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〈ナルバレック〉

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イタリア陸軍主力戦車〈ナルバレック〉

TYPE−MOON「月姫」ナルバレック

 1990年代から21世紀にかけてのイタリアの主力戦車。イタリア国産戦車としては初めて世界水準に到達した。設計及び技術的には普通で、開発リスクとコスト上昇を押さえた堅実な作りの戦車である。とはいえ、その戦闘力は軽視することはできない。試験を担当した部隊から「殺人狂」との異名を捧げられた程なのである。また、フランスの主力戦車〈シエル〉の開発にあたって、その対抗相手として〈ナルバレック〉が選ばれ、開発中の〈シエル〉の装甲を何度も砕き殺しまくったことでも知られている。
 〈ナルバレック〉は、1982年にイタリア陸軍の提示した仕様に基づいて、OTOメララ(後のOTOブレダ)とイヴェコ(フィアット、ランチアの合弁会社)の防衛車両部門が協同で開発したMBTである。全体のとりまとめをOTOメララが、パワーパックと懸架装置をイヴェコが受け持った。
 〈ナルバレック〉の試作一号車は1986年に完成し、制式採用の後はOTOブレダのラ・スペチア工場で生産されている。その対戦車徹甲弾は剣のように細長いタングステン化合物製APFSDSを用いており、その先端にすべての衝撃力が集中することによって発揮される「鉄甲作用」で敵の装甲に突き刺さる。劣化ウラン製APFSDS「黒鍵」の場合は貫通した後に焼夷尽滅する。これを「火葬式典」という。
 主砲の55口径128ミリ滑腔砲はラインメタル・ボルジヒ製滑腔砲をライセンス生産したもので、〈アルクェイド《ティーゲル后侫屮螢絅鵐好織奪鼻(128ミリ仕様)、〈シエル〉などと同じく、大欧州条約機構標準の戦車砲弾を使用できる。
 パワーパックはイヴェコの水冷V型12気筒ターボチャージド・ディーゼルに、ドイツのZFのトランスミッションLSG3000を組み合わせた物である。LSG3000はトルク・コンバータと前進4速後進3速のギアボックスからなる。イタリア戦車について根強く囁かれた、前進1速後進5速という噂は否定すべきである。
 懸架装置も在来型で、片側7個の転輪とトーションバーの組み合わせで、履帯もドイツのディールの設計である。

 その開発には執罅劵譽パルト〉系列のライセンス生産の経験と、ロシアの王冠派とのコネクションが影響を与えており、そのコネクションを辿れば、ドイツの怨敵ロア(蛇派)にまで行き着く。
 アカシャの蛇こと、ミハイル・ロア・バルダムヨォンはポーランド系ロシア人である。少年期にはカトリックの神学校で学んでおり、その同期にはナルバレック家の次期当主となる女性がいた。友人付き合いをしており、神学や各種学問についての話も弾んだという。但し、色恋沙汰ではない。対等の議論相手というべきものだった。学友達はロアとナルバレックの議論についていけなかった。なにしろ、量子力学の「観測者」問題を嬉々として論ずる二人だったのである。
 ナルバレック家はラティーノ地方に根を張る豪族で、法王庁を代々支えている家系である。ただし、コロンナやサヴェッリ、オルシーニといった法王との抗争を辞さない豪族達とは違い、裏の仕事つまり法王庁にとって不都合な事実の埋葬や異端者撲滅を専門に取り仕切っていた。それを「埋葬機関」という。12世紀の法王庁文献に散見される「埋葬教室」なるものが前身であるらしい。その代々の長をナルバレックが努めている。諜報技術、暗殺技術に長けた一族なのである。
 かのボルジア家すらもナルバレックを潰すことはできなかった。というより暗黙裡に互いに手出しし合わないことになっていた。ナルバレック一族を敵に回すことは、ロマーニャ公国創建から始まるイタリア統一事業を推進するチェーザレにとって危険すぎた。ナルバレックにとっても、何事もゆるがせにしない法王の息子を敵に回すことは危険だった。「破綻者」を多く出すナルバレックにとって、法王庁の影こそ己の住みかなのだ。もっとも、ナルバレック家に伝わる殺人嗜癖を除くならば、ナルバレックとチェーザレは冷徹極まりない現実主義者同士ということで気はあっていたようである。信仰心など欠片もないという点に置いても同様だった。
 暗黙の協定と同時にナルバレックは法王に多大な献金をした。ナルバレックは「悪魔憑き」と判断したならば即座に処刑できる能力と権限を持っており、没収した物産で多大な富を築き上げている。ナルバレックから巨額な献金を受けて、アレッサンドロ6世は苦笑した。己の影を切り離すことが出来る者が現世にありえようか。その悪徳をもって謳われるボルジア家の法王は、フィレンツェを拠点に法王批判を強める修道士サヴォナローラの処分をナルバレックに命じた。
 西暦1498年5月23日、パラッツォ・ヴェッキオ(フィレンツェ政庁)前のシニョリーア広場で、サヴォナローラと彼に同調する修道士2名が絞首刑の後に火刑に処された。罪名は異端の罪である。彼らの遺灰はポンテ・ヴェッキオからアルノ河へと捨てられた。

 ドイツ軍と度々の紛争を戦っているロア(と後継者達)からの情報は、まずナルバレックに届けられ、それからイタリア軍部に報じられる。王冠派からもまた同様。その情報はドイツ軍の内情を余すことなく伝えている。度々の交戦から判明した事実は、ドイツ軍事力の衰微を伝えていた。しかし、イタリアはその情報をなかなか有効に使えないでいた。
 政府や軍部が苛立っても、表だっては何もできない。イタリアは大欧州条約機構の一員であり、事実上のドイツの属国とはいえ有力国であることには違いない。バルバロッサ作戦当時には共同戦線を張ってロシアに進軍してもいる。ウラル戦線に派兵もしている。たとえ、ドイツを「封印」する機会をイタリアが狙うにも、現在はその力が衰えていたとしても、アルプスの北の大国は超絶的な力を未だ有している。そしてドイツはロシアとは宿命的に対立している。敵国と大っぴらに通じることなど出来ないのだ。
 反応弾を持とうにも、ドイツは反応炉関連技術を渡そうとしない。フランスが自前で反応炉を開発しようとしたときには、公式非公式に猛烈な圧力を掛けて断念させている(後にインドやニジェールにウラン鉱山を持つアルジェ政権からウラン鉱石を購入して独自開発に成功している)。ドイツは替わりにバクーやウラルの石油をふんだんに供給してやることでイタリアとフランスのエネルギー資源を牛耳り、恫喝の種ともしている。もっともリビアで大油田が発見されたことで、その効果は薄れている。しかし軍事力の差を考えるならば、伊仏両国はドイツの操る糸のままに動かざるを得ない。
 そういう時に法王庁経由の情報に基づいて動くのは危険だった。世俗権を放棄したとはいえ、法王はカトリック教徒に絶大な影響力を有している。キリスト教民主党のバックボーンとして睨みを利かしているのだ。これ以上、その力を増されては堪らない、というのがイタリア政界の共通意見だった。
 であればこそ、政治や軍事に影に陽に介入し続ける法王庁への当てこすりとして、ナルバレックの名が新型戦車につけられた。影に潜む者に光をあててくれよう。
 また、ドイツ戦車との交戦によって判明した情報を届けてくれた事への返礼の意味もあるのかもしれない。その情報によって改良を施された〈ナルバレック〉戦車は、〈アルクェイド《ティーゲル后侫屮螢絅鵐好織奪鼻との正面からの交戦は難しいにしても不可能ではない程に戦闘力が高められているからだ。 名称採用の表向きの理由としては、レオナルド・ダ・ヴィンチの円盤形戦車を扱った、傭兵隊長ガレアッツォ・ナルバレックから採ったことになっている。万能の天才レオナルドは傘状に鉄を張った人力戦車を、チェーザレ・ボルジアに仕えた時期に考案している。チェーザレ麾下の傭兵隊長は円盤形戦車を1501年のリミニ攻囲戦で用いたとされている。真偽定かならない話ではあるのだが。

 イタリア陸軍では、保有する〈レオパルト〉の全数を、200両の〈ナルバレック〉Mk1と500両の〈ナルバレック〉Mk2とで置き換える構想を持っていたが、第4次世界大戦では中立を貫いたこともあって、最終的にいかほどの数が生産されるかは不明である。
 〈ナルバレック〉Mk2は、機関を1500hpに強化し、自動装填システムやハイドニューマティック・サスペンション、進歩した射撃管制システムを備えることになっている。

要目

  • 全長 10.7m
  • 全高 2.5m
  • 全幅 3.6m
  • 戦闘重量 54トン
  • 発動機 IVECO V12MTCA 水冷V型12気筒ターボチャージド・ディーゼル 出力1300hp
  • 最高速度 65km/h
  • 航続距離 550km
  • 懸架方式 トーションバー
  • 武装 
    • 火砲 128ミリ滑腔砲×1(L55)
    • 銃器 7.9ミリ機関銃×2
  • 乗員 4名