戦闘機だと0.2〜0.4、爆撃機は2程度。民間機は2〜6

♯注2 MB337ECR〈相良《クレイブ。山彦》はECR(電子戦闘偵察の略)の名前が示すように外見こそ機首がちょっと延びて垂直尾翼に電子ポッド、胴体下にカヌー型のレドームを取り付けたくらいの差しかないがキャラは全くの別物。強化された電子機器と偵察カメラ、データリンク、電波妨害システムといった強力な電子装備を備え、防空レーダー攻撃用の対地ミサイルを6発搭載できる強力な支援者として戦闘活動の根回しを担い、「頑張れよ」「ここは攻めろ」とばかり仲を取り持った。

♯注3 自国空軍からすら敬遠気味の〈杉並《Me111MR/D》〉よりは春香に付き合いやすい機体だというのは衆目の一致。しかも〈相良《クレイブ》山彦〉は「有名声優を音声出力に起用したのでは?」ということでも有名。

♯注4 〈星崎《シュペルミラージュ》希望〉どころか〈白河《アドラー》ことり〉まで引っ張り出して対地攻撃をさせ、ドイツ側から「このままでは〈八重樫《アドラー》ことり〉(重攻撃機の意味か?)に生まれ変わる日も近い」と嘆かせた。

■データ(A型、カッコ内はECR〈相良《クレイブ》山彦〉MB337ECR Crabe)

全幅 12.12m
全長 17.5m(18.2m)
全高 5.72m
自重 12580(13300)
最大重量 26000
発動機 フィアットRT2100F23(推力17300圈ぃ繊殖臓。横械械坑悪)×1基
最大速度 M=2.0
最大航続距離 3220km
武装 27弌.泪Ε供/OTOブレダ機関砲2門
   各種爆弾12500圈▲蓮璽疋櫂ぅ鵐硲隠+AAM専用2
   (機関砲なし、対レーダーミサイル6発+AAM2発)
乗員1名(2名)

■各型

A型:イタリア空軍向け戦闘攻撃機
B型:フランス空軍向け攻撃機
〈相良《クレイブ》山彦〉:電子攻撃機、対レーダーミサイル装備

■ダッソー/ドルニエ〈郁原《アルファジェット》郁奈〉Dassault/Dornier Alpha Jet

全幅 9.11m
全長 12.29m
全高 4.19m
自重 3300
最大重量 7820
発動機 チュルボメカ・ラルザック04C6(推力2730)×2
最大速度 947km
最大航続距離 2800km
武装 27弌Ε泪Ε供宍ヾ慄ぁ滷洩(フランス向けはGIAT・30弌滷)
   爆弾など3000圈.蓮璽疋櫂ぅ鵐硲
乗員 2名