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〈森《フュリース》青葉〉

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ユーロコプターAS539〈森《フュリース》青葉〉(Eurocopter AS539 Utillity Helicopter,France)

(元ネタ それは舞い散る桜のように(BasiL)より 森 青葉)

■空と海のヘルパー

 欧州連合の代表的な多用途3発タービンヘリコプター。フランスのアエロスパシアル社が中心となって80年代から開発され、対潜から輸送、救難といった多彩な任務をかいがいしく務める空の「妹」である。

 〈森《フュリース》青葉〉はもともとフランス海軍の艦載ヘリ、アエロスパシアルAS330〈クーガー〉の後継機として開発がスタート。途中で同じように時期対潜ヘリを模索していたドイツ側も加わり、両国間による協定によって新しい対潜ヘリを開発する合意がなされた。
 長い航続距離と単独行動能力、投下式のソノブイやそれからのデータを処理するコンピューターを搭載でき、かつ長時間飛ぶことができる機体。これが独仏合同会社のユーロコプター社に課せられた要求だった。
 これに対してユーロコプター社ではユーロコプター・フランス(元アエロスパシアル)とユーロコプター・ドイツ(元フォッケアハゲリス)の両者が担当を分担し、最終組み立ては両者双方で行う体制を敷いて開発に望む。ライバルのアグスタシコルスキー社とヘリ市場を二分する立場にあるユーロコプター社は欧州の空の許認可権限を握るとまでいわれるドイツ「空軍」に対するドイツ陸海軍とフランスの対抗意識の産物であり、ヘリ市場における主導権を握るべき存在でもあった。このため最初からドイツ、フランス双方で輸送型や旅客型をそれぞれ開発することも合意書に書き込まれていた。
 81年には設計仕様が固まった。特徴は対潜(ASW)機としてのプラットホーム能力。今まで使われてきた対潜ヘリたちに比べて大きく重いが運動性は敏捷。あたかもワンルームマンションのような狭苦しい3000トン級のフリゲート艦の飛行甲板からでも離着艦できるように配慮され、また搭載量も大きく汎用性も高くなるように設計されている。
 主ローターは複合材料製の五枚羽根。先端を丸めて後退翼をつけた独特の形状で揚力と速度を確保、ローター軸には潤滑油無しでも大丈夫な特殊なベアリングを採用。後に伸びるブームの先に着いたテイルローターはフェネストロンと呼ばれる10枚羽根のリフトファン形式。この形状は羽根をリングで覆う形をとるために耐久性と安全性(※1)を確保できるのが特徴。
 エンジンとなるチュルボメカ社製のターボシャフトエンジンは珍しい三発配置。もし一発が故障しても出力は三分の二に減少するだけだから安定性能は高く出力にも余裕ができる。ただし当然のことだがエンジンルームは大きくなるのはいた仕方なく、特異なローター先端部分を含めて正面から見るとエンジン格納部分が「脳(キャビン)からリボンが生えている」と揶揄される形状と大きさになってしまった。
 基本の対潜作戦用には機首にASWシステムと全周捜索レーダー、武器は1トンクラスの大型対潜魚雷を四発(または小型対潜魚雷を6発)。これに潜水艦の位置を教えるソノブイを大体40発積み込める。
 対潜魚雷に関してはGETTOでは大型(直径533)と小型(直径324)があるが、〈森《フュリース》青葉〉はどちらでも搭載できるように最初から考慮され、さらにはコルモランやエグゾセクラスの対艦ミサイルも積める汎用性を備えている。
 これらの盛りだくさんの要素を詰め込み、86年に初飛行した〈森《フュリース》青葉〉はダッシュ時に310km、巡航では280kmを発揮、海上試験でも丸一日潜水艦を「待っていてもへこたれないほどの高い作戦行動性能を実現し、同様にアグスタシコルスキー社が開発していた艦載ヘリAH60〈シーホーク〉を逆転してGETTO主力艦載ヘリの地位を確保することに成功した。

■鍋奉行

 順次量産が進んだ〈森《フュリース》青葉〉は胴体上方に固定翼を装備して飛行性能を向上したユーロコプター・ドイツ独自の発展形AS540を含めてGETTO海軍艦艇と地上からの対潜哨戒、あるいはコンバットレスキュー用として地上基地にも配備された。
 操縦性能は実に素直で純粋、しかも汎用性の高さは折り紙つき。派手な空戦や攻撃とは違う海軍の「家事全般」ともいえる輸送から哨戒、対潜、あるいはレーダーポッドを装備しての早期警戒といったこまごました任務をそつなくこなしていく。
 さすがに空戦のような激しい運動はどう考えても無理で〈桜井《グローバルイサーチ》舞人〉との哨戒任務ではローターだけはぶんぶん振り回しながら追いかける光景となった訳だが、そもそもヘリに高速性能を期待することが間違っているともいえ、ひたすら識別信号を「ぴあ」と鳴らしつつえっちらおっちら飛ぶのが精一杯だった。
 その〈森《フュリース》青葉〉の能力の一つである強大な対潜能力が発揮されたのは第四次世界大戦での大西洋。緒戦の奇襲攻撃で大打撃を受けたPACTO陣営は大西洋、地中海に配備されていた潜水艦達に巡航ミサイルにでのベルリン、パリ攻撃を命じた。いくら攻勢をかけようが本国首都にミサイルを叩き込まれればGETTO陣営は慌てるだろう。
 もちろんGETTO陣営もそんなことは最初から分かっていた。四一式巡航噴進弾(注2)による攻撃を避けるために対戦部隊が組織され、海上哨戒を担当する〈水越《Me111 AH》眞子〉と万一のための巡航ミサイル迎撃用の〈水越《Me111LV》萌〉、それに〈森《フュリース》青葉〉が独仏のフリゲートから飛び立って潜水艦狩りに向かう。
 「よし、一緒に欧州の平和を守ろうじゃないか!」
 前兆も無しにどっからともなく飛んできた〈杉並《Me111MR/D》〉からの通信だ。
 対して〈森《フュリース》青葉〉からは即答一語。
 「がってんだよ、まかせて!」
 ここからは〈森《フュリース》青葉〉の独壇場、いつもののんびりとした雰囲気とは全く違う。
 「お姉ちゃん、ボケッとしないでしっかり見張って!」
 「そこのお姉ちゃん!早くソノブイ入れて!」
 ヘリ部隊から『お姉ちゃん』とコールサインを貰っていた〈水越《Me111LV》萌〉〈水越《Me111AH》眞子〉を文字通り手足のようにこき使う。
 防空戦という大鍋とはまた違う対潜戦闘という「鍋」の凄さに〈水越《Me111AH》眞子〉は振り回され、〈水越《Me111LV》萌〉は慌てふためく。こんな状況ではマッハで飛べる高速性能が逆にあだとなって時速300km程度のヘリに使われてしまうのは仕方ない。
 そもそも速くなったとはいえ潜水艦の速力はせいぜい30ノット。ジェット機で捕まえるには速度差がありすぎて手に余る。こういうときはヘリの出番。時速300km程度とはいえ潜水艦よりは余程速く、しかも小回りが聞いてホバリングまでできる。
 「今から60秒以内が一番美味しいの!早く!」
 とどめとばかりに〈森《フュリース》青葉〉から両機に通信が飛ぶ。低空侵攻能力を買われるとはいえ対潜攻撃は〈水越《Me111AH》眞子〉の本当の領域ではない。それでも必死になって対潜ロケット弾を放ち、PACTO側潜水艦に打撃を与えることで姉妹機はようやく海の「鍋奉行」から解放されたのだった。
「やったな、欧州の平和を守れて俺は嬉しいぞ!」
「てやんでえだよ、こんちくしょう」
修羅場と化していた対潜攻撃の後、一体いままで何をしていたのか、〈杉並《Me111MR/D》〉が舞い戻ってきた。
 「何してたんだぁ!覚えとけ〜!」
 怒りに任せた〈水越《Me111AH》眞子〉が〈杉並《Me111MR/D》〉を追撃(?)していく。かくてPACTO潜水艦部隊は北海から追い出され、大西洋の平和は護られたのである。
 地中海でも中立を守ったイタリアがAK127〈ポテト供咾慮綏僂箸〈森《フュリース》青葉〉を海軍が運用。軽空母に搭載されたS/VTOL戦闘機〈芹沢《リンチェ》かぐら〉とともに哨戒活動にあたり、地中海での戦闘を未然に防ぐ役割を果たしている。
 ドイツフランス双方で別々の名を持つ発展型が開発されている〈森《フュリース》青葉〉は対潜活動という「待つこと」を特技とした時代から、旅客や救助、輸送といった自らが踏み出す任務へ成長している。「妹」から「彼女」へと変貌するように。

♯注1:普通のローターだと羽根が剥き出しのため、整備員をローターで文字通り打ち砕いてしまう悲惨な事故が多かった。小さく見える尾部ローターといえどもそのあたりの扇風機とは訳が違う。

   ♯注2:日本の三菱の支援を受けて合衆国のジェネラル・ダイナミックスが開発したBGM-109〈トマホーク〉のこと。PACTO陣営の代表的な巡航ミサイルであり、航空機、艦船、潜水艦のいずれからでも発射できる融通性、高い誘導性能を持ち、日本や英国絵も四一式巡航弾、BGM-109〈エアホーク〉として生産、配備された。タイプとしては反応弾頭型、通常弾頭の対艦用、地上攻撃用、飛行場攻撃用などがある。

■データ

ローター直径 18.6m
全長 22.8m
全高 6.6m
自重 7130
最大重量 14430
発動機 チュルボメカRTM322(2230馬力)×3基
最大速度 320km
最大航続距離 1200km
武装 対潜魚雷4本、ソノブイ40個、または貨物6トン
乗員 2名+操作員(または兵員35名)

■各型

QH148:ケベック向け救助・輸送型。寒冷地対策を施している。
AS540:ユーロコプター・ドイツが担当した多目的輸送型、短固定翼を装備。
AS541:ユーロコプター・フランスが担当した民間輸送型、ランプドアを装備