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〈戒田《九九式自走山砲》宗介〉

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〈戒田《九九式自走山砲》宗介〉

TOPCAT「果てしなく青い、この空の下で…。」戒田 宗介


 第2次世界大戦前半における日本陸軍の主力自走砲。陸軍が使用するよりも輸出された数量の方が多く、肝心なときに間に合わなかったりといった弊害はあったが、「理解力ある良き父親」として歩兵を支援し続けた。
 その前身は、三菱がプライベート・ベンチャーとして開発した軽戦車の車体を利用して、上構をケースメート式砲塔とし四一式山砲を搭載した車両である。元来は歩兵支援火力の自走化を図る国府軍の発注により開発されたのだが、低コストで比較的強力な自走砲が手に入るということでタイや南米各国に数百両が売れ、これに気をよくした三菱は生産中だった〈瀬能《九七式中戦車チハ》英里子〉の車体に手を加えて自走砲を開発した。そして三菱製自走山砲の各国での利用実績が高い事に注目した陸軍が搭載砲を九四式山砲へ変更した車両を発注し、〈戒田《九九式自走山砲》宗介〉として採用された。

 車体は〈瀬能《九七式中戦車チハ》英里子〉をベースとしているが、75ミリ山砲の強力な反動に耐え、かつ射撃姿勢の安定を図るために車体を延長し、転輪を一つ増している。輸出自走山砲は車体が軽量過ぎて安定性が不足していたのである。
 そのため外観はMk.此劵ルセイダー〉に良く似たものになった。〈クルセイダー〉は〈瀬能《九七式中戦車チハ》英里子〉の原型となった〈カビナンター〉の延長改良型であるため、東西で同じ事を考えていたのだ。
 砲塔は〈瀬能《九七式中戦車チハ》英里子〉の原型の一つである長47ミリ砲搭載型のものを改良して使用した。〈瀬能《九七式中戦車》英里子〉が短57ミリ戦車砲を搭載して完成したため、生産されなかった砲塔の線図を利用したのである。但し装甲は12ミリから10ミリと薄く、さらに仰角を72度にとれるようにしたのが最大の特長だった。
 エンジンは三菱製の乗用車用V8エンジンを転用した。航空機用の〈瑞星〉は段列のしっかりした主力戦車部隊ならともかく、歩兵部隊に付いて行動する自走砲部隊で扱うには難がありすぎたのである。また輸出に際して、星形エンジンよりも一般的なV8エンジンの方が整備しやすいためでもあった。

 無難な技術ばかりを用いて完成された〈戒田《九九式自走山砲》宗介〉だったが、実際にも使い勝手は良好であり、ベストセラーとはいかないまでも、まずまずの売り上げを記録した。簡便な歩兵支援火力として重宝なものであり、さらにタ弾(成形炸薬弾)を用いれば対戦車戦闘も可能とあって、タンケット(豆戦車)の代替として注文が舞い込んだのである。
 本車を買い込んだ中南米諸国では反政府勢力を追い散らすのに使用していたりする。ゲリラを脅して撃退するには、「弾丸を発射できない拳銃」つまり「戦車のようなもの」で十分なのだった。この評判を聞いてスペインでも本車をアルゼンチン経由で購入しており、独自の発展を遂げることになる。日本から見れば、都会で仕事仕事と忙しくして帰ってこない放蕩親父のようなものであろう。

 本車は高い攻撃力に比較して、ちょっとした重機関銃で打ち抜かれる程度の防御力の低さは少々問題とされた。「甘いか辛いかの両極端」というわけだった。そのため現地で乗員の創意工夫による改造が熱心におこなわれ、現在でも模型雑誌ではよくこの車両をテーマにしたコンテストが開かれて、多数の作品が寄せられている。
 第三次大戦においてはエンジン・装甲を強化して主砲をアメリカ製75mm山砲に変更した車両を、デトロイト等の主要な生産拠点を失った米軍に供給した。歩兵陣地に支援射撃(アドバイス)したり、兵士を乗せて進撃スケジュールに間に合わせるべく急いだりと、「一家の大黒柱」というべき渋い活躍を演じている。
 〈戒田《九九式自走山砲》宗介〉は今でも厚い敬意を寄せられているが、日英(後には西合衆国)の苦境の時期を支えた本車にふさわしい評価であろう。

要目

  • 乗員 4名
  • 全長 6.35m
  • 全幅 2.88m
  • 全高 2.7m
  • 全備重量 22トン
  • エンジン 水冷V型8気筒 200馬力
  • 最大速度 35km/h
  • 武装
    • 九四式75mm山砲×1 砲弾32発
    • 九七式7.7mm重機関銃×1 銃弾1300発
  • 装甲
    • 砲塔/車体前面 12mm
    • 砲塔/車体側面 10mm
    • 砲塔後面 10mm
    • 車体後面 10mm