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〈水越《Me111LV》萌〉

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メッサーシュミット〈水越《Me111LV》萌〉 Messerschmitt Me111LV Jagdflugzeug

Circus「アルキメデスの忘れもの」「D.C.〜ダ・カーポ〜」水越 萌


 ドイツ空軍の全天候迎撃戦闘機。戦術戦闘攻撃機〈水越《Me111AH》眞子〉の年子の姉であり、名門企業メッサーシュミット製の生粋の「お嬢様」である。
 また、ルフトヴァッフェの鍋奉行とも異名をとる。本土防空の迎撃戦闘(魔女の大鍋)では、彼女の長距離迎撃戦闘から開始されるのがドイツ空軍のセオリーとなっているからである。

 ヨーロッパの空に関する許認可権限を握るドイツ空軍省が、1965年にメッサーシュミット社へ提示した仕様は下記の通りだった。敵軍の大量攻撃に対抗し、多数のミサイルを携行して急速な複数目標の処理が可能。低空・高速、中高度・超音速の侵入に対抗するスナップ・アップ、スナップ・ダウン攻撃能力。高度のECMに対する妨害排除、地上からの最小限の支援で行動可能なこと。広い範囲の任務を遂行するため、良好な航続力と滞空能力を持つこと。損害を受けた飛行場でも運用できるように、短距離離着陸能力を持つこと。統合防空管制システム〈ワルプルギス〉との完全なリンク機能を持つこと、である。
 これらの要求を満たすため、メッサーシュミットではタンデム複座、双発エンジンに加え、主翼に可変翼機構を採用した。可変翼はMe298がP.1101と呼ばれていた時代から慣れている。社主を始めとした主力技術陣の興味はすでに前進翼へと移っていたので、開発にはサブ・メンバーが当たることになった。そのためか、一年後輩のMe280〈白河《アドラー》ことり〉がいかにもメッサーシュミットらしいシャープな姿を見せているだけに、少々無骨な印象を周囲に与えることになった。とはいえ、双発、可変翼、一枚の大きな垂直尾翼と、気品ある姿はドイツ機のものといえる。
 そしてさらに、同じ頃に計画されていた近接航空支援を担当する攻撃機もまた、〈水越《Me111LV》萌〉をベースとすることが決定された。サブヒロイン(攻撃機)からメイン・ヒロイン(戦闘機)への昇格については予算の問題と説明されたのだが、最大のライバルであるフォッケウルフ社を蹴り落とそうとしたメッサーシュミット社の工作の結果なのは明らかであった。

 〈水越《Me111LV》萌〉の最大の特徴は、機首に装備したFuG262/4〈ザルツブルクD/フクスイェーガー〉迎撃レーダーと、データ・リンケージ用の〈ヴァイス・バンド〉アンテナである。
 FuG262/4の最大探知距離は200km以上とされ、あらゆる高度域においてルックアップ・ルックダウン能力があり、さらに目標を追跡しながらの捜索機能を有して複数目標の同時処理が可能になっている。追跡目標に関するデータはリアルタイムで火器管制システムへ送られ、長射程ミサイルAA54〈シロフォン〉で四つの目標への同時攻撃をかけられる(注1)。90年には中間段階改善(MLI)の名称で能力向上改修が進められて6目標への同時攻撃が可能となり、第4次世界大戦で威力を振るった。
 垂直尾翼頂部には白いリボンを付けたように大きい電子ポッド〈ヴァイス・バンド〉が付けられている。これにより〈水越《Me111LV》萌〉は、〈ワルプルギス〉と深くリンクし自動操縦システムと組み合わせて、追跡コースあるいは見越し衝突コースでの自動攻撃が可能なのである。つまり〈水越《Me111LV》萌〉は操縦士と兵装士官が眠っていても、会敵、攻撃、帰還といった一連の作業をこなし得る。まるで一日中眠りながら学校へ行き、帰ってくるようなものであり、〈朝倉《Ar707E3》純一〉では大いにあきれ果てていた。

 〈水越《Me111LV》萌〉の固定武装は、胴体右舷に装備するマウザーBK27機関砲が1門。機外搭載兵装は迎撃機であるために空対空ミサイルのみで、自機防御用に赤外線誘導のAA9〈ツヴェルク〉を主翼下のスウィベリング・パイロンに各1発、2連装ランチャーを使って計4発の搭載が可能。長射程AAMはAA54〈シロフォン〉を胴体下に4発を搭載し、前後方向に段差を付けて配置している。MLI以後は〈ツヴェルク〉を外側のパイロンに吊り、内側パイロンに〈シロフォン〉を懸架して最大6発の携行を可能としている。
 AA54〈シロフォン〉は最大射程200kmの空対空ミサイルで、中間段階は慣性自動操縦装置、最終段階ではミサイル本体のレーダーで誘導されるセミ・アクティブ・レーダー・ホーミング方式を採用している。終末速度はマッハ5に達する高速ミサイルで、日本軍の爆撃機とミサイルを迎撃するために開発されたものである。その命中率は「木琴占い」のようだと言われている。その言うところは、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」。しかしながら「今日、50年後、100年後」の距離毎の命中率評価では、「今日」(50km圏内)の命中率は極めて高いものとなっている。
 さらに現在では使用しなくなっているが、反応弾頭型空対空ミサイルAR2〈カリメロ〉を腹部に一発搭載可能である(注2)。AR2は誘導精度が低い時代に、確実に敵爆撃機編隊を撃破するためには弾頭威力を増すよりない、ということから開発されたものだった。卵型の弾頭部にロケット推進部を付けた格好をしている。
 そのAR2だが、〈水越《Me111LV》萌〉が「手を滑らせて」」味方前線基地へ落としてしまったことがある。幸いなことに信管は作動せずに地面にめり込んだだけだったが、当然な事に「卵」を落とされた基地の司令は烈火の如く怒り狂った。
 落としてしまった「卵」を探してうろうろしている〈水越《Me111LV》萌〉を、〈朝倉《Ar707E3》純一〉は「親切な前線基地の方達が片づけてくれますから」と説得して基地へ連れ戻す顛末があったりするのである。
 「落とす」といえば、〈水越《Me111LV》萌〉は自律誘導型巡航ミサイルの試作品(「生きた食材」と呼称)を落としてしまったことがある。曰く「蓋を開けた途端に逃げ出した」とのことで、誘導データを入力する前に誤作動でラッチから外れて飛んでいってしまったらしい。〈水越《Me111AH》眞子〉〈朝倉《Ar707E3》純一〉も合力して捜索したのだが、この「生きた食材」は今に至るも発見されていない。

 エンジンは、初期型はユンカース社ユモ079シリーズのC型を装備していたが、22号機からD型に変更されている。このユモ079Dでは、迎撃機という目的に合わせるために二次燃焼(リヒート)時の推力が079Cよりも10%増加されている。
 さらに機体に内蔵されたST液〈シュラフ・タブレット〉と呼ばれる推力増強剤を投与することで一基あたり9トンに近い推力を発揮することも可能である。けれどもブースター剤の投与は、加速時の操縦士達の昏倒に加え、タービン温度の異常上昇などエンジンへの過剰負担を引き起こして危険きわまりなかった。そういう危険性を知りながらもルフトヴァッフェがブースター剤にこだわったのは、かつてのZELL(ゼロ距離離陸)計画の失敗を引きずっていたからである。
 ZELL計画とは、迎撃時に離陸に要する時間を短縮するために考案されたもので、機体を専用のランチャーに載せ、機体下面には離陸促進用ロケットが装備されていた。迎撃機をミサイル同様に打ち上げるという、ドイツらしい発想の代物であった。1965年から翌年にかけて実験がおこなわれたが、その結果はひどいものだった。ロケットの暴発が、幼い少年が女の子をかばって自動車に轢かれてしまったような事故を引き起こしたのだ。
 そういう事情の故に〈水越《Me111LV》萌〉は危険なブースター剤を常用していたのだが、それでも迎撃演習で迎撃ポイントに時間通りにたどり着けないことがしばしばあった。時には同時に発進した妹の〈水越《Me111AH》眞子〉に置いてけぼりを食うことがあり、〈朝倉《Ar707E3》純一〉の教えた最短経路を辿ってようやく間に合う有様だったのである。

 その悪癖がいかんなく発揮されたのが、1995年のクリスマスの「ヴァイナハテン・パーティ」作戦だった。しつこくやってくるロシア軍攻撃機を〈水越《Me111LV》萌〉の長射程AAMで先制撃滅する筈が、〈水越《Me111LV》萌〉が完全に遅刻してしまったのだ。
「ニャム1より中隊各機。シークエンツ・ドーラ6。メートヒェン喫茶に入店。ステージが高いぞ。注意しろ」
「VS(フォーアズィツェンダー)よりニャム。パーティ。イワンだ。クリーア20。方位ベルタ42。高度ハンニ20。マーサ21と確認。こいつは囮だぞ」
「こちらニャム。VS、ニャム1はモンブランを注文する」
「こちらVS。モンブランは品切れ。繰り返す、モンブランは品切れ。買い出し班が急行中」
「ジーガー。クーヘンでなんとかする。ニャムはマーサ21を叩く。ニャム1より各機、ダイブして接近する。ハンニ60」
「こちらVS。ジーガー。健闘を祈る。…まったく、マレットは買い出しにいつまでかかっているんだ!」
 前線では主攻撃隊のFw401〈朝倉《ファルケ》音夢〉が高度6000からパワー・ダイブしてMig21を相手に奮戦している最中に〈水越《Me111LV》萌〉がどこにいたかというと、少し後方の「掃除用具室」空域で旋回(居眠り)していたのだった。
 それを発見したのは早期警戒機の〈朝倉《Ar707E3》純一〉と特殊戦術偵察機〈杉並《Me111MR/D》〉のコンビである。先に発見したのは〈杉並《Me111MR/D》〉の方であった。
「こちらベルタ3。PAN・つー・○・みえ!」
 ご丁寧にも実演してみせる〈杉並《Me111MR/D》〉に、〈朝倉《Ar707E3》純一〉はとりあえずhahahaとアメリカンに笑ってやった。
「こちらザウバー6。もしかしてモンブランの買い出し班?」
「はい〜、そうですが〜」
「もう開店しているのだけど?」
「ええっ!」
 驚いてすっ飛んでいく、マレット隊の〈水越《Me111LV》萌〉だった。そして閉店間際に駆け込み、先の20機を囮にして突入してきたロシア軍超音速爆撃機を、モンブランこと〈シロフォン〉ミサイルで撃墜することに成功したのである。
 そして閉店して引き上げる際に〈朝倉《Ar707E3》純一〉へ、「ありがとうございます。“ご主人様”」と挨拶していったのだった。

 おっとりぽけぽけな性格、押しても引いても手応えがなく不安視された〈水越《Me111LV》萌〉だが、第4次世界大戦はノリノリで戦って「大活躍」を演じた(注3)。
 その甲斐あって、ルフトヴァッフェとは長いお付き合いになることが決まっているのである。

注1:英国の艦上戦闘機KEY〈AIR供咾、本機と良く似た性格を有している。〈AIR供咾發泙秦佝エンジンで可変翼機構を持ち、艦隊防空のために複数目標への長射程AAMによる同時攻撃を可能としている。第4次世界大戦では艦隊防空のみならず、本土防空(第2次バトル・オブ・ブリテン)に奮戦した。
注2:正式な名称にはアース神族の武具の名前が付けられていたのだが、その格好からイタリアの国民的人気キャラクターの「カリメロ」と呼ばれて定着してしまっている。
注3:日本統合航空軍の女医こと〈聖山改〉部隊にとって〈水越《Me111LV》萌〉は厄介な相手で、「病院長の娘を相手にしているようだ」とぼやいている。

要目

  • 全   長 18.68m
  • 全   幅 13.91m(後退角25度)、8.60m(後退角67度)
  • 全   高 6.00m
  • 重   量 14,500kg
  • 全備重量 27,990kg
  • エンジン  ユンカース ユモ079D(ドライ4,130kg リヒート7,495kg)×2
  • 最大速度 M2.2
  • 戦闘行動半径 1,850km
  • フェリー航続距離 3,700km
  • 武    装
    • マウザーBK27 27ミリ機関砲×1
    • ハードポイント×9
  • 兵装搭載量 8,500kg
  • 乗    員 2名