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〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉

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解説

 合衆国海軍が80年代に進めた「六十隻艦隊構想」と呼ばれる建艦計画の一環として建造した、大型ドック型強襲揚陸艦。
 敵地沿岸に接近して、搭載する揚陸艇および輸送ヘリによって大隊規模の海兵隊を揚陸し、なおかつそれに対する火力支援を行うと言う構想で建造された事から、陸地からの攻撃を避けるために大胆にレーダー反射を低減する設計を施され、いわゆるステルス・デザインの先駆けとも言うべき艦となっている。
 また、個艦防御能力も高く設定されており、一見詩人の如く戦い向きではない外見ながら、その実剣士のような高い戦闘力をも有しており、様々な状況下で十分にその戦力を発揮できる、まさに「主人公」的な艦と言える。


特徴

 第三次大戦以降、合衆国軍はミシシッピーの向こう側にいる強敵・東部連合への備えから陸空軍を主役とし、海軍の戦力強化は常に後回しにされてきた。
 しかし、70年代に入り、「強いアメリカ」の復活を掲げるレーガン政権が成立。大規模な軍備拡張が進められ、海軍も久々に新たな建艦計画を立ち上げる事ができた。
大型空母2隻の新造を始めとして、六十隻に及ぶ新鋭艦を一挙に建造する事から「六十隻艦隊構想」と呼ばれたこの計画により、海兵隊も従来のビーチング型揚陸艦ではなく、艦載艇・ヘリを用いた迅速な揚陸を可能とするドック型・空母型の揚陸艦を建造できる事となった。
〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉は4隻の新造が認められたドック型揚陸艦、その一番艦であり、1982年に就役した。
 その外見上の特徴は、顕著なステルス・デザインを施された事で、一見軍艦とは思えないスタイルをしている。
 艦の前甲板にはMk−71単装8インチ速射砲とシースパローSAMのランチャー(後にMk−41VLSに変更)が設置されており、これが軍艦である事を主張しているが、一方で上部構造物はレーダー反射を低減するために断面が逆V字形を描くよう設計され、マストも八角錐のカバーで覆われている。 後部にはヘリコプターの発着に使われる広大な飛行甲板があり、上部構造物内の格納庫に四〜六機の各種ヘリを搭載する事が可能。また、この飛行甲板は物資や車輌の露天積載スペースとしても使う事ができる。
 飛行甲板下は艦の全長の約半分に及ぶドックとされ、LCAC(揚陸用ホバークラフト)二隻かビーチング型揚陸艇四隻、または水陸両用装甲車二〇両の格納スペースとなっている。
 海兵隊の乗艦数は700名で、ほぼ一個大隊に相当し、これらを艦載機と艦載艇の併用によって1時間以内に上陸させる事が可能な、優れた揚陸能力を有している。
 固有兵装の8インチ速射砲は、艦砲射撃の高い制圧力に信頼を抱く海兵隊の強い要望で追加された装備で、その射程はロケット・モーターを使用した延長射程砲弾を使用した場合、実に180キロにも及び、東部連合や欧州連合の保有する陸上発射型対艦ミサイルの射程外から海岸へ砲撃を加える事ができる。後にミサイルランチャーがVLSに変更されると、そのうち4発を戦術形巡航ミサイルとすることでより高い制圧力を持つに至った。


戦歴

 一番艦〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉は就役後、対GETTO最前線を担当するカリブ海艦隊に配属され、主にパナマを母港として、同地域の欧州連合軍根拠地や、東部連合の強い影響下にあるコロンビアに対するプレゼンスを担った。
 カリブ海は「世界の縮図」とも言われる地域で、PACTOとGETTOだけでなく、第三勢力たるスペインの勢力も入り乱れ、極めて複雑な様相を呈していた。特に南米の麻薬シンジケートと合衆国海兵隊の小競り合いは日常茶飯事となっていた。
〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉はそうした麻薬組織へ圧力をかけ、時には彼らのアジトに対する強襲作戦を実施。自慢の8インチ砲を叩き込んだ後で海兵隊を上陸させ、犯罪の証拠を回収して合衆国の健康を守った。〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉の艦砲射撃の精度は非常に高く、巡洋艦〈フォートワース〉にその極意を伝授する事もあったという。
 また一方では、美しい自然の残るこの海にやってくるクルーズ客船の護衛も行った。特にシンフォニア海運の〈プリンセス・レティシア〉の護衛任務は多く、海洋・船舶雑誌では二隻のツーショットがしばしば掲載されている。時には〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉の乗艦軍楽隊が〈プリンセス・レティシア〉の専属歌手と合同コンサートを開く事もあり、非常な好評を博した。
 第四次世界大戦がはじまると、〈クリフ《サン・アントニオ》クラウド〉は新鋭原子力空母〈シルフィ《ニミッツ》クラウド〉の護衛部隊の一部として出撃し、防空戦闘に参加。それが終わった後は、第四次大戦における地上戦の中でも激戦を極めたフロリダ半島への強襲上陸作戦にも参加し、揚陸から対地火力支援までをこなしている。
 終戦後はまた戦前の任務に戻り、〈プリンセス・レティシア〉のパートナーとして長らく活躍した。


諸元

  • 排水量:25000トン
  • 全長:223.5メートル
  • 全幅:32メートル
  • 機関:二軸ターボ・ディーゼル四基 4万馬力
  • 速力:22ノット
  • 乗員:400名
  • 兵員:700名
  • 兵装:
    • Mk−71 単装8インチ速射砲×1
    • Mk−41 VLS(16セル)×1
    • RAM 10連装発射機×2
    • ファランクス20mmCIWS×2
    • ブローニングM2 12.7mm機銃×4
  • 艦載機:ヘリコプター×4〜6
  • 上陸艇:LCAC×2


同型艦