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〈上小園《セイバー》繭〉

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ノースアメリカン F-86〈上小園《セイバー》繭〉/FJ〈上小園《フューリー》茜〉

(元ネタ フェアリーテール 「トゥインクルレビュー」より上小園繭、上小園茜)

 〈上小園《セイバー》繭〉は第三次世界大戦において合衆国が「北米決戦機」として大量生産した第一世代ジェット戦闘機の最高峰に位置する機体。北米航空戦ではドイツの誇るフォッケウルフTa183〈フッケバイン〉とそのシリーズに対して一歩も引かない戦い振りを示し、〈オーヴァーロード〉作戦をはじめとする枢軸軍の反撃作戦における制空権ダッシュの立役者となった。
 〈上小園《フューリー》茜〉〈上小園《セイバー》繭〉の原型機であり、いわば「姉」に当たる存在。合衆国海軍の主力艦上戦闘機としてバージョンアップを重ねながら終戦まで戦い抜いた。空軍で大量生産されている〈上小園《セイバー》繭〉に比べて影が薄いが、彼女もまたトップ女優に例えられるほどの優秀な機体であり、欧州連合母艦航空隊に少なからぬ被害を与えた。
 この「姉妹」は海空を代表する戦闘機として活躍し、開戦当初は〈蒼電/Air〉系列以外に頼るものを持たなかった日本空軍も一時導入を検討するなど、強いインパクトを与えた。

【開発の経緯】
 彼女達のシリーズが計画されたのは1944年。第二次南北戦争の最中である、まず最初に1946年に開発されたのが「〈橋本《エセックス》まさし〉級に搭載可能な単発ジェット艦上戦闘機」として要求されたFJ-1〈上小園《フューリー》茜〉で、マクドネル・ダグラス社のF-2H〈バンシー〉、グラマン社の〈織原《パンサー》聖〉に相当する機体であった。

 主翼の付け根にエア・インテイクを持つ他社の機体とは異なり、機首にそれを設けた〈上小園《フューリー》茜〉はよく言えば正統的、悪く言えばレシプロ機と大差ない保守的な設計であったが、最高速度は900km/hに迫り、航続距離も長かった。また、機体の発展余裕も高く取られており、海軍は既に開発済みの〈バンシー〉と並んで正式採用を決定した。これは、海軍が最も期待を寄せていた〈織原《パンサー》聖〉が第二次南北戦争の影響で開発が遅延していたことも影響している。(注1)
 一方、陸軍航空隊(後の空軍)も同機に注目し、XF-86の名で購入を検討していたが、当時ドイツからもたらされた航空技術の中でも後退翼に注目。ノースアメリカン社に対し、〈上小園《フューリー》茜〉の機体に後退翼を用いた機体の試作を発注した。これが〈上小園《セイバー》繭〉の原型となる。
 ノースアメリカン社は〈上小園《セイバー》繭〉の開発を開始すると同時に、〈上小園《フューリー》茜〉に対しても後退翼を採用した改良型、FJ-2も並行して試作を開始。1947年に姉妹は揃って試験航空隊の置かれていたサンフランシスコ沖、ミスト島においてテスト飛行を行った。

(注1) グラマン社は東海岸にあったため、第二次南北戦争における混乱をまともに受けていた。

【ミスト島にて】

 1947年のミスト島。話題の最新鋭機であるFJ-2〈上小園《フューリー》茜〉が飛ぶという事で、島中の人間が飛行場に集まった感さえあった。その中には当然島の最高指揮官であるウィリアム・ハルゼーの姿もあった。仮想敵機として引っ張り出されたダグラスA-1〈雛岸《スカイレイダー》希〉〈上小園《フューリー》茜〉が追撃するというシチュエーションの訓練の中、ハルゼーは〈上小園《フューリー》茜〉に良く似た、しかし印象の違う機体を発見する。〈上小園《セイバー》繭〉である。既に艦上戦闘機として実績を積んでいる〈上小園《フューリー》茜〉に比べて、この頃はまだ無名の存在であった。興味を持って近づいたハルゼーはそばにいいたパイロットに質問した。
「これは〈上小園《フューリー》茜〉から派生した機体なのか?」
 パイロットは無愛想に答えた
「確かにそうです。しかしこの機体は〈上小園《セイバー》繭〉〈上小園《フューリー》茜〉の妹ではありません」
 ハルゼーは鼻白んだ。この時期、陸軍パイロットの中には海軍機から派生した機体に乗ることを面白く思っておらず、〈上小園《フューリー》茜〉との関係を意識的に避ける者が多かったのだ。そのためか、〈上小園《セイバー》繭〉のパイロット野中には意識的に無茶をするものが多く、レーダーなしで夜間飛行訓練を行うなどして体調を崩す者もあった。
 とは言え、〈上小園《セイバー》繭〉は優秀な機体であった。水平速度でも100km/hを軽く突破し、機首に集中配備された12.7亠―藤玉笋禄乎得の高さもあって、大抵のターゲットを一撃で粉砕する火力を持っていた。後退翼を採用した斬新な、従来の機体を見慣れた目にはとっつきにくいデザインでありながら、空戦機動性も極めて高く、パイロットを虜にする魅力を持っていた。
 もちろん、「姉」たるFJ-2〈上小園《フューリー》茜〉も満足の行く性能を見せていた。水平速度で海軍機としては初めて1000km/hの壁を突破し、模擬空戦でも日英の主力艦戦、北崎〈蒼電/Air〉と同等かやや勝るとみられていた〈バンシー〉に対しても圧倒的な優位を示していた。
 ハルゼーもこの姉妹は気に入ったらしく、なんと無理やりジェットのライセンスを取得し、〈上小園《セイバー》繭〉を自分の手で飛ばしている。(注2)
 ミスト島のテストにおいて概ね満足すべき結果を得たノースアメリカン社であったが、その結果に安住することなく再び更なる性能向上を目指した改良を開始している、と言うのも、第二次南北戦争のために開発が遅延していたグラマン社とヴォート社が猛然と巻き返しに出ていたからである。
 グラマン社はF9F〈織原《パンサー》聖〉を進空させた後、やはり後退翼を採用した改良型であるF9F〈織原《クーガー。聖》の開発に乗り出しており、斬新な機体設計で知られるヴォートは単発並みのコンパクトな機体を持つ双発ジェット艦戦F7U〈鈴鳴《カットラス》マミコ〉の開発を最終段階に持っていきつつあった。国内外のライバルを圧倒するためにも、同社は〈上小園《フューリー》茜〉シリーズの改良をさらに継続していくことになる。

(注2) もう60近いのに無茶をする人である

【第三次世界大戦】

 1948年の第三次世界大戦勃発により、合衆国はまたしても分断国家―今回は東西に―という悲劇に巻き込まれる事となったが、―ノースアメリカンの姉妹にとっては大きな舞台の幕開けでもあった。サクラメントに移転した合衆国政府は「北米決戦機」としてボーイングB-47〈南条《ストラットジェット》紗也香〉などと並んでノースアメリカンの姉妹を指定したのである。
 開戦当初は混乱と資源不足により積極的な活動ができなかった合衆国空軍であったが、日英米枢軸結成後はまず海軍がパナマ運河奪還作戦で奮闘し、FJ-2〈上小園《フューリー》茜〉はドイツ太平洋航空集団の数的主力であったMe262〈シュワルベ〉を圧倒。母艦機が陸上機に劣るという従来の戦訓をひっくり返した。
 さらにドイツ北米総軍がロッキー東麓に接近した49年3月頃から本格的な量産を開始して戦闘に加入した〈上小園《セイバー》繭〉もシャープな外見に似合った凄まじい戦いぶりでドイツ北米総軍航空集団の戦闘機を圧倒し、劣勢の陸軍を援護した。ロッキーの地形効果と空軍の援護により、ようやく体勢を立て直した陸軍はアイゼンハウアー大将の指揮の下、ドイツ軍に対して頑強な防御戦闘を繰り広げる。
 彼女達の凄まじい威力はこれまでこの戦争を圧倒的優位に進めてきたドイツ軍の奔流のごとき進撃を食い止め、やがて逆流に転じさせる呼び水となったのである。

【北米航空戦】

 50年の半ばより開始されは北米戦線の大反撃作戦〈オーヴァーロード〉は合衆国軍が再建してきた陸空の戦力を一気に叩きつけるものだった。ロッキー防衛陣地との果てしない対峙に疲弊した欧州連合軍は各地で叩きのめされ、2年前にわずか半年で進撃してきた中西部の大平原を東海岸に向けて後退していくこととなった。
 制空権を奪取したのはやはりF-86〈上小園《セイバー》繭〉だった。欧州連合軍もメッサーシュミットMe1101、フランスのダッソーMD450〈ウーラガン〉などを持って立ち向かったが、〈上小園《セイバー》繭〉も機銃を12.7丕玉腓ら20ミリ4門に交換した最新のC型に更新されており、依然として欧州機に対して優位を保ちつづける。さらには、今なお撃墜は困難を極める〈南条《ストラトジェット》紗也香〉が撤退する欧州連合軍の頭上に、補給線に、爆弾の豪雨を叩き付けた。
 この時、欧州連合にとって救世主となったのが、日英米枢軸軍戦闘機にとって最強のライバルとなったフォッケウルフTa183〈フッケバイン〉。名設計者クルト・タンク博士畢生の名作となった機体である。そして、もう一つが東部連合と名乗る東部諸州政権下で操業を続けるヴォート社の高速迎撃機F7U-6N〈鈴鳴《カットラス》マミコ〉全天候迎撃機型、通称〈謎のお化け〉。緩降下でも超音速に達する彼女のダイブ攻撃は凄まじい威力を誇り、北米最強戦闘機の座を保ってきた〈上小園《セイバー》繭〉も苦戦を強いられた。
 これらの強敵が登場した事により、陸での進撃がミシシッピー川到達とともに停止するのと時を同じくして、空での快進撃もストップする。北米大陸を南北に貫く大河を挟み、両陣営は対峙しつづけた。空軍は連日ミシシッピー川を越えて東海岸の大規模生産施設群を猛爆したが、その息の根を止める事はできなかった。航続距離的に〈上小園《セイバー》繭〉では〈南条《ストラトジェット》紗也香〉に随伴して東部連合の主要工業地帯まで飛行する事ができず、護衛を航続距離は長いものの空戦性能では劣る〈守桜《サンダーストリーク》静夜〉に委ねるしかなかったからである。〈上小園《セイバー》繭〉は連合軍の戦略爆撃機に対する迎撃機として猛威を振るい、多数の重爆を叩き落してはいたが、もっと活躍の場が欲しいと願っていた。

【更なる進化】

 一方、海ではFJ-3へ進化した〈上小園《フューリー》茜〉が、依然として合衆国海軍の主力艦戦として戦いつづけていた。連合軍の母艦戦力を壊滅に追い込んだアゾレス諸島沖海戦でも多数の敵機を叩き落し、「アゾレスの七面鳥撃ち」と呼んで凱歌を上げている。しかし1950年に入り、日本の一〇式艦戦やドイツのHe481など、全天候作戦能力を持つ機体が投入されてくると、さすがに昼間戦闘しかできないことは問題になり始めた。艦攻がダグラスの夜間艦戦、F3D〈仁科《スカイナイト》弥生〉を改修したFA3D〈寮の《スカイウォーリア》おばちゃん〉に更新され、一足先に全天候作戦能力を持った機体になっていたこともそれに拍車をかけた。天候が悪化した場合、護衛なしで攻撃機を出さねばならないことを意味しているからだ。
 北米戦線における〈上小園《セイバー》繭〉の問題点もそこにあった。ライヴァルのTa183に全天候型が配備され始めており、さらに主要作戦地域の北米中西部は頻繁に竜巻が発生するなど気候変動の激しい土地である。ノースアメリカン社は「夜だろうが雨だろうがステージに上がれること」を目指し、姉妹の全天候型開発に乗り出した。
 これが、大戦中最後のバージョンとなったF-86D〈上小園《セイバードッグ》繭〉とFJ-4〈上小園《フューリー》茜〉で、機首のエア・インテイク上にレーダーを装備したためにこれまでのバージョンとはだいぶ趣の異なる機体となっている。
 改修箇所はレーダー装備だけではなく、エンジンの換装や操縦系統の改良、航続距離の延長なども行われ、これまで以上に扱いやすい機体となった。人によってはシャープな乗り味だったC型以前の〈上小園《セイバー》繭〉と比較して「昔は狼みたいだったがのに、今はなんか犬チックだなぁ」とぼやく者もいたが、「従順になった」「可愛らしくなった」と概ね高い評価を与えられている。
 51年秋から実戦投入が開始されたF-86D〈上小園《セイバードッグ》繭〉は連合軍戦闘機に対して2:1から3:1の優勢を保ち、一時期効果の薄れていた東海岸・五大湖工業地帯への戦略爆撃も順調に進捗した。(注3)これにより、北米戦線では完全な安全圏となった西海岸と東海岸で生産力の逆転が起こり、北米の欧州連合軍は苦境に追い込まれていくことになる。 FJ-4〈上小園《フューリー》茜〉は生産数が少なく、終戦までに完成したのは200機程度で、その半数が枢軸海軍大西洋艦隊第二機動艦隊に派遣されている2隻の主力空母―〈伊藤《エンタープライズ》乃絵美〉〈広場《バンカーヒル》まひる〉に優先配備されている。最後の艦隊決戦となった「北の暴風」――ノルウェー沖海戦では薄暮攻撃となった第6次攻撃後、完全な夜間着艦にも関わらず事故なしで全機が帰還。その性能の高さを示した。

(注3) もっとも、これには機体性能よりもパイロットの技量も大きく影響している。合衆国空軍がパイロットの実戦配備まで300時間以上の飛行時間を得る余裕があったのに対し、連合軍は平均して150時間を切っていた。

【戦後】

 終戦後も数年間主力に留まったノースアメリカンの姉妹だったが、50年代半ばに後継機であり、彼女達の名前を継ぐノースアメリカンF-100〈スーパーセイバー〉、FJ-6〈スーパーフューリー〉の登場により第一線を退くことになる。しかしながら、その性能はまだまだ高い物であり、州軍や高価な日本機を購入する余力のない中心国――インドネシアや韓国など―へ多数が譲渡あるいは輸出され、合衆国の戦後復興のささやかな助けとなった。場所によっては〈上小園《フューリー》茜〉のアレスティング・フックなどの艦上運用装備を外して〈上小園《セイバー》繭〉と共に運用している場合もある。両者が並んでエプロンに駐機している姿は、さながら仲の良い姉妹のようだった。最後の姉妹の運用国であるフィリピンで彼女たちが完全にリタイアしたのは20年以上も後の1976年。第三次世界大戦という「ゴールデンタイム」で主役の一翼でありつづけた彼女達は、それからの長い期間の間もまた「主演女優」だったのだ

【要目】

F-86D〈上小園《セイバードッグ》繭〉(最終生産型)
全長:11.91メートル
全幅:11.32メートル
  全高:4.50メートル
自重:6,138キログラム
全備重量:10,118キログラム
エンジン:GEJ47-GE-17(推力3,402キログラム)
最大速度:1,207キロメートル
海面上昇率:3,703メートル/分
実用上昇限度:14,640メートル
航続距離:2,677キロメートル
武装:20ミリ機関砲×4
   赤外線誘導ミサイル×4
最大爆弾搭載量1,300キログラム

 

FJ-4〈上小園《フューリー》茜〉(最終生産型)
全長:11.91メートル
全幅:11.32メートル
  全高:3.86メートル
自重:6,250キログラム
全備重量:12,199キログラム
エンジン:GEJ47-GE-17(推力3,402キログラム)
最大速度:1,024キロメートル
海面上昇率:1,554メートル/分
実用上昇限度:11,247メートル
航続距離:3,122キロメートル
武装:20ミリ機関砲×4
   赤外線誘導ミサイル×4
最大爆弾搭載量2,700キログラム