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〈鷹丸〉

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大日本帝國海軍超大型航洋曳船兼工作艦〈鷹丸〉

元ネタ:メイビーソフト/オーサリングヘブン「The・ガッツ!」「The・ガッツ!2〜海でガッツ〜」

マッチョ!マッチョ!マッチョ!

第二次大戦・第三次大戦を通じ、日本海軍の工作艦戦力の中核をなした影の立役者である本級は、元来軍艦として建造されたものではなかった。
猫柳海運が英メイビー・シップビルディング社(以下MBS)に発注した超大型航洋曳船が、その原型である。
航洋曳船は、通常は1000トン程度、大きくても1300トン程度の排水量しかない。
しかし、この〈鷹丸〉は完全にそれまでの設計を覆す、ある意味で「気のふれた」ようなシロモノであった。
出力80,000馬力をたたき出す高出力機関で排水量5300トンの船体でありながら時速25ノットを叩き出す(しかも、抵抗の大きい船体形状で!)怪物。
そのフォルムにいたっては、何を考えたか知らないが異様にだだっ広い後部甲板(船尾には牽引以外にも使える大型クレーンを装備)、前方には構造物を徹底的に集中させ、視界を確保するという名目で異様に高いブリッジを持つ。
あまりにその常軌を逸したフォルムには世界中の評論家、技術者から「子供が見たら泣く」「既に船ではない、バケモノだ」「こんなので勃つ奴の気が知れない(!?)」というコメントが寄せられたほどであった。(※1)

しかし、なぜか思いもよらずこれが売れた。

なぜこんなに売れたかと言うと、広大な後部甲板に余裕のある構造に後部の大型クレーンと、洋上で損傷した艦を応急修理して手近の根拠地まで引っ張っていくという任務には、この船ほど適した艦は存在しなかった。あの「船とは思えない」フォルムがこの用法にピッタリ当てはまったのだ。何が幸いするかわからないものである。
猫柳海運が発注した船のうち最初に着工した〈高原丸〉は、船台上にあるうちから独海軍が興味を示し、完成と同時に売却。工作艦〈ホッフェルト〉と名称を改めた。また、ブラジル海軍も4番船〈まりあ丸〉を買収、工作艦〈サンタ・マリア〉として就役させている。
残存した2番船〈鷹丸〉3番船〈大島丸〉4番船〈早坂丸〉も完成後海軍に編入、〈長瀬〉や〈明石〉といった正規の工作艦と共に貴重な工作感染力の一翼を担う事になった。もっとも、正規の工作艦が重要根拠地からなかなか離れないのに対し、鷹丸級は洋上損傷艦が出るなりそこに直行するという「現場仕事」がやたら多かったが。


というか、強チンされてます

第二次世界大戦勃発と同時に、鷹丸以下3隻は遣欧艦隊に編入された。その能力を高く評価されたためである。
遣欧艦隊の到着と同時に、全艦が忙しく活動を開始した。
戦況が逼迫している地中海に2隻(〈鷹丸〉、〈大島丸〉)が、北海に1隻(〈早坂丸〉)が配備され、とにかく損傷艦を根拠地まで引っ張ってくるというのがその業務である。
そして、彼女達はその能力を余すところなく発揮した。
というか、やりすぎた。

 あまりにももの凄い光景にショックを受けた私は、思ったことをそのまま口にしてしまっていた。
「というか、強チンされてますが……」
「ひどいことを言うね。駄目だよ。曲がりなりにも彼女は女性なのだから、そんなことを言っては」
「あの、曲がりなりにもって……」
 と、艦長は私の両肩をワシッと掴んだ。
「今、私は何も言っていない。オッケー?」
 …目が座っていた。
「え?でも、たった今……」
「気・の・せ・い・だ・よ」
 一音ずつ区切りながら、私に迫ってくる。
「は、はいっ!」
 その鬼気迫る雰囲気にのまれた私はうわずった声で返事をしてしまっていた。
「わかってくれてありがとう」
(スティーブン・ネッド「大戦についての回顧録」より)

※スティーブン・ネッド氏は当時の〈結城《ウォースパイト》紗夜〉の副長である。「サー」の称号をもつ准男爵。バス勲位大十字章受賞者

「まさか3Pとは…(※2)」(昭和商船所属〈幸和丸〉船長)
etc.etc...
牽引作業については、もはや悪評以外の何ものもなかったのではあるが、その能力については全く疑問をさしはさむ余地も無い。
彼女等が英本土陥落までに牽引した艦艇は110隻、80万トンを越えたのだ。
この活躍で、〈鷹丸〉級は日英海軍に誰一人とて知らぬ者のない「汚名」…いや、「悪名」…これも違う。
とにかく、彼女等に与えられた「猫柳」の秘匿符牒は、その後第二次、第三次、戦後を通じ、あらゆる海事関係者にとっての恐怖の代名詞となった。

英本土陥落が目前に迫った1942年夏、〈鷹丸〉級全船が英国スカパ・フローに集められた。何とブラジル海軍の〈サンタ・マリア〉まで駆けつけている。無論、ここに集まった目的は英本土脱出計画『ダンケルク』の支援であった。この時期既に対米戦が開始していたのだが、鷹丸級は呼び戻されていない。よほど彼女等を恐れたのだろう。
ここで全船に機銃が増設(工事自体は各船の工作班が行った)され、自衛能力が付与された(※3)。また〈鷹丸〉には九五式水偵が応急的に搭載されている(※4)。
1942年8月19日、全船抜錨。護衛のコルヴェット〈《チューリップ》新米〉等を引き連れてスカパ・フローを出航した。目指すは、北太平洋上の邂逅点である。


大西洋でガッツ!

 1942年8月22日、邂逅点「ビーチハウス」に到着。待機していた軽巡洋艦〈星野《コヴェントリー》祖父〉等と合流した。この時待機していた部隊は合流まで数度のUボートや水雷戦隊の襲撃を受け、旗艦〈星野《エメラルド》父〉や〈星野《エクスマス》母〉を失っている。軽巡洋艦〈星野《コヴェントリー》祖父〉も機関損傷のため駆逐艦母艦〈星野《タイン》健太郎〉に曳航されていた。
 合流後、大食らいの各船に対する補給と、乗員に対する食事の特配が行われた。
 このとき、〈鷹丸〉〈早坂丸〉は比較的楽に供給できるものを要求したのに対し、〈大島丸〉は『浜塩ラーメンチャーシュー抜き』というマニアックなものを要求。
「何でも作るといったんだから、ちゃんと対応するのが礼儀だろう」とのことである。
 しかし、なんと〈星野《タイン》健太郎〉は見事に『浜塩ラーメンチャーシュー抜き』を作ると〈大島丸〉に供給。全船の度肝を抜いた。これでなぜか全船が意気投合したのである。

 25日、警戒を行っていた〈鷹丸〉搭載の九五式水偵が後方より追撃してくる艦隊を発見。
これまでに数回襲撃をかけてきたT1級水雷艇を中核とした部隊である。
 まるでタチの悪いチンピラのように執拗な襲撃を繰り返す連中に、〈鷹丸〉艦長M少佐はキれた。女を怒らせるものではない(※5)。
 〈鷹丸〉、〈大島丸〉、〈早坂丸〉、〈サンタ・マリア〉は単縦陣を組むと、22ノットの最大速度で突撃した。
 肝を潰したのはドイツ側である。彼等にとっても恐怖の的である〈ホッフェルト〉が、四隻も突っ込んでくるのだ。当然、逃げる!逃げる!逃げる!
 …戦いになるはずもなかった。

 逃げ帰った水雷戦隊を待ち受けていたのは、たったいま逃げ出したはずの〈ホッフェルト〉だった。―ただし、味方だったが。
 後部甲板に大量の物資を積み込み、臨時の補給艦として使われている〈ホッフェルト〉。その姿は……………スキンヘッド。
 そう。〈ホッフェルト〉は就役後数回の改装を受け、艦橋の形状がそうとう変化していた。
 露天艦橋は密閉され、マストも三脚から塔型へ。アンテナ等もかなり整理され、「バンダナ」と呼ばれる大型の網型アンテナを装備する他にはほとんど見当たらない。
 それでいて、そのマッシヴな船体はそのままなのだ。…怖い。
 それはともかく、彼等を出迎えた〈ホッフェルト〉の第一声はこうだった。
「お前等、何やってる?」
 言えない。とてもではないが、言えない。
 まさか「功名欲しさに『捨て置け』との命令を無視して勝手に船団襲撃した挙句、〈鷹丸〉が四隻も突っ込んでくるので逃げ帰ってきました!」という報告などできようはずがない。言ったら…想像するに余りある。思わず全艦が無線封止でもしたかの如く黙り込んだ。
 何とかその場はしのいだものの、彼等の立場は風前の灯火。補給を速攻で済ませ、再び彼等は襲撃に出発した。
 とりあえず、これがバレたら大目玉どころではない。だがとりあえず戦果さえ挙げてしまえばこちらのものだ。
 ほとんどチンピラと大差の無いメンタリティでそう結論づけた彼等は、現在のところ最大の脅威である〈ホッフェルト〉を無力化すべく、超特急での補給を行った。
 何せ一気に一個水雷戦隊が同時に補給したのだ。いくらタフで知られる〈ホッフェルト〉乗組員とて、作業が終了した翌朝には完全にフラフラになっていた。


姉妹鷹

 26日朝。
 『浜茶屋』に到着した彼等を待ち受けていたのは、〈鷹丸〉級、〈星野《タイン》健太郎〉、〈《チューリップ》新米〉の形作る「壁」であった。その他の船は既にいない。彼女等が殿となって逃がしたのだ。
 ドイツ側と〈鷹丸〉等の間に緊張が張り詰める。非戦闘艦とはいえ、魚雷以外にロクな兵装のないT1級では、対空機銃の増備された〈鷹丸〉に下手をすれば撃ち負ける可能性がある。〈鷹丸〉側も、彼女等なら魚雷の1発や2発喰らったところで沈みはしないだろうが大ダメージである。他の二隻は一撃だろう。 しかし、双方が口火を切らんとしたそのとき。
「い、行くぞぉ!」
「何処へ行くんだ?」
 間に割り込んだ艦影があった。
 〈ホッフェルト〉だ。姐さんだ。恐怖のスキンヘッドだ!
 彼等は〈ホッフェルト〉乗員の回復力を甘く見すぎていた。あの程度でへばるようでは〈ホッフェルト〉乗員とは呼べないのだ。
「てめえ…あたしを謀りやがったな…」
「あ…う…うぎゃあああああーーー!!」
 そして、戦闘は、幕が切って落とされる前に終結してしまった。

 〈星野《タイン》健太郎〉艦上で、両軍のの艦長同士による会談がセッティングされた。
 水雷戦隊の艦長たちが土下座して謝るのを横目に、〈ホッフェルト〉艦長と〈鷹丸〉艦長の間での相互不可触の確認が取り交わされた。無線室では〈《チューリップ》新米〉艦長が船団司令に対し一万回の土下座をしながら報告を行っていたのは余談である。

 結局、この船団はセントジョンズまで一隻の脱落も出すことなく到着する事が出来た。


Always look on the bright of life

 その後も、〈鷹丸〉級はあらゆる戦場に顔を出しつづけることになる。
 第二次、第三次、第四次の全てを現役として、一度も予備艦指定されることも無く過ごした艦というのは、他には例を見ない。
 戦争間にも、伊勢湾台風や三原山噴火、阪神大震災等災害出動には必ずといっていいほど出動し、後部甲板に山と積み込まれた救援物資はその巨大なクレーンで迅速な荷揚げが可能であることから真っ先に被災者に配られることになった。当然、マスコミへの露出も群を抜いて多い。
 ある意味、海軍の戦闘以外の活動の「顔」となったのだ。

 2001年現在。今だ近代化改装や艦齢延長工事を受けつつ〈鷹丸〉級全船は現役である。
 この後も代艦が建造される予定は無いので、21世紀のかなりの期間にわたって使い続けられることになるだろう。
 大洋の悪夢、海軍史上最兇のヒロインは、今だ世界に君臨しつづけている。

 最後に特筆すべき事がある。その長い戦歴の中、今だ〈鷹丸〉級乗組員の死者は出ていない。

※1
 この設計を担当した元MBS代表取締役のHighsun氏は「作りたいように作ったらこうなった」というコメントを残している。

※2
 マルタ近海で〈幸和丸〉が伊軍機雷に触雷した際、近海で英軽巡を曳航中の〈鷹丸〉が急行、なんと軽巡の艦尾にさらに曳航索を張り二隻同時にマルタへ曳航した。本級の怪力ぶりがよくわかる。

※3
 本級の構造にはまだ余裕があったため、後で各船がマウストラップ等の増設を行っている。

※4
 この機体は一部が破損していたが補修用の布が手に入らなかったので、仕方無く破れた布張りを無理やり薄い鉄板で塞いだ。搭乗員は「水着が無いのでペンキで体に描いたみたいだ」と嘆いたという。

※5
 〈鷹丸〉級はなぜか歴代艦長が全て筋骨隆々たる女性である。〈ホッフェルト〉や〈サンタ・マリア〉も例外ではない。

 
 

要目

  • 満載排水量 5300t
  • 全長 95.1m
  • 全幅 22m
  • 機関 蒸気タービン 2基2軸 80000馬力
  • 速力 25.3kt
  • 航続力 11ktで1200浬
  • 兵装
    • 25mm機銃 単装6基 連装2基

同級艦

  • 〈高原丸〉(独艦〈ホッフェルト〉)
  • 〈鷹丸〉
  • 〈大島丸〉
  • 〈早坂丸〉
  • 〈まりあ丸〉(ブラジル艦〈サンタ・マリア〉)