トップ 新規 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

〈マリーノ〉

ヘッドライン

最近の更新

各種艦艇 / 〈長岡《加賀》志保〉 / 大ドイツ連邦軍指揮体制私案(2015年) / 世界設定 / ヘーアに関する覚え書き / クリーグスマリーネに関する覚え書き / ルフトヴァッフェに関する覚え書き / 大ドイツ帝国の年代別状況 / その他兵器 / 日本帝国陸軍歩兵火器に関する設定案

〈マリーノ〉

フェアリーテール「Natural ZERO+」柴崎鞠乃

建造経緯


 イタリアは〈スピカ〉級を始めとする小型艦船を多数建造し、護衛や戦闘に有効に活用していた。しかしこれらの艦は航続力が短く大西洋やカリブ海ではそれが足を引っ張って損害を増やしていた。
 これに対し航続力を伸ばした本格的航洋護衛艦の出現が叫ばれ、計画されたのが本級。
 戦時下の量産と燃料、資材不足を鑑みたが、熱効率と資材に囚われてフリーピストン・ガスタービンを搭載、そのため実用性と寿命を致命的に縮めてしまった〈桜羽《コラディオーソ》吉野〉の反省から量産実績のある〈スピカ〉級のタービンをそのまま搭載、ボイラーにメタノール・微粉炭燃焼機能を搭載することで燃料事情に対する備えとした。
 武装として高角砲や爆雷兵装とともに魚雷兵装が強化されたが、これは水上艦艇からの襲撃をひっきりなしに受けたという地中海の戦訓からのものであり、他国護衛艦との決定的な違いだが、後に対潜魚雷を搭載して対潜能力を向上させている。
 配置としては射程約1000m、1分間に15発という高い性能を持つ爆雷砲を前部主砲後と後部主砲後に搭載、魚雷発射管は中心線上に配置(予備魚雷はなし)、他の場所には機銃を載せられるだけ載せて出来る限りの防空力を持たせた。
 重装備による重心上昇を防ぎ大西洋の荒波にも耐えられるようアンチ・ローリングタンクを装備。これにより復元能力が極めて高くどんな苦難にもめげない艦となった。
 他国の同種艦に比べると相当な重装備だが、1本煙突と艦橋を一体化し、その後ろに先端を二つに分けたマストを立てた端正な艦容は損なわれなかったのはさすがイタリアであり、ヴィセルフィア造船官は多大な要求をよくまとめたといえよう。まあ元々イタリア艦は重兵装・高速が売りではあったが。
 本級は〈フィーリア〉級の共同建造を持ちかけたドイツのグロスブルネン大佐に「そんな貧弱な武装の『王女みたいな』艦より、『メイドや奴隷』くらい頑丈な艦を貴国も造りなさい」とばかりに突っぱねた護衛艦隊のビシアーニ少将が言うだけの艦ではあった。


役に立ちたい


 50年10月に1番艦の〈マリーノ〉は完成、さっそく大西洋の船団護衛に投入された。
 その後も建造は続いたが資材問題と緩慢な建造ペースのおかけで数が揃わず、後期建造艦の機関を焼玉機関にしてみたり、船体を一部コンクリートに変更するといった泥縄的手段を持ってしても完成は26隻。しかも後期建造艦はマルタ諸島沖海戦終了後の完成で護衛艦ではなく航空標的を作るようなものであった。
 そして大西洋に回航された〈マリーノ〉の方はといえばドイツ護衛艦〈フィーリア〉級やフランスの通報護衛艦が幅を利かせる中では所詮護衛部隊からすれば省みられる存在ではなかった。それどころか雷装を生かして襲撃作戦に駆り出されかねない状況。結局ジブラルタル陥落直前に「邪魔なものを片付ける」ように地中海に戻されている。
 地中海に戻っても苦難は続く、マルタ諸島沖海戦以後の艦隊防空作戦ではわざと「おめかし」のような派手な塗装に身を包み、英日攻撃隊への囮を担当。
「生き残ることは絶対に不可能」と英軍が豪語した「Last regretIII」作戦による艦隊の全滅を防ぐ貢献をしている。


訓練


 さすがの〈マリーノ〉も空襲とペットのように使われる事にたまりかねて「家出」するようにリヴォルノに転がりこんだところで終戦を向えた。そしてこんな経験から「役に立ちたい」という考えが強迫観念のように現れていた。役に立たねばならない、荒廃した街や国土を立てなおさなければならない。そのために海軍は何をするか、まずは新しい人材を確保して艦を動かさなければならない。
 周囲には機雷がゴロゴロしているし、海軍がきちっとしないことは周辺海域を無政府状態にすることになる。戦後をどう進むかというのはデ・ガスペリやトリアッティらの政府が決めること、海軍は国民のために活動しなければならない。
 早速〈萌木《ラヴォラトリーレ》玉緒〉を始めとする小型艦は機雷除去のために活動を開始、他艦も復興のために動き出した。そして〈マリーノ〉には乗員育成のための「管理人」の役が回って来た。
 戦争末期に就役したがそのまま放置されていた4隻の中型潜水艦フルット5型(*注2)を〈ハル〉〈ナツ〉〈アキ〉〈フユ〉と仮称(*注3)して配属、これに潜水母艦(元駆逐艦)の〈ティグレ〉で練習部隊を結成、明日にも取り壊されそうなボロ校舎に本部を置いて訓練を開始した。司令官はシモーネ・シオルオ中佐。有能だが〈桜羽《コラディオーソ》吉野〉艦長時に乗艦を沈めてしまい半ば鬱状態になっていた人物である。人を見る目があるレグナティは彼を缶詰と称して訓練部隊に放りこんだ。この苦しい状況下で虚脱なんぞもっての他、働いて成果を挙げて国民と国と海軍に貢献しろ。
 そしてシオルオの〈マリーノ〉と潜水艦達の乗員を訓練する生活が始まった。各タイプの迷彩によ視認技術の向上(例えばオリエントタイプ、メイドタイプ等)、機雷敷設/掃海、対潜、対艦攻撃のレポート・・・不器用ながら徐々に向上していく様を見てシオルオも前向きな意思を持てるようになっていった。
 ただ食糧事情が極めて悪いため三食全てが「ネコマンマ」と蔑称される汁かけもの。そして〈マリーノ〉自体も訓練された乗員が足らないため何かというと失敗ばかり。それでも前向きに訓練は進んでいった。すぐに海防戦艦〈桃瀬《カイオ・デュイリオ》環〉も「担当」(標的兼宿舎代り)として加わる。
 さらにCC型(*注4)の〈ヒマワリ〉〈コジロ〉〈クロ〉を加えて大所帯となった訓練部隊は喧騒や混乱にもめげず少しづつ成長していった。


行方不明


 そうこうしていた1954年7月、訓練をしていた〈コジロ〉が行方不明となってしまった。乗員わずか10人の小型潜水艇のために通信・居住施設は貧弱。沈没していたりしたら全滅を覚悟しなければならない。
 〈マリーノ〉はチレニア海を探しまわり、そして見つけた。
 なんとこの時日本地中海艦隊に配置されていた〈小端《千代田》愛〉が回収していたのだ。〈マリーノ〉は丁重な挨拶とともに〈小端《千代田》愛〉から〈コジロ〉を返還してもらった。なんでもパンテレリア島支隊に配属されることになったそうだ・・・だがパンテレリア島は今月中のイタリアへの返還が決まっており基地も撤収が決定。つまり住みついてもすぐに追い出される結末が待っているだけだ。
 艦隊補充、言いかえれば「空き部屋」があるためにやってきたもののそのアパートは既に取り壊しが決まっていたようなものである。
 とはいえ野宿させる訳にもいかないし他も受け入れ準備が出来ていない。イタリア自治領リビア、フランス民主共和国内の自治国であるチュニジア、そしてフランス連邦共和国の本拠地アルジェリア。どこに行ってもややこしいことになってしまう。さてどうする?
 こんな時には「ママ」ことイタリア艦隊旗艦〈柴崎《ルクレツィア・ロマーニ》彩音〉に頼むのが一番。座乗するディザーノ・レグナティは実績と押しの強さにモノを言わせて〈小端《千代田》愛〉を駐在武官宿泊艦としてしばらく引き取った。日本側も意見の1つくらい言えばいいものだが相手が悪過ぎる上に最強過ぎる。
 WW3が終って既に4年、東西対立は依然続いているが戦う必要はもうない。本国に戻ってきたばかりの第一戦隊司令カヴァリーノやシオルオ、日本地中海艦隊司令の霜月提督が困り果てようがそんなことは関係なし。「暫く頼むよ」で全てがOK。
 さっそく停泊していた〈鳥海《フィレンツェ》千紗都〉〈鳥海《ヴェネチア》空〉の乗員も加えて夕食。当然来ることは根回し済みで実に豪華な料理と共に歓迎のもてなしを受けることとなる。いいものを食べてない(作れない)〈マリーノ〉と〈コジロ〉の乗員は大喜び。相変わらずの〈鳥海《フィレンツェ》千紗都〉〈鳥海《ヴェネチア》空〉の仲良いケンカを見つつ夜は過ぎていった。
 そして次の日の朝、〈小端《千代田》愛〉はタラントを出港した。マルタにいる日本地中海艦隊に合流するために。そして〈千歳〉との司令官取り合いの日常が始まる。
 〈マリーノ〉も今度はシチリア独立海軍区配属となってアウグスタに移動。新たに結成された南欧連合軍・中央地中海管区所属となり、東部連合への売却をぶち壊しにして本国に戻って来た〈雪原《ヴィアンカ・ヴィスコンティ》恋歌〉(*注5)の護衛としてシチリア海域で活躍した。
 「人種と文化のるつぼ」と称される地中海は民族・宗教・思想・領土の争いは絶えない。地中海国家に戻ったイタリアは南欧連合軍の中核となり、シーレーンの保護と太平洋条約機構軍・・・特に日英地中海艦隊とフランス連邦海軍兵力の脅威に備えることが主任務となった。
 新しい仕事、そして家を貰った〈マリーノ〉級は護衛兵力の中核として行動。この間9センチ高角砲をOTOメララ社の76ミリコンパクト砲に換装、後にはオトマート対艦ミサイルを搭載。水上打撃力・対空対潜能力に優れた汎用フリゲートに成長している。
 〈マリーノ〉自体は85年に除籍されたが、彼女の後を継ぐ〈ルポ〉級はその重武装と使いやすさをもって中小海軍国に多数輸出され、警護や哨戒に働き者ぶりを発揮している。


#注1:後に対潜魚雷も搭載できるようにされた
#注2:WW2からWW3にかけて42隻建造された中型潜水艦の最後のタイプ。
    基準排水量460トン、速力水中水上とも15ノット、魚雷発射管4基。艦首の並列配置の大型ソナードーム(通称猫耳)が特徴。
#注3:なぜか日本語的な名称だが、別に意味はないらしい
#注4:カプロニ型沿岸潜水艇の略で基準排水量100トン、速力13ノット、発射管3基の小型潜水艇。
#注5:〈柴崎《ルクレツィア・ロマーニ》彩音〉級の4番艦

要目

  • 基準排水量 921トン
  • 常備排水量 1425トン
  • 全長 89.3.メートル
  • 全幅 9.7メートル
  • 喫水 3.7メートル
  • 主機 トシ・ギアードタービン2基/2軸
  • 主缶 ヤーロー缶2基(多種燃料燃焼装置付き)
  • 出力 19000馬力
  • 速力 29ノット
  • 航続距離 15ノットで4500海里
  • 兵装
    • 50口径9センチ単装高角砲2基
    • 70口径35ミリ機銃12基
    • 53.3センチ3連装魚雷発射管2基(対艦、対潜兼任)
    • 単装爆雷砲2基
    • 爆雷投射機6基
    • 爆雷投下軌条2基
    • 機雷/爆雷70発

同型艦

  • 〈マリーノ〉 1950年10月25日竣工 1985年除籍
  • 〈アニモーソ〉〈アルディエート〉〈アルデンテ〉〈ウラガーノ〉
  • 〈アルティメンドーソ〉〈アリセオ〉〈チクローネ〉〈フォルテュナーレ〉
  • 〈ジブリ〉〈グロッポ〉〈インパヴィート〉〈イントレピード〉
  • 〈インペデュオーソ〉〈インドミート〉〈モンソーネ〉〈ティフォーネ〉