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〈深海《イーグル》未緒〉

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ノースアメリカン・ロックウェルF-15〈深海《イーグル》未緒〉/F-15E〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉

(元ネタ:Ripe/とらぶる・とらいあんぐる 深海未緒/理緒)

概要

 合衆国空軍の戦後第三世代の主力戦闘機。比較的軽量の機体に大出力エンジンを双発で装備し、豊富なパワーによってきわめて高い空戦性能を有する。また、エンジンをさらに大出力のものに換装したE型では、空戦性能を落とさずに対地攻撃能力を付与すると言う、驚くべき改造が施されている。
 各国の主力機がステルス、CCVと言った技術を導入した第四世代機に移行し始めた1990年代後半においても、その戦闘能力には優れたものがあり、第四次世界大戦では主力機として獅子奮迅の働きを見せた。

開発の経緯

 70年代初頭、合衆国空軍は双発の重戦闘機を計画していた。XF-15プログラムと呼ばれるこの計画は向こう20年にわたって合衆国空軍の主力機を担うべき存在となるはずであり、多くの企業が案を提出した。このうち、最終的に残ったのはノースアメリカン・ロックウェルとマクダネル・ダグラスの2社だった。
 マクダネル・ダグラス社の提出した案は、まさに双発重戦闘機の王道的な機体であり、見るからに力強く、北米の空を支配するにふさわしい威厳さえ備えていた。しかし、空軍ではこの機体が制空戦闘を重視した単能機であることを問題視した。彼らが求めていたのは、いざとなれば戦闘攻撃機としても使える機体だったのである。
 一方、ノースアメリカン・ロックウェル社が提出した案は、F-107〈ペンシラー《アドヴァンスド・セイバー》カナ〉を双発化し、機体のラインを曲線中心に構成したようなデザインで、主翼と機体の接合部を連続的な面でつなぐブレンテッド・ウィングボディを採用。見る者を一瞬唸らせずにはいられない見事なプロポーションを持っていた。実は、この機体はもともとF-105〈武田《サンダーチーフ》すもも〉の後継を狙った戦闘爆撃機として計画されたものだったので、戦闘攻撃機としての能力も高いものだった。
 こうして、戦闘機としての性能はマクダネル・ダグラス案のほうが優れている面が多かったが、コストパフォーマンスに優れたノースアメリカン・ロックウェル案が採用されることになった。正式に開発が開始されたXF-15だったが、しばらくして、空軍は大幅な設計変更を指示してきた。なんと、彼らがマクダネル・ダグラス社案で問題視した筈の制空戦闘能力に特化した機体にせよとの命令が下ったのである。
 これは、当時の先進諸国が開発していた次期主力機の多くが、制空戦闘を重視した機体であったことが原因だった。これらの機体とXF-15が戦った場合、XF-15に勝ち目は薄いことになってしまう。これではいけない、「何かが違う」と感じた合衆国空軍は、万能戦闘攻撃機への淡い思いをすっぱりと捨て、制空戦闘を一途に追い求める戦闘機を欲したのである。
 ノースアメリカン・ロックウェル社はXF-15を大幅に設計しなおし、制空戦闘機へと変化させた。外見こそあまり違いはなかったが、軽量化によって上昇力、機動性などは大幅に向上し、なんとか諸外国の期待に負けない空戦性能を持たせたのである。ただし、これによって開発は遅延し、戦闘攻撃機の役割を担うことになったF-16〈御陵《ファイティング・ファルコン》明里〉が先に完成するという番号順から言えば皮肉な結果を招いた。
 おさまらないのは敗れたマクダネル・ダグラス社で、「だったら最初からうちの機体を採用すればよかったのだ!」と大憤慨した。これが結果的に同社をより先進的な機体であり、第四次大戦序盤に欧州連合軍に対して圧倒的な優勢を誇ったF-22〈彩坂《ラプター》愛美〉の開発に走らせることになったのだから、世の中はわからない。

評価

 1973年に初飛行したXF-15は、空軍の腰が定まらず、あっちこっちにふらふら放浪する不安定な開発経緯をたどりながらも、ようやく正式採用を受け、〈深海《イーグル》未緒〉として合衆国空軍の主力制空戦闘機となった。同世代の各国の主力機である三十七式戦闘機〈鳴風《晨風》みなも〉(日)、Me280〈白河《アドラー》ことり〉(独)などと比較すると、空戦機動性では若干劣るものの、電子装備では凌駕する性能があり、総合的に見て互角に戦いうるものであった。
 その最大の特徴をなすのが、「眼鏡」と呼ばれる新型の火器管制システムである。長距離捜索用と火器管制用の二つのレーダーと新型のコンピュータからなるこのシステムは、脅威となる「新鮮な」敵をすばやく見定め、ミサイルを正確に誘導する機能を有していた。この装置により、〈深海《イーグル》未緒〉の交戦可能距離は同世代機の中でも非常に長いものとなっており、近距離戦闘での不利を埋めるものとなっている。
 操縦特性に関して言えば、「柔らかい中にも適度な弾力があり、まさに絶品。何時間操縦桿を握っていても飽きさせない」と絶賛され、多くのパイロットを虜にした。
 こうして、〈深海《イーグル》未緒〉〈御陵《ファイティング・ファルコン》明里〉と並び、かつその役割を分担するダブル・ヒロインとしての地位を確固たる物とした。

発展

 ところが、〈深海《イーグル》未緒〉の配備が進むに連れ、意外な事実が判明してきた。制空戦闘を指向する方向で設計された〈深海《イーグル》未緒〉であったが、元来戦闘爆撃機であり、また設計陣もその他の任務であっても「求められれば応じたい」と言う設計上の余裕を持たせていた。
 このため、〈深海《イーグル》未緒〉は地上爆撃を担当させてもかなりの腕前を発揮し、〈御陵《ファイティング・ファルコン》明里〉が苦手とする大重量爆弾などを搭載しての任務などでは、むしろ〈深海《イーグル》未緒〉の方が適している、という結果が出たのである。
 特に、陣地に篭った敵を、良く出来た豚の角煮のように変えてしまう燃料気化爆弾の運用が可能である事が判明すると、合衆国空軍はノースアメリカン・ロックウェルに対して、再度戦闘爆撃機型の試作を要求する事になった。
 この要求に対し、ノースアメリカン・ロックウェル社では原設計とも言うべき、〈深海《イーグル》未緒〉のフレームを強化して搭載量を増やした機体を既に用意していた。戦闘爆撃機時代の試作機である。この機体をリファインして〈深海《イーグル》未緒〉が生まれた事を考えれば、言わば双子の姉のようなものであると言える。
 ノースアメリカン・ロックウェル社はさらにこの試作機を改良し、垂直尾翼下部に「ポニーテール」と呼ばれるセンサーブームを取り付け、さらに夜間侵攻用のLANTIRNポッド専用ハードポイントを取り付けた。性能は満足すべきもので、搭載量は10トンに達し、爆撃後は〈深海《イーグル》未緒〉並みの空戦性能を発揮する、という恐るべき機体である。
 欠点としては、機体が重くなったために航続距離が大幅に低下した事だが、ノースアメリカン・ロックウェル社は主翼付け根の機体上面に、コンフォーマル・タンクを付けて搭載燃料を増やすことで解決した。おかげで、外見的には随分肩肘張った印象になってしまったが、制空戦闘機である〈深海《イーグル》未緒〉を原点に連れ戻そうとする機体だけに仕方のないことかもしれない。
 これらの改修を経て、ノースアメリカン・ロックウェル社は同機を空軍に提出した。外見は複座である事、「ポニーテール」の存在を除けば〈深海《イーグル》未緒〉に瓜二つで、まさに双子と言う感じであったが、実は内部構造は6割近く異なっている。双子でもその性格は全く異なる機体なのだ。空軍ではこの機体を〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉と仮称した。

確執

 しかし、ノースアメリカン・ロックウェル社の一部設計陣や空軍の中には、こうした上層部の無定見な態度に対して怒りを覚えている者が多かった。最初は戦闘爆撃機を求めておきながら、急遽制空戦闘機に乗り換え、また今戦闘爆撃機に気持ちが揺らぐ。そんないい加減なことが許されて良いのか、と。〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉の推進派は〈深海《イーグル》未緒〉の回収まで含む異様に強硬な主張を振りかざして空軍内部を混乱に陥れた。空軍上層部では彼らの主張の真意がわからず、幾度もテーブルをセットして対談を行った。
 一方、〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉推進派でも、こうした対談のうちに自分たちが本当に求めていることは何か、と言うことがわからなくなってきた。最初は戦闘機政策のいい加減さに腹を立てていたのだと思っていたが、しばらくしてそうではないことに気が付いた。自分たちは、ただ単に〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉で合衆国に奉仕したかったのに、その機会を与えられなかったことが悲しかったのだ、と。
 空軍上層部もそのことに気付き、やがて両派は和解した。そして、空軍は〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉の正式採用を決定。F-15Eの型番を与え、実戦部隊の編成を開始した。こうして、双子の姉妹は共に合衆国の防空のために奉仕することになったのである。

その後

 残念な事に、〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉の生産数はそれほど多くはない。価格面(一機あたりのコストは〈深海《イーグル》未緒〉の1.5倍)がネックとなり、調達計画にブレーキがかかってしまったからである。
 このため、〈深海《イーグル》未緒〉の総生産機数が1000機に達するのに対し、〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉は約150機に留まっており、輸出市場でも〈深海《イーグル》未緒〉は満州国空軍とイスラエル空軍に約100機づつ、韓国空軍に約40機採用されているが、〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉は国内専用になっている。
 また、スリーサーフェス化して機動性を向上させた〈鳴風《晨風》みなも〉〈白河《アドラー》ことり〉、フランスのアエロスパシアル〈星崎《シュペルミラージュ》希望〉などと比べて機体性能を向上させるバージョンアップがそれほど行われていない。空軍が後継機であるF-22〈彩坂《ラプター》愛美〉の導入を急いだためだが、この事は、後に四次大戦での苦戦を招く結果となった。
 第四次世界大戦では、姉妹は常に一緒になって作戦を行っている。欧州連合軍の西方進出を辛うじて食い止めたミズーリの戦線では〈深海《イーグル》未緒〉が航空撃滅戦を担当している間に〈深海《ストライク・イーグル》理緒〉が突入、地上部隊を撃破する息の合ったコンビネーションプレイを見せた。この攻撃に支援された合衆国陸軍の指揮官は
「いつまで続くかはわからないけど、いつまでもあの二機と共に戦っていけたらな、と思う」 と、苦しい戦いの最中にも、愛すべき姉妹の戦闘機を賛える言葉を残している。
 第四次大戦後、一時期は不穏だった東西アメリカの関係も、強硬派のブッシュ大統領退陣と共に雪どけが進み、軍事費は削減。後継であるF-22の配備ペースが緩やかになったことから、F-15の姉妹もしばらくの間一線に留まることになるだろう。彼女たちは今日も北米の空を守りつづける。

要目

(C型)

  • 全長:19.8m
  • 全幅:13.5m
  • 全高:5.6m
  • 自重:10.965kg
  • 全備重量:20.778kg
  • エンジン:GE−F110−GE−120(10.637kg)×2
  • 最大速度:マッハ2.4
  • 武装
    • M-61 20ミリバルカン砲
    • 最大搭載量:10.770kg

(E型)

  • 全長:19.8m
  • 全幅:13.5m
  • 全高:5.6m
  • 自重:13.117kg
  • 全備重量:35.674kg
  • エンジン:GE−F110−GE−129(13.145kg)×2
  • 最大速度:マッハ2.4
  • 武装
    • M-61 20ミリバルカン砲
    • 最大搭載量:15.800kg