〈早坂《サヴォア》日和〉
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〈早坂《サヴォア》日和〉
ねこねこソフト「みずいろ」早坂日和
スーパー・セミ・ドレットノート。またはへっぽこ戦艦
トルコから独立後勢力を拡大してたギリシアはWW1より少し前、宿敵トルコの戦艦発注に対してそれに対する戦艦を発注した。艦名は〈サラミス〉と〈ヴァシレフス・コンスタンチノス〉でそれぞれドイツとフランスに発注。後者の名は東ローマ帝国に最盛期をもたらしたバシレイオス2世(英読み)から取っている。
〈サラミス〉の方は〈バイエルン〉級、〈ヴァシレフス・コンスタンチノス〉は〈ブルターニュ〉級の準同型艦でそれぞれ1913年に起工。しかし次の年からの第一次世界大戦の影響で発注はキャンセル。それぞれドイツとフランスが引き継いで建造されたがドイツ側(〈テルピッツ〉という艦名説あり)は建造中止。
〈早坂《サヴォア》日和〉と改名されたフランス側艦のみが細々と建造され、終戦後にようやく進水、儀装が始められたが肝心の主砲(34センチ連装5基)が〈斎藤《ノルマンディー》倫子〉級や〈リヨン〉級に優先的に回されたため製造が間に合わず、やむなく5基中2基が34センチ、残り3基は30センチで竣工。副砲も14センチ砲と12センチ砲の混載。他に7.6センチ高角砲(性能は期待できない)まで搭載するという異様に砲種が多い艦となったが、それぞれの距離をカバーできれば最強という売り文句であった。
今までの低いシルエットを持つ仏戦艦とは違い、WW1の戦訓に基づいてマストを三脚式にして高くしたが、元々そんなに全長が長くないために妙に頼りないというか、見てられない艦影を呈している。
1920年に就役したが、射撃データが異なる2種類の主砲と副砲を使いこなせないのはかつての準弩級戦艦同様であり、まだ根が真面目な日本人は「超準弩級戦艦」と救いのある言い方をしたが、毒舌好きな英国人からは「へっぽこ戦艦」と酷い仇名をつけられている。
あたふた練習戦艦
1921年に締結された隆山条約(仏にとってみれば「露骨な騙し打ち」)によってフランス主力艦は英国の35%(*注1)に制限されたが不幸中の幸いとして〈クールベ〉級や〈ブルターニュ〉級の犠牲の元に〈斎藤《ノルマンディー》倫子〉級と〈リヨン〉級合わせて8隻の保有が認められた(*注2)
そしてもう一つ、〈早坂《サヴォア》日和〉も練習戦艦としての保有が認められた(*注3)他国からみれば「へっぽこ」としか言いようが無い混載艦でも練習艦としては色々な砲が習得できて便利ということ。それに「新型艦がなくなったら旧式艦が最後の戦いをする」というフランス流の考え方もあり〈リヨン〉級4隻に付属して地中海に配備、戦艦が4隻(+練習艦1隻)しかないイタリアへの圧力とした。
ただ射撃指揮装置が1基しかないため、主砲を撃とうとすると観測はあたふたと大騒動。
さらに34年に改装されて中央部の3番砲塔を撤去してそこにカタパルトと格納庫を設けて水偵を搭載したが同時に増設した高角砲との兼ね合いで格納庫の上にカタパルトが載るという妙な構造(左右にずらして搭載機を出し入れする)のおかけで水偵出すたびにまたも艦内はおろおろする有様。
それでも絶対不落のマジノ線がある限り戦争は無いという思想(*注4)により〈早坂《サヴォア》日和〉がおろおろあたふたしてもそれほど影響はなかった。要はフランスは寝ていたのだ。そのツケはこれから支払わされることとなる。
#注1:英75万トン×0.35=26万トン
#注2:これにより〈斎藤《ノルマンディー》倫子〉級の5番艦〈菜乃花《ベアルン》恵理〉は空母として竣工し、フランス母艦航空隊の礎となった。
#注3:日本は6隻、英米は4隻を練習艦として持てるのなら仏伊もということ。
#注4:人はそれを「平和ボケ」と言う。
要目(新造時)
- 基準排水量 22189トン
- 常備排水量 23230トン
- 全長 166.0メートル
- 全幅 27.0メートル
- 喫水 9.0メートル
- 主機 パーソンス・タービン2基+3段膨張式レシプロ2基/4軸
- 主缶 ギヨ・ド・タンブル缶18基
- 出力 29000馬力
- 速力 21ノット
- 航続力 10ノットで4600海里
- 兵装
- 45口径34センチ連装砲2基
- 45口径30センチ連装砲3基
- 55口径13.9センチ単装砲12基
- 50口径12センチ単装砲10基
- 50口径7.6センチ単装高角砲12基
- 45センチ水中固定魚雷発射管4基、機雷30個
- 装甲
- 舷側250ミリ
- 砲塔320ミリ
- 甲板120ミリ(30+30+20+40)
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