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〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉

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ダッソー・ブレゲーBr1095〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉 (Dussault-Breguet Br1095,Long-Range Multi-Role Bomber、France )

(元ネタ 21~TwoOne~(BasiL)より 汽京 紅葉)

■お気楽極楽爆撃機

 フランス最初で最後の長距離戦略爆撃機。大馬力のターボプロップによる巨大な二重反転プロペラを豪快に振り回し、お気楽極楽に欧州の空を飛びまわる。
 その能力ゆえに60年以上に渡って実戦配備されてきた、日本の〈池柳《富嶽》彩女〉、合衆国の〈南条《ストラトジェット》紗也香〉と共に長寿機としても知られる。
 なお、第三次世界大戦終結直前に細菌爆弾による日本爆撃を企てた超長距離爆撃機カントZ〈平野《マリアナウティカ》深雪〉は同機の派生型に当たる。
 優れた性能と優美かつ豪快な姿は親衛隊を結成させるほどの人気を集めてはいるがお気落極楽さはいつも空軍当局を苦しめる存在で、戦略偵察機としてPACTO艦隊上空に出現しては艦載機に緊急発進をさせ、慌てて飛び上がってきた艦載機をからかいまくり、あるいは領空侵犯ギリギリを飛んでは警戒機の「貴機は領空を侵犯しつつある」という真面目な通信に対し「領空忘れちゃった、てへ♪」と悪気も何もあったもんじゃない返答でその場をごまかす。他にも爆撃機の重要な道具である爆弾を飛行場のど真ん中に置き忘れて離陸したり...
 これらを始めとして〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉の「伝説は」なんと200にも達するというのだから呆れるしかない。
 期待は基本的にグレー塗装だが、任務によっては臙脂色になったりあるいは「上着」と呼ばれる電波吸収塗装を施し、Br1142から始まったケプラーやボロンといった黒地の素材からなる機体構造は「黒下着」という奇妙な名称を貰い、Me280〈白河《アドラー》ことり〉にも受け継がれたという。(詳細不明)
 改良を繰り返し、「何度乗っても最初に乗ったときと同じ新鮮さ」と称される〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉。だが実は同機には重すぎる宿命があったのだ、

■永遠のために

 元々フランスには戦略爆撃という概念はなかった。何しろ敵は全て隣国(ドイツ、英国、イタリア)なのである。距離からすると戦術爆撃と変わりはしない。
 だからフランスの爆撃機は(大型機を作れる技術はあるが)概して小型、高速だった。たとえば、39年に初飛行したブロッシュMB135なぞは4発機なのに全備重量9トンという意味不明な代物。この発想は搭載量の増大と高速化を狙った結果の4発機で、フランス空軍の頭の中には戦略爆撃という作戦をハナから考えていなかったことがわかる。
 〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉も当初の計画では普通の高速爆撃機として、Leo451の後継を目指す機体として同じ機体で重戦闘機となる〈一之瀬《ゼファー》木葉〉とセットとなる「姉妹」であった。
 だが試作中に運命は暗転する。

 話はいきなりだが1942年に遡る。
 〈柳也《フッド》〉、〈裏葉《ユニコーン》〉、〈神奈《イリジスティブル》備命〉の「山からの」脱出を阻止すべくジャンスール提督指揮のヴィシー・フランス艦隊は出撃し、そして〈神奈《イリジスティブル》備命〉はジャンスールとその旗艦である〈ストラスブール〉もろとも消滅(要は相打ち)した。
 だがそれは戦史(例えば名著「航空艦隊物語」)でかかれる表の歴史。
 …艦隊のうちで残存した艦艇は〈神奈《イリジスティブル》備命〉の残骸から「EX計画」の資料と、彼女がカナダに送り届けるはずだった「核」の手に入れていたのだ。
 戻ってきた艦艇から秘密裏に運ばれたそれにフランス当局は狂喜した。
 これさえあればドイツに睥睨する必要なんてない。
 これさえあればフランスは永遠に護られ、生き抜けることができる。
 これらの資料と資源をフランス当局(三軍)は文字通り〈神奈《イリジスティブル》備命〉から得たものを貪り喰った。そして極秘に核兵器の製造を開始した。ドイツにバレないようにわざわざレジスタンスをやっていたジュリー・キュリー夫妻に依頼して開発を進める。
 だがさすがにドイツ。核兵器は自分達だけで独占することは彼らの欧州支配にとって必需のことだというのはゲシュタポでなくとも判る。
 同盟国とはいえ、元は交戦国のフランスを操るためには「首輪」をつけておく必要がある。彼らが核兵器など持てば何をしでかすかわからない。疑心暗鬼といってしまえばそれまでだが、行動も戦争も大抵がそこから始まるもの。
 ゲシュタポが研究所に踏み込み、研究員達を射殺して資料を奪ったのはすぐ後だった。重傷を負いながら唯一生き残った当局者は核弾頭(だいたい完成していた)を突きつけると設計者達を恫喝した。
 「これを搭載するんだ!」
 もはや当局者は復讐以外何も考えていなかった。設計者に向かって銃を突きつけ、留めに入った警備員を殴り倒す。狂気と化した当局者の恫喝によって3機の試作機が〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉は無理やりに設計変更が行われていく。核爆弾を搭載し、ケベックから離陸してベルリンを爆撃するための。本国からではすぐに見つかってしまうからわざわざ遠回りして大西洋側から攻撃する。そのためには常識をはるかに超える機体になるしかなかった。「人間を辞めて」「化け物」になるしかなかった。
 そして半ば発狂した当局者によって生まれ変わった〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉は復讐のための機体と化した。
 とてもレシプロ機とは思えないような流れるような後退翼、絞り込まれた胴体、そして端整にまとめられた機首。何よりも最大の特徴は4枚羽根を二段重ねした二重反転式の巨大なプロペラ。これをターボプロップエンジンで豪快にブン回す。
 最大速度は実に900kmを超えて925km(最終的には974kmにまで向上した)、レース機ぐらいしか成し遂げられない驚異的な速度。もちろん実用プロペラ機では世界最速。それでいて航続距離は1万キロを悠々と越える。
 この速度のため、防御銃座は尾部についた30佻∩機銃がただ一基。当初は側面や前面にも連装機銃を搭載する予定だったが、速度低下と機銃用銃弾の重量増加を嫌って後部銃座以外は廃止されてしまった。これは〈南条《ストラトジェット》紗也香〉と同じで爆撃機が銃撃よりも高速性能を重んじる時代(そしてそれを実現できるエンジン)になったことを意味していた。
 生まれ変わった〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉はジェット機である〈南条《ストラトジェット》紗也香〉より少し遅いだけ、航続距離は〈池柳《富嶽》彩女〉を上回る。
 復讐。そのために〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉は「レシプロ」をやめ、そして「化け物」と化した。
 だが同様に搭載を強要された〈一之瀬《ゼファー》木葉〉は機体構造が持ちこたえられず、改装を繰り返した挙句に壊れ、そして「姉」たる〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉とは全く別の機体へと変貌していくことになる。
 そして残った3号機は完全に狂ってしまった。カント社に引き渡されたそれは悪魔としか形容がつかない男…アルコン大佐によってある意味核よりも狂気の兵器である細菌爆弾専用機〈平野《マリアナティウカ》深雪〉として艤装され、そして終戦直前に日本に向かって飛び立つことになる。
 復讐のための爆撃機となった〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉だが、その復讐を演じるためにはまだ時間が足りなかった。いや、そんなこととはしたくなかったというほうが正しい。僅かな核爆弾でベルリンをふっ飛ばしてもドイツは倒れない。逆に押しつぶされかねない。心臓にナイフを突き立てて自殺した当局者は責任を取る必要はなくなった。だが残された者は生きるしかない。
 狂気としか言いようがない目的のために姉妹機を化け物にし、挙句の果てに自殺した当局者。その意思のために復讐の道具と化した〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉と〈一之瀬《ゼファー》木葉〉。 もちろんドイツには「戦略爆撃機」として通知し、実際量産された通常爆撃機型は第三次世界大戦終戦直前から英本土やミシシッピ戦線への爆撃を敢行し、その優れた性能を枢軸軍に印象付けている。今の戦いをお気楽極楽に過ごす。それが〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉だった。重すぎる宿命を背負い、化け物にされた〈気京《ブレイゼ》紅葉〉がその重荷を外すためにはそれしかなかったのだ。

■永遠ではなく、有限

 大戦ではその実力の一端を発揮した〈気京《ブレイゼ》紅葉〉は生きなければならなかった。唯一日本まで届く戦略爆撃機として。日本では〈飛鳥。が統合航空軍の主軸を占めている以上、〈飛鳥〉に対抗するカウンターパートとして〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉の存在は大きかった。ドイツに頼らず自らの力で自らを守る方針を貫こうとするフランスにとって、〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉はすでに復讐のための存在ではなく、恋人のような存在になっていた。力を求めて暴走したシュド・エスとSO.9050〈三原《トリダン》香澄〉に関することがあったにせよ、ようやく「病院から外に出て」配備されることになった〈一之瀬《ゼファー》木葉。をかばいつつ、〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉はフランス戦略軍の真のヒロインとなったのだ。
 後継となるべき大型戦略爆撃機は財政的、技術的に考えてフランスには無理であり、超音速爆撃として開発された〈橘《ミラージュ検嬪F燹は極端なまでに核爆弾の搭載にこだわったために空中給油なしでは日本本土までは届かない。そしてドイツは戦略爆撃機ではなく弾道ミサイルに突き進む。
 他にこれという大型機を生み出せなかった欧州の責任を負いかぶるように〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉は長い時間を生き抜いた。
 ミサイル母機、対潜哨戒機、空中管制機、あるいは旅客機型型から輸送機型と多数の派生型が生まれ、主翼を再設計してエンジンを強化したBr1142〈気京《ブレイゼ》紅葉〉(通称DC)が再生産され、命を永らえていく。{{bt}} 合衆国空軍との「純愛」を貫き全く輸出されない〈南条《ストラトジェット》紗也香〉、設計的にレシプロの延長でしかない古式ゆかしい〈池柳《富嶽》彩女〉の両機とは違いプロペラ機としては化け物としかいいようがない性能とフランスの国家的性格も手伝って少数ずつだが各国に輸出され、ウラル戦線、あるいは中東戦争、印パ戦争、イラン・イラク戦争。戦争は楽しんだ者が勝ちなのか。〈気京《ブレイゼ》紅葉。は各地に現れ、爆弾を降らせ、ミサイルを投げつける。
 そんな中、〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉はわずかづつだが衰えていった。巨大で豪快なプロペラは誰が見てもレーダー写りが良過ぎ、改良を重ねてもそれは治るようなものではない。80年代に入り日本では低空高速の〈聖山改〉が出現し、フランスではブレゲー社がダッソー社に吸収合併され、Br(ブレゲーの略)も外れた頃、〈聖山改〉に対抗してエンジンをジェットにそっくり交換した超音速化計画が推進され、まず監視機の〈桜井《フードル》舞子〉と柱状レーダーを機体に半埋め込み式に装備したAWACS〈佐伯《トネル》和観〉が生まれたが、肝心の爆撃機の開発は難航し中断。結局第四次大戦での攻撃任務は巡航ミサイルAPACHE-Rの母機となった〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉が行い、北米大陸では同業者で〈エアホーク〉の母機となった〈南条《ストラトジェット》紗也香〉と何度もすれ違っている。
 21世紀に入ろうとした頃、ようやく対潜哨戒機〈アトランティック2〉を代替するユーロパトロール計画も引き継いだ新規設計機としてNME/CO3〈紅薔薇《タンペット》撫子〉の開発が始まったが、〈橘《ミラージュ検嬪F燹咾慮紊魴僂い澄嶌能兵器」こと核攻撃型〈星崎《シュペルミラージュN》希望〉も配備されているため。同機の就役を待たずに〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉は退役することになる。

 実戦配備から実に50年を越える長期間に渡って活動し続けた〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉は静かに退役していく。
 「決して不死身でも、永遠でもない」
 搭乗員の誰が言ったかはわからない。だがその言葉こそが、〈汽京《ブレイゼ》紅葉〉一番顕していると言えるのではないだろうか。


■データ(B型)

全幅 50.4m
全長 49.0m
全高 11.9m
自重 93780
最大重量 19200
発動機 チュルボメカNK-12(11890馬力)×4基
最大速度 934km
最大航続距離 12100km
武装 DEFA・30亠ヾ慄ぁ滷(尾部遠隔操作式)
   爆弾など13000
乗員 5名


■各タイプ

B型:通常爆撃型
N型:核攻撃機型
C型:ミサイル母機
D型:対潜哨戒機
Br1142H:エンジンを強化した対艦/対地ミサイル母機
Br1142L:電子作戦機
Br1142MR:潜水艦通信中継機
Br1114:旅客機・輸送機型、試作のみ
Br1126:AWACS(空中管制システム)型
ダッソー〈桜井《フードル》舞子〉:エンジンをジェットに換装した超音速監視・通信機
ダッソー〈佐伯《トネル》和観〉:柱状レーダーを積んだAWACS
ブレゲー/カントZ661〈平野《マリアナウティカ》深雪〉:試作3号機をイタリアで改装した細菌爆弾を搭載する超長距離爆撃機