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〈藤宮《剣》望〉

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中島 四〇式戦闘機〈藤宮《剣》望〉(Nakajima Type-40 Tsurugi LongRange intercepter,JAPAN)

(元ネタ Wind ―a bless of Heart―(minori)より藤宮望)

 実用戦闘機として唯一前進翼を採用した四〇式戦闘機〈藤宮《剣》望〉は「MX(N/T)-10の娘たち」(※1)こと三七式戦闘機とそのによって戦力を構成された日本戦術航空機の数少ない例外での一つである。
 なお、MX(N/T)-10の開発には中島飛行機も少なからず関わっており、三七式シリーズとは、人間に例えれば従姉妹の関係に当たる。

 このの全長25メートルにも達する大型戦闘機は、当時の世界的トレンドであった遷音速域での空中戦闘能力を重視した機体として航空軍から提示された性能標準に基づいて設計されている。しかし、〈藤宮《剣》望〉は同時代の他の多くの機体とは異なり、前進翼を採用している。
 前進翼は、遷音速域出の優れた揚抗比、大仰角時及び失速時のコントロール性、そして離着陸速度の低下という点で優れており、〈藤宮《剣》望〉に望まれた性能要求に達していた。しかし、前進翼にも特有の欠点があった。中でも致命的なものとして挙げられるのが、翼平面形として、根本的に空力安定ではないということ、また、高速領域において主翼にねじれが発生した場合、増幅されて空中分解する危険があるという2つの欠点だった。この欠点は空力的な対処で補いのつく後退翼に比べて深刻で、このため〈藤宮《剣》望〉以前、まともな前進翼機は存在し得なかった。
 しかし、中島は前者の問題を動翼をコンピューターで制御するCCV機とする頃で、後者については主翼構造に複合素材を用いて軽く、なおかつ剛性を高めることでフラッターの発生を防ぐことで対処した。なお、前進翼では後退翼とは逆に翼の付け根で失速を起こしやすい傾向があるのだが、この点については大型のストレーキを設けることで対処している。
 CCVを用いた機動の便を図るため、クローズド・カップリング式にカナードを備えているほか、後部下面にも機体制御用の全遊動式のフィンが備えられている。
 パワープラントは石川島フ41Fターボファンエンジンを胴体中央に並列で備えている。これは、〈聖山〉用に開発された低バイパス比ターボファンを改良、戦闘機向けに強化した物で、二次燃焼装置使用時の推力は18tに達する規模の物となった。また、バイパス比を可変とすることで、巡航時の燃費と、戦闘・離陸時のレスポンスを両立させることを狙っている。
 レーダーは三七式のFD-27系統ではなく,三七式邀撃機(※2)に搭載された東芝製のS-800のレーダーアンテナの直径を大型化して性能向上を図ったS-800Mを搭載している。このため、最大探知距離300km、24目標同時捕捉、8目標の同時追尾/攻撃という当時としては十分以上の能力を備えている。これは特に後述する長距離対空誘導弾を搭載・運用することを想定したためだが、対地モード等の汎用性という点ではFD-27に劣っており、後に延命策として施された改修の結果、アクティイブ・フェイズド・アレイ化し、情報処理能力を高めた改修型を装備することになる。
 加えて、〈藤宮《剣》望〉は操縦席直前部の機首上面に統合型の光電子捜索装置を装備している。赤外線カメラとレーザー測距装置を組み合わせたそれは、完全にレーダー波を出さずに空中目標について捜索可能な能力を〈藤宮《剣》望〉に与えている。もちろん、このシステムは空中目標の捜索だけでなく、各種兵装を用いた攻撃にも使用が可能となっている。(ただし、周波数の関係からレーザー誘導爆弾の誘導は不可能)。この光電子捜索装置に、アクティブ電波誘導型の空対空誘導弾12型(AAM-12)、あるいは発射後ロックオンが可能な受動赤外線追尾型の空対空誘導弾11型を組み合わせた場合、自機からのレーダー波を一切出すことなく目標に対しての攻撃を行うことが可能となっている(後者の場合、射程の長さもあって命中するまで)
 この高度な目標指示・射撃管制システム搭載により、〈藤宮《剣》望〉は近距離における、剣を直接交えるような格闘戦のみならず、遠距離においても思い通りに目標を撃破する能力を有していた。
 無論、戦闘機である以上、兵装についても怠りはない。内翼部に供えられた強化ポイント4箇所に加え、胴体左右側面下部にもそれぞれ2箇所ずつ強化ポイントが備えられている。(計8箇所)。また、胴体内部の兵器倉に4発の長距離空対空誘導弾が搭載可能となっている。この兵器倉は当初は空対空誘導弾9型専用とされていたが、後に全機が改修され、他の形式の空対空誘導弾も搭載可能となっている。
 この長距離誘導弾は三一式邀撃機向けに東芝が開発したものを改良したもので、アクティブレーダー誘導方式を採用、発射前ロックオン、発射後ロックオンの双方が可能になっている。また、発射後ロックオンの場合、データリンクと慣性誘導により中間誘導を行うようになっている・発射距離が短い場合、ミサイル搭載のレーーダーで発射前ロックオンを行うことも可能になっている。もちろん、どちらにしてもこれまでの主力空対空誘導弾として使用されていた空対空誘導弾7型のように、命中までレーダー波を照射し続ける必要のない、打ち放しも可能となっている(※3)
 胴体上部側面には太平洋条約機構の標準的な航空機関砲として使用されているホ157 30亠ヾ慄(※4)を搭載している。なお、射撃管制には機首搭載の複合センサによる測距がリアルタイムで行われるため、その命中精度は従来の航空機関砲の命中精度を大きく上回っている。
 カタログスペック的にはまさに三七式すら上りうる魅力を持った制空戦闘機として誕生した〈藤宮《剣》望〉は、「技術を極めた物(機体)は奇麗でなくては本物ではない」というNC型戦闘機(後の九一式戦闘機)以来、連綿と続いた中島飛行機の共通認識が結晶したかのように、スマートかつ俊敏な印象でまとめられている。このため、80年代後半の航空軍における四大戦術機――ヒロイン――の一つに数えられている。(※5)
 しかし、目玉のひとつだったフ41Fは、優秀なエンジンに分類される物ではなかった。この大出力、低バイパス比ターボファンエンジンはエンジンの特性を変化させる機構を組み込んだ結果、気流の乱れに敏感すぎると言う問題を抱えていた。このため、初期にはまともに飛行できない――それどころか地上滑走さえもままならないほどの状態にあった。この問題が解決されるには、中島の社内問題が解決され、四三式戦闘攻撃機〈藤宮《青嵐》わかば〉のインテイク設計を参考にした改良が加えられるのを待つ必要があった。また、インテイクの改良がなされてもなお、エンジン自体の問題が解決されたわけではなく、本来前進翼が持っていた良好な失速特性と、CCV技術による運動性能を発揮できることはほとんどなかった。生産された機体のほとんどは海洋打撃航空集団(※6)に配備され、〈藤宮《青嵐》わかば〉の護衛として、スタンドオフ空対艦誘導兵器を用いてウェイトレスのように海軍の注文に答えることになった。少なくとも、低空高速侵攻‐対艦ミサイルによる防空圏外からの攻撃という通常シークエンスではエンジンの問題が発生することはほとんどなかった。また、海洋打撃航空集団への配備にあたって、胴体後部には、低抵抗型のカヌー型ユニットに納められた電子戦ポッド(形状から「ポニーテイル」と呼ばれた)が増設されている。

 欠陥の多い機体だったが、それでも搭乗員は海洋打撃航空集団の援護機としての役割を果たそうと奮闘した。
 〈藤宮《剣》望〉、そして海洋打撃航空集団(※7)が最も大規模に投入されることになった第二次ニューヨーク沖海戦では、混戦の中ミニAWACSとして運用することも可能なレーダーと管制システムを装備した(操作は兵器操作員が行う)〈藤宮《青嵐》わかば〉の支援を受け、長距離空対空ミサイルでちょっかいを出し、つきまとう敵機を追い払っている。とはいえ、全体で見た場合にはそれほど芳しいものではなく、空母機動部隊同士の対決の支援となった第一次攻撃では混戦に巻き込まれた結果、有効な戦果を挙げることはなかったが(※8)。
 また、エンジンが額面どおりの性能を見せたときには、〈ブルドッグ〉以来、戦闘機メーカーとして発展した中島飛行機の最新型制空戦闘機として恥じることの無い活躍を示している。合衆国中部戦線では、欧州連合唯一の大型艦上戦闘機を原型としたF-14〈剣《ジャガー供媾次咾箸い辰神空戦闘機を圧倒している。カリブ海では主に攻撃機として運用されたために〈藤宮《剣》望〉を侮ってかかったという面も否定はできないが。
 しかし、「送り狼」として待ち伏せた東部連合海軍の〈剣《ジャガー供媾次咾〈藤宮《青嵐》わかば〉の支援が無い状態で襲撃され、エンジン不調も重なって(本来は近距離で使うことはない)空対空誘導弾9型の近距離からの射撃という切り札を使い、何とかきり抜けるという一幕もあったが。
  また、第四次世界大戦末期に発生した、航空軍というより日本帝国の保有した軍事システム、特に戦略レベルでの報復システムにおける欠陥(というより厳密似すぎたがゆえに現実と乖離した事故的な事件)を原因とした二六式戦闘爆撃機〈月代《彩光》彩〉による核攻撃未遂事件の際には、〈藤宮《青嵐》わかば〉に攻撃をかけた国籍不明機に対する反撃というかたちで阻止作戦に投入されている。相手は旧式であったが、機体の機密性のために〈月代《彩光》彩〉に乗りつづけ、極秘任務に関わり続けた熟練パイロットであり、技量はむしろ〈藤宮《剣》望〉を上回るところもあった。また、電子装備も常に最新型にアップデートされており、現代における航空戦の決め手である空対空誘導弾にしてもその能力は互角かそれ以上のものを使用していた。
 このため、最新戦闘機である〈藤宮《剣》望〉も機動制限を越えた運動を行うため、電子戦ポッドを強制分離して捕捉から逃れなければならないほどだった。「戦闘機兼攻撃機」としての限界を超えた――そして、本来の戦闘機としての〈藤宮《剣》望〉の機動は〈月代《彩光》彩〉にとっても予想外であったため、彼女の担当する攻撃部隊の阻止は果たされた。また、核攻撃自体はすんでのところで戦略通信回線が復旧したために回避され、第四次世界大戦が、戦間期に言われていたように全面核戦争になることは無かった。

  第四次世界大戦――合衆国及び大西洋を主な戦場として行われたこの戦争の終結は、あるいは環太平洋と欧州との対立という長い夢の終わりだった。
 そして、長い夢と、夢の生み出した力によって実用兵器として存在しえた〈藤宮《剣》望〉もまた、予算の減少とともに定数表から姿を消しつつあった。
 しかし、前進翼という斬新な形状を採用した〈藤宮《剣》望〉は時代の徒花、中島飛行機という(三菱ほど依存しているわけではないとしても)ナショナル・メーカーを保護するためだけの計画だったのかといえば、それは誤りである。そうでなければ、中島が空軍に提案した、エンジンを信頼性の高いRR〈フェニックスX〉へ変更し、性能向上を図る案は完全なペーパープランとなっただろう。また、航空軍の次期主力戦闘機となる多機能邀撃戦闘機計画、通称「X計画」において、〈丘野《X-02》空〉と名づけられた中島案は、〈藤宮《剣》望〉に良く似た、前進翼を備えたスマートな機体として開発されている。
 また、日本において唯一の実用前身翼機であるため、各種のテストベッドとしても用いられている。特に、航空技研において前進翼の形状試験機として改修された機体は胴体上面のみに識別用の塗装が施され、そのパターンからどういうわけか「エプロン装備型」と呼ばれている。―― 一時はさらにその特殊塗装が剥がされており、言うなれば「裸エプロン」に近い状態にあった。ただし、その状態であった期間はごく短い。

■主要生産型

儀拭勅舁彑源嵯拭3ね梁之盥匐集団向け制空戦闘機。
況拭張┘鵐献鵑鬘劭辧劵侫Д縫奪スX〉へ変更。

■性能諸元(儀)

全長:25.2m
全幅:17m
空虚重量:24t
最大離陸重量:35t
エンジン:石川島播磨 フ41F(A/B使用時 18,500)
最大速度:M2,6
上昇限度:18,000m
 固定武装:ホ157 30亠―董。洩

■註

(※1) そのもっとも有名なものは、長距離迎撃機として開発されながら、最終的に多用途戦闘機となった三七式戦闘機〈鳴風《晨風》みなも〉である。
 また、前線部隊向けにスケールダウン・電子装備をダウングレードさせて整備性を向上させた四三式支援戦闘機〈丘野《陽光》ひなた〉、また、海洋打撃航空集団向けに三七式を複座の偵察兼攻撃機に改修した四三式支援戦闘機〈藤宮《青嵐》わかば〉がある。

(※2) 主に本土防空を目的に開発された大型邀撃機。当時の戦術爆撃機に近い機体規模を持ち、大出力(10t級)のターボジェットエンジンでマッハ3の巡航が可能であった。長距離誘導弾の更新と運用コストの問題から、三七式の実戦配備にあわせて実戦配備から外れている。

(※3) データリンクの送波機もレーダーとは別に設けられているため、発射後の機動の自由度と精度は極めて高くなっている。機首に装備されたパッシブ赤外線/レーザー複合センサーを多用して射撃することも可能になっている。

(※4) 通常型の単銃身機関砲。三七式を始め、70、80年代の日本戦闘機における標準的な航空機銃として装備された。敢えて旧式ともいえる通常型の機関砲を採用したのは、武装システム、特に砲の重量軽減と新型赤外線誘導弾(空対空誘導弾8型、同11型)の実用化に伴う相対的な機銃の価値低下(ただし、60年代半ばに一大ムーヴメントとなった「機銃不要論」とは意味合い的に大きく異なる)が影響している。
 ただし、航空機関砲としての性能は決して悪い物ではない。回転式機関砲は射撃開始から1秒前後の発射サイクル及び命中精度の面で大きく劣ることを考えれば、合衆国のM61と実用上は互角とされている

(※5) 三七式シリーズ(四三式支援戦闘機、四三式戦闘攻撃機)、二六式と、そして四〇式。なお、エンジン不調についてもすでに公表されていた。

(※6) 空軍独立の際、陸上攻撃機の管轄をめぐって問題が起こったことから設立された部隊。海軍との共同作戦を主任務とする。第三次世界大戦後は戦略・戦術の両空軍が分化した後、戦術航空軍の下部組織となる。
 ちなみに空軍管轄内でこの種の対艦攻撃専任部隊を保有しているのは、現在では日本のみとなっている。(たいていは海軍航空隊か、戦闘爆撃機/多用途戦闘機部隊の一任務となっている)。

 (※7) 海洋打撃航空集団/混成第2航空団が中核

(※8) ただし、離脱した空母部隊への追撃となった第二次攻撃では、東部連合の〈ミッドウェイ〉級二隻の作戦行動能力を奪っている。